2013-06-06

新たなバブルが始まった?(5)日銀の真の狙いは?

%E5%8D%B0%E5%88%B7.jpeg
ばらまき虚しく株価は世界的に下落中ですが、
今回はアベノミクスの三本の矢の中心政策、大幅な金融緩和を支える日本銀行の真の狙いを探ります。

にほんブログ村 経済ブログへ


●日銀人事とその狙い
安倍内閣の発足後、日銀人事を巡ってマスコミ各社は報道が加熱していましたが、財務省出身で前アジア開発銀行総裁の黒田東彦氏を総裁に、副総裁には前学習院大学教授の岩田規久男氏と前日銀理事の中曽宏氏を選出しました。
中曽氏は前総裁の白川氏の後継と言われてますが、残りの二人は強力なリフレ派です。
リフレとはリフレーションつまりデフレから抜け出し、年率1〜2%の低いインフレ率を実現させる政策で主要にはマネーストックを大幅に増加させること、つまりお札を大量に刷って市場にばらまくことを意味します。安倍政権が推進するリフレ派を据えることで大幅な金融緩和を目指しています。
実際、日銀はマネタリーベース(日銀が供給する通貨)が年間60〜70兆円の増加を目指すと言っています。2014年度までの2年間で135兆円、これは前総裁の白川時代に比べ半分の時間で3倍のばらまきを狙っていることになります。
※総裁別に見た就任後のマネタリーベースの推移

日銀総裁 就任年〜 増加額
速水 98年〜 41兆円
福井 03年〜 17兆円(06年3月がピーク)
白川 08年〜 46兆円
黒田 13年〜 135兆円(2年で達成する見込み)

この急激なばらまきの表向きの理由は、
国債を買い支えることで国債利回りの低下=金利安→住宅ローンなど貸出増
→消費増→景気回復
といったものですが、国債を年間50兆円購入するだけではありません。
ETF(投資信託)に年間1兆円、J-REIT(不動産投資信託)に年間300億円の金額を投入すると公表しています。また、コマーシャルペーパーや社債など企業の資金調達にも応じています(今年末までに2.2兆円、3.2兆円までの残高を買い入れた後、残高を維持する予定)。
国家のばらまき財政や企業の資金繰りを支えるだけでなく、株式市場や不動産市場へ投機し、バブル化を目論んでいるのは明かです。


しかし、これらを合計してもマネタリーベースの目標とする60〜70兆円には及びません。では残りは何に使うのでしょうか?
それは 米国債などの外債 だろうと推測されています。
しかも、10〜20兆円だけが外債に向かうのではありません。市中の債権を大量に購入することで、金利が下がり、銀行や生保など金融機関の投資先が国内から金利の高い海外へシフトする流れが加速します。
既に金融機関や年金運用も数兆円規模の外債へシフトしているようです。


%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E5%82%B5%E6%B5%B7%E5%A4%96%E4%BF%9D%E6%9C%89%E5%88%86.png
米国債国別海外保有率…一位の中国だけでは支えきれない


■アメリカのばらまきを支える日本
外債の中心は言うまでもなく米国債。世界的にばらまきが続いており、アメリカでは最大規模です。
リーマンショック後、経営危機に陥った金融機関を救済するために米国政府が資金を提供し、そのためにFRBが米国債を購入。下落した住宅ローン債権も金融機関からFRBが額面で購入しています。なりふり構わない救済策です。
その結果、アメリカでは国債価格の値上がりによる資産バブルが生じ、好景気に沸いています。
しかし、一方でばらまき続けた結果、米国債に対する信認が揺らぎ始めています。
ブログ 「ビジネス知識源:結局 憑かれた資産バブルか?」吉田繁治より

▼対外純債務国の米国
将来のドル価値が下がると見て、海外がドル債を売り浴びせれば、対外債務が$22.7兆(2270兆円:GDPの1.5倍)と巨大な米国経済は、奈落に沈みます。
(注)米国の対外債務は$22.7兆、対外債権は20兆で、対外純債務は$2.5兆(250兆円)っです。(2010度:2012年米国経済白書 P388)
海外から毎年$5000億の国債を買ってもらい、その分を増加保有してもらう必要がある対外純債務国である米国にとって、ドル価値の減価を見越したドルとドル債売りが、実は、もっとも怖い。
これが起こると、(1)ドルの暴落、(2)米国の金利の高騰になるからです。これを防ぐため、FRBは、出口政策に転じる必要があると考えているようです。出口政策は、FRBが買ってきた米国債やMBSを、逆に売って、市場のドルを吸収して減らすことです。これを、FRBが行えば、米国債を増やして買ってくれるパートナーがないと、米国はドル安になって金利が上がり、経済は不況に沈みます。
【恰好の安倍政権】
従って、「FRBが売りたい米国債を買ってくれる、どこかの国がなければならない」。大口の候補は、世界に中国と日本しかいない。ドイツはユーロで忙しくドルを買う余裕はない。これが、民主党に替わった、安倍政権でした。
2012年の11月以降の、アベノミクスによる円安は、実は、米ドルとドル債買いであり、円と円債の売りです。安くなる通貨は、その通貨(円)の売り超があったことを示すものです。これは、上がった通貨(ドル)の買い超です。つまり、日本から、米国債の買いが大量にはいったから、円安に向かったのです。

日銀の政策は、リーマンショック後の金融機関を救済しバブルをもたらしたFRBをそっくり真似ただけでなく、それ以上に膨大な資金をばらまいて米国を支えることが最大の目的になっているのです。
%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9.jpg
次回は国内にばらまかれ、あるいはアメリカに向かったマネーを使っているのは誰か、マネーゲームの解明へと続きます。

List    投稿者 tsuji1 | 2013-06-06 | Posted in 04.狙われる国の資産No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2013/06/2021.html/trackback


Comment



Comment


*