サッポロ買収の狙いは?
サッポロHDに対する、外資系ファンドの買収が話題を集めている。
サッポロHDは、ビールや不動産、飲食業などを手がけるグループ会社である。収益としては不動産による割合が大きいが、有名なのはサッポロビールで、プレミアムビールの先駆けであるヱビスビールを作り出し、原料の大麦やホップの契約栽培にするなど、ビールへの品質追求は業界一の会社である。
そのサッポロHDを買収しようとしているのは、スティール・パートナーズ・ジャパン(以下、スティール)である。スティールの狙いとは一体何か?
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現在のサッポロHDの株価を見てみよう。スティールがサッポロHDの買収を表明した2/15を境に、株価が急激に上昇している。これは、今後スティールがサッポロ株を買い増し、サッポロHDの株価が上昇することを見越して、投資家たちがサッポロHDの株を買っているからである。
先日、スティールはカップ麺メーカーの明星に対して買収を仕掛けて株価をつり上げ、買収から救おうと手をさしのべた日清に株を売り抜けることで、30億以上の利益を上げた。そして、今回もその可能性は高い。
市場関係者の間では、「スティールが提示したTOB価格は割安で、最初からホワイトナイトを引きずり出し、売り抜けるのが狙いだった」(同)との見方が根強い。今回のTOB価格も14日の終値をわずか5%を上回る水準にとどまっており、サッポロへの経営参画を意図したものでは、“2匹目のどじょう”を狙った可能性は高い。
ビール業界は、現在アサヒとキリンがシェア共に37%程度と、拮抗しており、サッポロビール、その中でも特にヱビスビールというブランドを手に入れることで、不動のシェア1位を獲得することができるため、これらが日清のように救済に入る事が予想される。
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一方で、スティールの買収の影響で株価が高騰したこと、人員・工場の多さから、アサヒ、キリンともサッポロ買収には消極的との話もある。
国内のビール市場は縮小が続いているため、経営統合してもサッポロの設備、人員のリストラは不可避。「工場を閉めなければメリットはない」(ビールメーカー首脳)とみられている。
また、株価も昨年10月に500円半ばを示していた株価がスティールの買収提案によって高騰。現在、900円を超える水準に上がっている。アサヒ首脳は「提携に踏み切る勇気はない」とまで断言する。
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200702200021a.nwc
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スティールの西裕介代表はロイターからのインタビューに以下のように答えている。
「株主の観点からみるとビールはマイナーだ。マジョリティーは明らかに不動産」
「不動産のところで戦略的な買い手が関心を示してくれればよい」
「残るとすれば、(買い手の企業との)株式交換の方法もあり得る」
あくまで825円の価格で66.6%まで株を増やすのがベストのシナリオというのが、われわれの立場だ」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/reuters/20070223/119636/
結局、株を売却することも、買収を続けることも視野にいれており、どちらが狙いかはつかみ取れないが、サッポロHDをどうしていくか、という視点からの発言はない。最終的に自分たちの利益が上がればよいというのがスティールの狙いである事は間違いないだろう。
「株主の観点からみると」と言っているように、企業やその製品のことは考えず、ただ、株の価値のみを考えているのがファンドであり、企業はファンドに踊らされてしまっている。こんな構造が良いはずがない。事実を明らかにすることで、その流れを食い止めなければならない。
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