2007-09-28

社会保険庁が解体されてどうなるのか?

様々な不祥事が引き金となって、5月に可決された社会保険庁改革関連法案によって、社会保険庁は解体される事が決まった。
しかし、その解体後の姿がイマイチ良く分からない。
何がどう変わるのか、現時点でわかっている事をまとめてみる。
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社会保険庁が担っていた業務は主に医療保険と公的年金
■社会保険庁が運営する医療保険
・政府管掌健康保険(いわゆる健康保険)・・・被保険者1,968万人、被扶養者1,789万人
                          (参考:健康保険組合が運営する健康保険の被保険者とその家族・・・約3,000万人)
・船員保険(船員)・・・被保険者9万人、被扶養者16万人
■社会保険庁が運営する公的年金
・国民年金・・・・・・・全ての人が強制加入
           基礎年金交付金等を控除した実質的な収入が3兆8千億円(H17年度)
           支出が4兆3千億円(H17年度)
           積立金残高は9兆2千億円(H17年度)
・厚生年金保険・・・会社員強制加入
           基礎年金交付金等を控除した実質的な収入が30兆1千億円(H17年度)
           支出が35兆3千億円(H17年度)
           積立金残高は132兆4千億円(H17年度)
・船員保険・・・船員強制加入
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 社会保険庁改革関連法案では、現社会保険庁を解体して、その業務を6分割する。
 6分割とは、公的年金業務を新設される公法人(日本年金機構)民間企業国税庁厚生労働省の4つに、医療保険業務を新設される公法人(全国健康保険協会)地方厚生局の2つに分割される事を示している。
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(公的年金業務)
・公法人(日本年金機構)
 公的年金に係る一連の運営業務(適用・徴収・記録管理・相談・裁定・給付等)を担う。
 その他に健康保険及び船員保険に関する適用及び徴収、児童手当法の規定により法人が行うこととされた拠出金の徴収等
・民間企業
 日本年金機構の業務の一部を委託。窓口業務の代行や保険相談等。
 具体的な内容は、内閣官房に設置する有識者らによる第三者機関「年金新組織改革推進会議」(仮称)が民間委託の範囲をまとめ、政府が最終的に委託を決定する事になっている。
・国税庁・・・悪質な保険料滞納者への強制徴収を委託
・厚生労働省・・・公的年金に係る財政責任・管理運営責任を担う。
ここで気になるのは、
1.年金業務と医療保険業務を分割するにも関わらず、医療保険の保険料徴収と適用判断はなぜか日本年金機構が行うことになっている。
これは、年金未納者に対する制裁処置の一つとして、医療保険を利用しようとする意図が見え隠れしているように思う。
2.平成16年の年金改正で一定期間年金保険料率を段階的に上げたあと、積立金の取り崩しによって、固定された保険料水準の下で給付水準をできるだけ高く保つ事が決められている。
現状の積立金の積立度合いは給付費の5年分程度だが、それを今後概ね100年間で給付費の1年分にまで下げるという内容で、100年は年金制度が維持されるとうたっているが、資金運用の穴埋めに積立金を使えるようにしただけともいえる。
(医療保険業務)
・公法人(全国健康保険協会)・・・健康保険業務の内、健康保険の適用及び徴収を除く、その他の業務を担う。国から切り離された保険者として、都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険料率を設定するなど、都道府県単位の財政運営を基本とする。
・地方厚生局・・・保険医療機関への指導監督を担う。
公的年金(国民年金、厚生年金)を管轄する「日本年金機構」は平成22年1月に設立される予定で、医療保険(政府管掌健康保険、船員保険)を管轄する「全国健康保険協会」は平成20年10月に設立される予定である。
ここで気になるのは、基本的な運営を都道府県に任せ、保険料率を都道府県ごとに決定できるようにしたことである。
医療保険制度の行き詰まりの問題を、国から都道府県に押し付けただけのように思う。
以上が、現時点で決まっている内容である。
大枠は決められているが、それを運営する公法人の職員採用基準、業務範囲は決まっていない。検討し始めたばかりという状況である。
また、民間に委託する業務範囲も決まっていない。こちらは全くの手付かずというのが実体のようだ。
最近、郵政民営化に伴い、郵便貯金、簡易保険の資金の「運用担当」が、米国銀行ゴールドマン・サックス社に決まった。
ゴールドマン・サックスは日本の郵便局の資金で、中国に今後10年以上をかけて原子力発電所の建設に投資する事を決定したらしい。
社保庁解体後も同じような事が予想される。
ろくに中身を決める事もなく、あっさりと外資系の企業に150兆にも上る積立金を握られ、海外へと流出されていく。
それを可能にする道筋だけが決められているというのが、今の状況ではないだろうか?

List    投稿者 minezo | 2007-09-28 | Posted in 03.国の借金どうなる?8 Comments » 

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コメント8件

 このブログ応援団! | 2007.11.19 5:13

このシリーズもついに終わりですか、お疲れ様でした!全部読ませて頂きました。
しかしながら、自分の中で一つまだ明らかになりませんでした。それは、今回のサブプライム問題、「誰が勝者(儲ける)で敗者(損する)なのか?」という点です。
確かにアメリカの大手銀行がこぞって損を出していますが、おそらくこのバブル崩壊は事前に知っていたのでは(織り込み済み)と思います。崩壊前に、すでにある程度儲けており、その後、貸し手の個人の資産を押さえることによって現物を手に入れようとしているのではと思います。また今、下落した住宅を買いあさってる投資家も多いと思います。
最大の敗者は、アメリカの市民で、特にサブプライムローンの借り手だった黒人や移民層ではないかということです。またそれはコミュニティーの崩壊にもつながってるようです。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/071118/fnc0711181750001-n1.htm
今後、住宅価格上昇期待でサブプライムローンを組んで、破綻した人の人生がどうなるのか心配です。日本のバブルの時も最後につかまされた人は大きな借金をしたと思います、最大の敗者は不良債権を出した銀行ではなく、日本人のごく普通の一般市民だったのだと思います。

 匿名 | 2007.11.19 16:17

>最大の敗者は、アメリカの市民で、特に
>サブプライムローンの借り手だった黒人
>や移民層
いや、アッケラカーのカーの人たちですから、踏み倒す人間が一番強いよ。
もともと信用力ゼロだったんだから元に戻っただけの話。

 コスモス | 2007.11.19 22:32

このブログ応援団!さん。
 
コメントありがとうございます!!
しかも、シリーズ全部に目を通して頂けるとは...感謝です。
 
>しかしながら、自分の中で一つまだ明らかになりませんでした。それは、今回のサブプライム問題、「誰が勝者(儲ける)で敗者(損する)なのか?」という点です。
 
はい、この点はこのシリーズでも明確にはなっていませんし、他を調べてもはっきりしたものが見つかっていません。
 
銀行、証券、ファンド本体、それらを束ねる金融資本・・・誰がいつどこでどの程度儲けているのか、損と合わせて収支はどうなっているのか・・・?
 
ぜひ明らかにしたい所です。
 
遅くまでお付き合い頂いているようで、お体にはお気を付け下さい。
 
新展開は構想中です。いつになるかハッキリしませんが、お楽しみに!
 
本当にありがとうございました。

 コスモス | 2007.12.04 23:00

>いや、アッケラカーのカーの人たちですから、踏み倒す人間が一番強いよ。
でぶりんこひーちゃん・・・?
よろしくです。

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