2008-06-01

株式の電子化でどうなる?

株式が電子化されるということを聞いた事のある人も多いと思う。
株式を持っている人にとっては、いまさらという話題かもしれないが、株式にあまり縁のない人にとっては、よく分からない話ではないだろうか。
実は、来年1月には実施される予定で、間近の話。
電子化されると、今の株券は無効になるという広告を見て、ちょっと興味が出て調べてみたら、株の世界の怪しげな仕組みが見えてきた。
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株式の電子化にも、何か裏がありそうである。
   

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■株式の電子化って?
2009年1月から株券の電子化(株式のペーパーレス化)が本格的に実施される。
上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行なわれることになる。
この電子化の実施によって、株主自身が株券を保管する事に対する紛失や盗難、偽造株券取得のリスクがなくなることと、企業にとっては株券発行に伴うコスト削減に繋がる一方、個人投資家にとっては、自宅や貸金庫など自身で管理している株券、いわゆる「タンス株券」を証券会社を通して電子化する手続きが必要になる。
さて、ここで気になるのが「証券保管振替機構」というものの存在。
株式の電子化によって、最終的にはほとんど全ての株式が、証券会社等を通してここに集められる。現在でも、証券取引の効率化等から、発行株式の約8割が証券保管振替機構に保管されているが、今回の株式電子化によって、残り約2割の個人投資家のタンス株券を集めてしまおうという意図が見える。
ここでは、「証券保管振替機構」とその存在を定義する「証券保管振替制度」のしくみについてまとめてみたいと思う。
■証券保管振替制度
証券保管振替制度は、証券流通市場の円滑な運営を図るため、株券等有価証券の保管・受渡しを効率化、合理化することを目的としている。
昭和59年5月に、「株券等の保管及び振替に関する法律」が制定され、同年12月、この制度の中核となる財団法人証券保管振替機構が設立された。
機構は、昭和60年5月、法務大臣及び大蔵大臣から保管振替機関の指定を受け、平成3年10月から事業を開始し、わが国で唯一の保管振替機関となった。さらに平成14年6月、機構は株式会社化して現在に至る。(通称名『ほふり』)
なお、この制度は、諸外国においても広く採用されており、証券取引所を有するほとんどの国が保管振替機関を有している。
この制度では、有価証券を保管振替機関に集中保管し、有価証券の受渡しを券面そのものの授受に代えて、保管振替機関に設けられた口座間の振替によって処理する。また、有価証券の所有者は、有価証券を保管振替機関に預託したままで権利を行使することができる。
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機構は、預託されている株券について、株主名簿上機構の名義に書き換えたうえで、参加者からの報告に基づき、決算期末等の権利確定日における顧客を実質株主として発行会社に通知する。
発行会社は、この通知に基づいて実質株主名簿を作成するとともに、実質株主に対して直接、配当金の支払い等を行う。
また、預託されている転換社債券・新株予約権付社債券の元利金については、機構が一括して請求を行い、元利金支払期日が到来した時点の顧客に対して、参加者を通じて元利金が支払われる。
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〜以上、証券保管振替機構ホームページ「保管振替制度の仕組み」より抜粋〜
http://www.jasdec.com/bookentry/index.html
株式電子化と証券保管振替制度のポイントとしては以下の4つ
・発行株式が機構に集中保管される仕組み
・株式名義が機構の名義に書き換えられる
・株式電子化により個人保有の株式(タンス株式)も機構に保管しなければならなくなる。
・タンス株式は発行株式の約2〜3割あり、単純計算で時価総額20〜30兆円あるといわれている。
上記の内容から考えると、株式電子化は、単なるペーパーレス化によるコスト削減や効率化が主目的ではなさそうだ。
次回は、株式を電子化し1箇所に集約することによるメリットを、海外の事例も含めて調べてみたいと思う。

List    投稿者 minezo | 2008-06-01 | Posted in 04.狙われる国の資産4 Comments » 

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コメント4件

 やが | 2008.09.23 19:30

破綻件数のグラフを見ると、金融危機が断続的に拡大していく理由(背景)も分かりますね。

 leonrosa | 2008.09.25 11:47

やがさん、コメントありがとう。
久しぶりにリアリティ・トラック社のサイトで数字を拾ってみました。
米国の住宅ローン破綻件数の長期的な趨勢は、以下をみると分かります。
http://www.financial-j.net/blog/2008/05/000551.html

 hermes handbags portugal | 2014.02.02 2:56

hermes retoure 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 住宅ローン破綻は増加中。金融破綻への圧力がまだまだ続く

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