2022-01-01

2022年、円安から日米欧金融破綻のストーリー

2022年あけましておめでとうございます。

昨年は、コロナ →積極財政とQE拡大で先進国の財政が悪化、
CO2削減や中露によるガスや石炭の供給制限からインフレが進み始め、
いつまでQEを続けるかと思ったら、年末からFRB先頭に急にQE削減の動きが鮮明になってきた。
今年は、いよいよ金融崩壊の年になるのか?

また、昨年は円安=日本の弱さが決定的になった年でもあります。年末に円の強さは50年前に逆戻りしたとのニュースがありました。一人当たりのGDPも韓国に抜かれ、台湾に抜かれるのも時間の問題。このままだと数年後は発展途上国の仲間入り。その前に財政破綻か。

年明け早々、景気の悪い予測ですが、金融崩壊のストーリーを考えてみました。


●日銀が利上げに動くか?

FRBが利上げに動くのは織り込み済み。
しかし、ここに来て日銀が緊急利上げに動くと言うシナリオが出ている。
2022年、日銀「緊急利上げ」に現実味

本当のインフレが来ても利上げできない。1200兆円という債務を抱える日本政府は、利上げしたらその分利払いが増え、財政余力がなくなっていく。従って大した利上げはできない。
→しかし、利子がつかなければ、トルコのように自国通貨が急落していく。
このジレンマの中で、円はジリジリと下がっていく。
※昨年、円はブラジルやトルコ通貨に並んでの下落、円はもう第三国入りしたかのような騰落率になった。もう日本は発展途上国と言った方がよいのかもしれない。

【2021年10月のドルに対する騰落率】

→円が下がると、円の国債を持つ海外投資家が円国債を売り始める。
→円がさらに下がる。同時に国債金利が上がる。結果的に金利が上がり、国債価格が下がっていく。その悪循環に陥っていく。
このようにして、円安と国債金利上昇、この2つが起こる。


●円国債の投げ売りが起こる?

国債がよく売れるのは、買ったときより金利が下がって、国債価格が上がると予想さ
れる時期、年度。
しかし、現在マイナス~ゼロ金利の限界に達している長期金利がさらに下がることは
ない。
破綻に向うのは
・日銀が国債の買い増しを続けるにかかわらず、
・新規国債の市場への投入が、市場の期待金利を一層上げるようになったときから、
財政破綻に向う。
→★国債金利に要注意(日銀が金利をコントロールできなくなって上昇し始める時)
・金利が少しであっても上がる一方と想定されるようになると、国債の保有で損が
予想する内外の金融機関に国債の売りが増えていく。
・市場(投資家)の期待金利が上昇する過程で
海外の金融機関が、マイナス金利の150兆円の短期国債を、ほぼ同時に売るので、円
の将来の短期金利が「0%→1%→2%」に向かうと見えたとき、2016年からのマイナ
ス金利の中で高く買われてきた、10年以内の中短期の、円国債の投げ売りが起こる。

※海外投資家、利益だけしか求めない彼らは「国債下落=期待金利の上昇」を主導する。
国債を持たなくても「先物売りやオプション売り」でいくらでも売ることができる。
GDP※比2.4倍(1280兆円)という政府債務の大きさが3%という普通なら低い金利
でも、財政を破綻させる。利払いだけで38兆円。国債の償還と財政予算の支出ができ
なくなる。
※大きな円安になって、海外投資家の為替差損が、10兆円(7%)、20兆円
(13%)、30兆円(20%)と拡大していくから。海外投資家は、ゼロ%に近い利回
りの何十倍にもなる円安からくる為替差損を、なりより恐れる。海外の円国債の保
有にとって怖いのは、金利より2%~3%の傾向の円安。
※円の価値を決めているのは外為の投資家集団。外為市場で利益を目的にした円の売買
は1日120兆円の巨大さ。日本株売買の50倍で、日銀でさえ対抗できない。


●政府デフォルトへ

金融市場の期待金利が上がり、国債が売れにくくなると、国債の発行難に陥る財政赤
字(=資金不足)の政府は、一層の資金不足になって、デフォルトに向かう。わが国
では、前述のように、債券市場の期待金利が3%に上がると、政府財政は、数年で破産
☆市場の期待金利が、日銀の金利誘導が効かず、上がり始めたとき、政府が破産に向
かう期間の猶予は、数か月しかないかも知れない。


●日本のデフォルトから、アメリカも同時破綻する

財政が破産に向かうと、資金不足に陥った政府は、対外資産である外貨準備の米国債
を売りに出すはず、日本の政府債務の2倍はある米国の22兆ドル(2400兆円)の国債
の金利が上がり(ドル国債の価格が下がって)、海外に売れなくなるため、1年に1兆
ドル(110兆円/年)以上の資金不足がある米国財政も、同時に破産。
米国債のウィークポイントは、対外負債の大きな新興国のように、約40%を海外がも
つこと。米国は、海外の政府と金融機関がもつ国債約8兆ドルを含み、対外総負債36
兆ドル(3960兆円)、対外純負債10兆ドル(1100兆円)の国です。貿易の赤字のた
め、この対外純債務が減ることはなく、対外デフォルトに至るまで増え続ける。

※上記参考「臨界点を超える世界経済」吉田繁治

現在の金融経済は、通貨の過剰発行 →バブルを積み重ねた砂上の楼閣。
どこか弱いところから崩れ落ちていく。
それがどこなのか、円かもしれないし、中国の不動産、アメリカの社債市場の可能性もある。
どこから崩れてもおかしくない状況に突入している。

重要なのは、新たな秩序がそこから立ち上がることだ。
円も始めて、ドルの従属通貨の位置から立ち上がる機会になるのかもしれない。

by タロウ

List    投稿者 inoue-hi | 2022-01-01 | Posted in 03.国の借金どうなる?, 05.瓦解する基軸通貨1 Comment » 

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コメント1件

 匿名 | 2022.01.02 8:48

本年もよろしくお願いします

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