2008-05-12

ブルドック事件の総括

米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンが保有していたブルドックソース株全株を、3月末までに売却していたことが4月18日に判明した。
今後の株価上昇が見込めず、保有を続ける意味が薄れたと判断したとのこと。
また、この間のブルドック株の取引でスティールは最終的に十数億円の利益を得たらしい。
なにが起きたのかを、あらためてまとめてみたい。

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まずは概要から

スティールは平成14年ごろからブルドック株の取得を進め、最大で発行済み株式の10%超を保有、昨年5月、同社に敵対的TOBを仕掛けた。ブルドックは対抗措置として、同6月の株主総会で買収防衛策を導入。スティールは東京地裁に差し止めを請求したが、同8月に最高裁で防衛策の発動が認められた。
 防衛策の発動などにより、スティールの保有比率は発行済み株式の5・4%に低下。その後、段階的に市場で売却を進め、昨年11月末時点では3・58%となっていた。
 ブルドックは二十数億円でスティールの新株予約権を買い取っており、スティールは諸経費比を除いて数億円の利益を得た、さらに今回の全株売却によりスティールの利益は十数億円に上るとみられる。

どのようにして十数億円に上る利益を、スティールが手中にしてきたのか、経緯をおさえてみる。
スティールがブルドックの株式を保有していることが最初に判明したのが、2002年12月。
その後、ブルドックの株価は徐々に上昇してゆく。
これがブルドック株価の変動グラフ。
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昨年の7月あたりに株価が跳ね上がっていることに要注目。
どうしてこうなったかというと、ブルドックの経営手法に遠因があるようだ。
2002年3月末のブルドックは、現預金21億円、投資有価証券66億円を保有。合計で、87億円。
一方、借入金はゼロ。
「まったくもって健全な経営じゃん」と感じるのは、僕を含めて経済の素人。
「なんて無駄な経営をしてやがるんだ!」というのが経済のプロの直感らしい。
経済のプロからすると、企業価値=株価であり、
資産をいかにうまく運用し、株価を上げていくかが目標、らしい。
ブルドックが所有する潤沢な資産を生かした経営をしさえすれば、収益は今のままでも、株価は倍にも上げられる。
スティールはここに注目した。
(たとえば自己株購入→消却という手法をもちいれば簡単らしい。参考
それまでの素人経営にかわって、「プロ」のスティールが筆頭株主になったことを受け、株式市場は敏感に反応、ブルドックの株価は急騰する。
これを示すのがさきほどのグラフである。
この段階で「機は熟した」とばかりに、スティールは18%のプレミアムをのせて、TOBを行うことを発表。
ブルドック側は、当然のように防衛策に打って出る。
ここからが一般的に知られている
スティールVSブルドックの攻防だが、実はこの時点で勝敗は付いていたといえそうだ。
Swingheartさんのブログによくまとまっていたので、以下に引用させていただきました。

ブルドック経営陣は反対。買収防止策として新株予約権を使ったポイズンピルを提案
これは、実質的にはスティール以外の株主が持ってる株を4分割して、
スティールにはその希釈可分の現金を渡すことによって議決権割合を下げる意図。
渡す金額の根拠はスティールのTOB価格を元に算出。

スティールがTOB価格を1700円に引き上げ

このポイズンピル条項が株主総会で80%の賛成をもって可決。

つまり、結果としてはスティールが持ってる株の4分の3をスティールが決めたTOB価格で会社が買い取る形になり、スティールとしては会社のバカさ加減に怒ったふりをしつつも笑いが止まらない。

23億円以上のキャッシュをブルドック→スティールに支払うことに。
※この23億という数字は、現在会社が持ってる現金および短期投資以上であり、
もっというと年間の営業キャッシュフローの2倍w

TOBも、ポイズン・ピルなる買収防衛策も、スティールを含む外資=金貸したちが作り出した土俵。
つまりブルドックは、まんまとその土俵におびき出され、そうとは気付かないうちに身ぐるみ(=2年分の営業利益を)はがされた、ということになる。
気のいい町工場のおっちゃんが、プロの賭場に誘われて、一夜にして全財産を失ったのと同じだ。
そして、日本には「気のいいおっちゃん」はまだまだたくさんいる。
外資の狙いはここではないだろうか。
(補足するなら、企業を金儲けの道具しか見れなくなったから、アメリカの製造業は悉く崩壊していった、ともいえるだろう)
過去にホリエモンが、
「投資家はもっと賢くならなければいけない。そうしないと、ずる賢い人たちにだまされちゃいますよ」
と言ったらしいが、案外これは的を射ている。
しかし、賢くならなければならないのは自分のカネに執着する投資家ではなく、経営者であったり、そこで働く従業員、すなわち僕たちであるはずだ。
ブルドックもそうだったろうが、お客さんのために働く、喜んでもらう、そのための場が会社なんだ、というのが日本人の根底にある労働意識。報酬はこういった労働行為の対価に過ぎない。一義的なものではないのだ。
これを踏みにじる外資の攻勢を防ぐために、彼らが仕掛けてくるトラップの中身を理解しておく必要がある。
そうしないと勝負にならない。
なすすべもなく敗れ去り、働く気力は萎えて行くばかりだ。
さらに、国家レベルでは、世界的な財産ともいえる日本的・本源的な経営を守るために、外資の言うなりに法改正を行なうことを即刻やめてもらう必要がある。
国民・国家が一丸となって対抗していく時期なのだ。

List    投稿者 ohmori | 2008-05-12 | Posted in 04.狙われる国の資産7 Comments » 

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コメント7件

 天仙 | 2008.08.16 16:02

日本は餌付けされた、と言うことですね。
るいネットでも「アメリカの小麦戦略」として
紹介されています。  ↓ ↓ ↓
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=124643

 通行人 | 2008.08.21 22:37

ロックフェラー帝国は、20世紀の最大商品である「原油とガソリン」を押さえた。最大の基盤はサウジの原油だった。
そして、サウジの原油収入は、チェースマンハッタン銀行で管理されていた。
穀物ビジネスは、原油・ガソリンに比して、余り旨みのある産業領域ではなさそうです。
原油・ガソリンに比して、穀物の単価(重量当りの単価)は、10分の1位。その上に、寡占状態による高利益を生み出すことが難しい産業領域です。
かさばる割には利幅が小さい。
その穀物産業に、ロックフェラー帝国が関与してきたのでしょうか?

 s.tanaka | 2008.08.23 0:51

当時は不詳ですが、カーギルとロックフェラーを結ぶ線の一つは遺伝子組み換え作物(GMO)です。
カーギルはモンサントとタッグを組んでGMOを広めている企業ですが、そのモンサントはロックフェラーの財団・研究所からのバックアップをホームページでも公言しています。
また、記事と同時代の’40〜’60年代に起きた有名な「緑の革命」もロックフェラー主導で、デヴィッド・ロックフェラー自身も自伝の中で触れていました。戦略の根っこは同じかも知れないですね。

 wabisawa | 2008.08.23 21:12

通行人さん,s.tanakaさん
コメントありがとうございます。
s.tanakaさんのコメントによると、ロックフェラー自身も緑の革命について触れているようで興味深いですね。
また、「食料価格高騰はなぜおこるの?」シリーズで取り上げられているように、彼らが持つ価格支配力も見逃せません。
ぜひ一緒に調べていきましょう!

 wabisawa | 2008.08.23 23:16

天仙さん
紹介ありがとうございます。
早速、トラックバックを貼らせてもらいました。
またコメントをお願いします(^^)

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