2007-03-22

シリーズ「不動産投資ファンドの成長は続くのか?」4

【第4回:J-REITの歴史】
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ゴールドマン・サックス現CEOのロイド・C・ブランクファイン)
  
今回は日本のREIT(J-REIT)の経緯をまとめます。(前回は、こちら

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日本J−REITの歴史
 
■1991年【バブル崩壊→不良債権の増大へ
・拓銀、長銀、日債銀、山一証券が破綻
・ライフ、そごう、第一ホテル、住専等が破綻
 
■1992〜1995年【各種ファンド優遇政策へ
1992年/商品ファンド法/商品投資事業の許可制度。業務の適正な運用と投資者保護が目的。
 
1993年/特定債権法/額面1億円以上の資産担保型証券を有価証券としての流通を認める。5000万以上の小口債券の譲渡・組合・信託による資産流動化を認める。
 
1995年/不動産特定共同事業法/不動産小口化商品を買う投資家を保護する法律。事業者の許可制や投資家への情報開示を義務づけた。
 
■1998年【米ファンドが不良債権をタダ同然で買い叩く
・旧SPC法施行
・大蔵省が「早期是正措置」導入
・BIS規制適用→貸し出し抑制+貸し剥がし
・不良債権の売却(バルクセール)による資金の回収が進む
 
※主として米国の投資銀行やヘッジファンドがこれらの不良債権を極端な場合には簿価の10%以下の安値で買い取っていた。国内の投資家に安く売ると贈与税の対象になりかねないので、当時国税庁が黙認していた外資に集中した。買い手は、米穀物商社最大手カーギルの金融子会社、ローンスター、ゴールドマン・サックスなど。
 
※地下の先安感が国内には蔓延していたが、米投資ファンドの見方は違った。日本の利回りは高く無かったが、カントリーリスクが低く、欧米に比較して不動産サイクルが遅れていたので、アメリカは自国の経験(前回、参照)から日本の不動産価格はそろそろ底と読んでいた。世界No2の経済規模、不動産市場の規模は無視できないし、日本が回復した時に日本から得られる収益は莫大であろうというのが外資系の共通認識であった。
 
※これらのファンドの特徴
①債券の裏付けとなっている担保不動産が生み出すキャッシュフローに注目し、DCFにより現在価値を算出する。
②投資期間を設定し、期間内(米ファンドの場合3〜5年)に資金を回収する。
③最低20%の投資利回り(年率換算)を目標とする。
④米は原則買い手責任であり、法律・経済・物的な詳細調査が慎重に行われる。
 
■1999年【投資ファンドの多様化と進化
・サービサー(債権回収会社)制度が稼働し、外資、内資入り乱れての競争環境となった。外資のビジネスチャンスが相対的に狭められた。そこで、・一部の投資銀行やリップルウッド、サーベラスに代表される投資ファンドは、銀行、リース業、流通業の企業買収などに案件のポイントを移していった。また、ダヴィンチなどの投資ファンドは、不動産を単品で買収していくようになった。
・これらは、海外の年金基金などから資金集めをしてファンドをセットアップし、日本の不動産に投資するやり方である。
・Bクラスのビルを安く買い、追加の資本投資をしたり管理面に手を加えてキャッシュフローを増加させて価値を上げるのが彼らのやり方である。
 
■2000年【更なるファンド優遇政策
資産流動化法(改正SPC法)
不動産証券化などについて定めた法律。不良債権の処理を円滑にすすめるために制定されたSPC法の制約を緩和して、証券化を柔軟にできるようにしたもの。SPT(特定目的信託)が新たに創設。
 
改正投信法
有価証券の投資運用対象が不動産などの資産に拡大された。2種類の信託型とファンドごとに投資法人を設立する会社型の3タイプとなった。
 
■2001年【911テロの影響
・投資委託業者の認可始まる。
・対米テロを契機に米系ファンドは慎重姿勢を強める。
 
■2002年【企業買収の本格化
・再生ビジネス=プライベート・エクイエティ・ファンドは、機関投資家や資産家から集めた資金で企業を買収し、再建して企業価値を高め、転売や株式上場によって利益を得るものである。
・長銀・日本コロンビア・シーガイヤを買収したリップルウッドや、日債銀を買収したサーベラス、東京相和銀行・目黒雅叙園を買収したローンスターがある。
・時価会計制度本格導入(銀行の株持合い解消本格化)
 
■2003年【J−REITが市場経済で認知、急拡大
・東証REIT指数公表開始
・J−REIT資産は2006年までに数倍に膨れあがる。
 
主要な引用元「米系不動産ファンドの日本不動産投資戦略
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大きな流れを整理すると・・・
バブル崩壊 莫大な不良債権 ファンド優遇政策 ハゲタカファンド襲来 不良債権処理が加速・不動産の流動化 地下・不動産の先高感 J−REIT本格化 J−REIT急拡大・ミニバブルへ( 金利上昇 ミニバブル崩壊 投資家が大損+日本の資金は外資へ・・・となってしまうのか???)
次回は、もう少し具体的なJ-REITと外資の実態などをまとめてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
             
(by コスモス)

List    投稿者 cosmos | 2007-03-22 | Posted in 04.狙われる国の資産2 Comments » 

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コメント2件

 belgique hermes | 2014.02.01 15:13

hermes firma 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 中国のインフレはどうなる?

 wholesale bags | 2014.02.10 14:32

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