2013-06-24

新たなバブルが始まった?(7)〜米株と米債を支える日本の“異次元金融緩和”

5月22日に最高値をつけた日経平均は、今も下落を続けている。日本株だけでなく、NYダウや欧州株、さらには金・原油の現物も下げ基調が続いている。
早くも崩壊過程に入った?気配すら漂うアベノミクスだが、ヘッジファンドらによる調整に過ぎない可能性もある。
今回は、安倍政権の政策にも強く関わっている可能性の高い米国の状況とあわせて考えてみる。

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●超金融緩和の先行者アメリカ
アメリカは、いま日本で行われている超金融緩和の先行者である。
リーマン・ショックの後、紙クズと化した証券化商品で身動きの取れなくなった米国の金融機関を救うため、米政府は大量の国債を発行して救済策を打ち、FRBはこれらの国債を全て引き受けるとともに、市中のジャンク債権をも吸い上げて凍結、見返りに大量のドルを発行した。
 
この動きは現在も続き、結果、FRBのバランスシートは3倍に急膨張した。


そして、この大量のドル増刷が、リーマン・ショック以降の米国の株価を支えてきた。
2012年9月以降、現在はQE3が実施中だが、これは上図右の説明とグラフの動きで分かるように、バランスシートを激変させたQE1、QE2に比べておとなしいものとなっている。
 
事実、これまでの米政府とFRBの強引なドル供給は、中央銀行制度の崩壊、信用失墜を招きかねないギリギリのラインだった。
そこに加わったのが、今回のアベノミクスによる日本の金融緩和である。
 
●米政府・FRBに代わる日本のマネー
前回記事で整理したように、この間の日本の株高は外国人投資家の大幅な買い越しによるものである。一方、同時進行の円安は、これが海外からの日本投資ではない事を示している。
 
従って、日本の“異次元”緩和で供給された円の流れは以下の2系統と推定される。

1.主に「国内の」外国人投資家に回り、国内の株式投資に使われてきた。
2.大量の円売り→ドル買いに回り、米債・米株に投資されてきた。

 
結果、NYダウは、5月28日に史上最高値を更新した。
NY_DOW.gif

 
つまり、タイミングから見て、黒田日銀の“異次元”金融緩和は、米政府・FRBに代わって、米国債の購入と株の押し上げを支えることが隠れた目的の1つだったと言える。
逆に、この道筋に見通しがついたからこそ、米国は(実際にはさほど劇薬ではない)QE3の実施を宣言し、市場にアピールすることができたのだろう。
アベノミクスの本質は、米ドル・米債買いによる米国FRB救済か?
 
アベノミクスを米国のマスコミや経済人が賞賛したのも当然だったのだ。
 
●白(川)から黒(田)へ。日銀総裁交代を望んだのが誰か?
以上から、アベノミクス政策は、米政府・FRBの意向と密接に通じていることが分かる。そして、これを実現せしめたのは前々回記事でも扱った日銀総裁の交代劇である。
 
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前日銀総裁の白川氏は、世界中の中央銀行が無制限緩和に舵を切る中、異質なほど金融緩和については慎重派を貫き、安倍の政策にも批判的だった。
 
それが、黒田新総裁に変わってから政策が一変した。日銀叩き上げで元BIS副理事の白川、大蔵省出身で元アジア開発銀行総裁の黒田と、経歴も政策理念も対照的な日銀総裁の交代が、アベノミクスの要になっているのは間違いない。
 
少なくとも、民主政権時代の金融抑制的な白川総裁の政策が、米国支配層の思惑に沿ったものではなく、それが黒田新総裁誕生の契機になったことは確実だ。安倍政権は、民主時代後期の菅、野田時代よりも米国寄りの政策に近づいていっている。
 
しかし、その米国自体は、現在は分裂の度を強めている。安倍政権—黒田日銀の背後にいるのは、米国のどの勢力なのか?次回以降、日米の政策担当者たちのつながりも見ていきながら、アベノミクスの仕掛け人の姿を明らかにしてゆきたい。。

List    投稿者 s.tanaka | 2013-06-24 | Posted in 04.狙われる国の資産, 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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