2019-01-11

迫りくる大暴落と戦争刺激経済-15~お金がジャブジャブしている世界で、みんなお金がなくて困っている~

東芝 シャープ

大暴落の引き金を引いた中国。その背後の動きやロシアの動向等は、これからも注意しながら押えていくこととします。

今回からはまた、副島氏の著書に話しを戻します。表題にあるように、現在の世界経済は矛盾に満ちており、これは必然的にそのシステムの崩壊を意味することは自明です。

その現状を日本に絞ってみていきます。

 

シャープも東芝もアメリカによってやられた。次は日立のこと。三菱重工は原爆を作れる国策会社故、国から守られている。とのこと。

 

世界バブルはCDS等のデリバティブにデリバティブを重ね、さらにデリバティブさらに・・・と未曽有の金融危機に陥っています。副島氏によれば、一度ぶち壊す戦争経済しかないとのことですが、北朝鮮とアメリカ:トランプとの対話が続き今のところ火種はないように見える。ロシアの目があるのでアメリカもそう簡単には戦争はできない状況だろう。

 

ジャブジャブ・マネーのバブルにも関わらず世界中の国家、銀行、生保など「お金がない」状況とのこと。巨額簿外債務がどこまでふくらんでいるか、誰もわからない。ドイツ銀行という一つの民間銀行の負債が、ドイツ国家のGDPの20倍もあるということからも、最悪の状況であることが分かる。前回も書いたが、現代の世界経済はすでにシステム破綻に陥っており、その崩壊がどのように進むのか?新しい経済システムに取って代わるのか?それを見通していく必要があります。

 

日本が世界の取引の4割を占めるビットコインについても、新しい経済システムになりえるのか?ブロックチェーンの信頼性も揺らぎちょっと微妙な感じになって来ています。

 

株や債券取引はAIが主流になって、ロボットのスピード性能が勝敗を決し、人間が関与しなくても成立する殺伐とした世界になろうとしています。

そういった中で、人間同士の人肌のふれあいを渇望する意識が高まってきているように思われます。ルームシェア、ワークシェア、シェアカフェ、お裾分けなど、持ちつ持たれつの関係が広がっています。経済もこのような人間らしい方向に進むのかもしれません。人類最初の経済活動である贈与経済が新しいシステムになる可能性もあります。

 

『迫りくる大暴落と戦争“刺激”経済』(副島隆彦 著)からの紹介です。

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■次は日立が狙われている

 

大谷 製造業では、シャープがやられて、東芝がやられて、次は日立だろうというので、日立が防衛態勢をとり始めています。何から崩されていくのか。大分狙い撃ちされています。

証券会社からいろいろなアナウンス、リリースが出始めました。まずは子会社の上場、孫会社の上場はガバナンス上、いかがなものかというので攻撃され始めました。ESG投資なのか何投資なのかわかりませんが、アクティビストみたいなのの突っ込みどころが出てきました。

 

副島 私の弟子で原発技術者の相田英男君が『東芝はなぜ原発で失敗したのか』という本を書いて、東芝が食いものしたのはGE(ジェネラル・エレクトリック社)だ、と。ところがそのGEが危ないといっている。今、GEの株価は13ドルだ。GEはもう見放されて終わりだ。ウォーレン・バフェットもジョージ・ソロスもとっくに売り払った。GEはつぶれる。東芝はGEの道連れにされた。日立は必死でそこから逃げたらしい。

 

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大谷 そうですか。日立は偉いですね。

 

副島 三菱重工もその前に逃げたけれど。日本政府は三菱重工を絶対に守らなければいけない。なぜならばロケット(運搬システム)とプルトニウム(爆発物)の2つで核兵器を作らなければいけないから。この2つを作っている三菱重工は、国策会社だから絶対に守られている。だけど、日立は大きい分だけ危ない。売上げは9兆円ある。三菱重工の3倍だ。

 

大谷 日立売りを外人投資家が仕掛けようとしています。アナリストに先にショートなレポートを書かせてマーケットの動きを打診して、どこでかぶせに来るか。そこを注目してみています。

 

■お金の行き場がなくなったあと、戦争経済しか選択肢はなくなった

 

副島 リーマン・ショック以降の世界で、巨額の資金が量的緩和(QE)によって作られた。ジャブジャブ・マネーです。いわば世界経済全体が大量に水増しされた状態になっている。今、FRBはインフレを警戒して緩和からの出口を探っている。せっかくトランプ相場で史上最高値をつけていたNYダウが、2000ドル以上下げた。今も株式市場は不安定でジェットコースター相場になっている。緩和マネーが行き場を失って、一つは金や石油などコモディティ(基本物資)に向かっている。この巨額マネーは次にどこへ行くのか。

 

大谷 世界のマネーがアンワイドというか、戻ってきていますね。行き場がなくなって、それがまさしく過剰流動性になる。でも、行き場がないので、最後は副島理論のとおり、壊しに掛かると思います。壊すことで需要を作り出しにいくしかないと思います。

 

副島 つまり、戦争による大きな破壊によって、需要を喚起しなければもう救えないという方向にどうしても動く。やっぱり戦争をやって、戦争経済になる。

 

大谷 そうですね。債券を作って、その債券をヘッジするためのデリバティブを作って。そのデリバティブをヘッジするためのデリバティブのデリバティブを作って。それを無限大にずっとやって、1ベーシスのサヤを100回取れば100ベーシス(1パーセント)になるというのが今の世界です。

今はリーマン・ショックのときよりもはるかに残高は増えていますのでね。ここが崩れたら大ごとです。その破局が来る前にどこかを壊し(戦争)にかかるんでしょうね。

副島先生がすでに本に書かれていますが、株については軍需関連を、いろいろな証券会社がはやすようになってきました。

 

■日本の生保が米国債30年物の償還でプレッシャーを受けている。

 

大谷 アンワインドの話しに戻ります。今、日本の生保がものすごくプレッシャーを受けている。それはアメリカの30年物国債の償還が迫っているからです。1980年代のバブルで日本が強かった頃、アメリカの証券市場を日本の生保が牛耳っていた。その頃大量に買ってしこっていたものの満期での償還が今来ている。これをどうするか問題がかなり生保のプレッシャーになっているようです。だから、今、生保は変な動きをしている。日本の米国債保有残高が減っているのは、彼らが買っていないからかもしれません。

 

副島 もう買えない。客(契約者)への保険金の支払もできない。もうおかしくなっている。

 

大谷 当局の言いなりになってきたけれど、これ以上やられると死ぬというところまで追い込まれているのでしょう。1990年から30年後の2020年に、米国債30年物の償還が問題化してくる。中国人がこれを買ってくれるのであれば付け替えができますけれど、買ってくれなければ。サウジアラビアが買ってくれれば付け替えができますけれども、買ってくれなければ。その話はこれから進んでいきます。

 

副島 サウジアラビアだって現金がほしい。アラコムをニューヨークに上場させて2兆ドル(200兆円)を手にしようと必死だ。

 

大谷 みんなお金がないんです。お金がジャブジャブしている世界で、みんなお金がなくて困っている。巨大な損失をオフバランスでバランスしているから、本当は金がないんだと考えないと、理屈が合いません。ジャブジャブ・マネーなのに、誰も金がない。

ものすごい損失が膨らんでいないとバランスしていないはずなのです。そのものすごい損失がどこかに隠されている。

 

副島 本当の借金帳簿は全部、隠している。オフブック・バランスで隠している。オフオフ・ブックもある。各国政府も大銀行もみんないんちきをやっている。巨額の負債を簿外に隠し持っているようだね。結局、FRBがドルを、現金を大量に刷り散らかす。いくらだって際限なく刷れる。何の根拠もなく、お金を作れる。リチャード・ヴェルナーが中央銀行は無限にお札(紙幣)を作れると言っている。それが量的緩和(QE)だった。リーマン・ショックの2008年からQEでやってはいけないことをやったんだ。

分かっているけれども、どうしようもない。ぶっ壊れるところまで行くしかない。だから実物経済で実体のある財産を持っている人だけが、生き残れる。株だって預金だって危ない。みんな紙キレで、デジタルマネーだ。

ビットコインはある時期に淘汰されながらも生き残るだろう。変なゴキブリみたいな、わけの分からないものだから、かえって強い。国家が管理できない通貨だから。中国もロシアも自分のを作ると言い出した。三菱だってフィンテックと言いながら、アレはビットコインだろう。仮想通貨を自分で作って、わけの分からない資金の隠し方と言うか逃がし方をするんだろうね

 

■ビットコイン取引のほとんどが日本からになっている

 

副島 噂では、世界のビットコイン取引の4割は日本で成立しているという。本当らしい。ほとんどは、投機屋の投資家、あとはファンドの連中。日本の大銀行など機関投資家(インスティチューショナル・インベスターズ)まで入ってきているというのは本当かな。そんな危ないことができるのか。ひとりひとりのファンドマネージャーたちにしてみれば、損を抱えた分を一気に取り戻したい、ということで手を出すのだろうが。

 

大谷 やろうとしているのでしょうが、ビットコインそのものが、銀行を壊すわけですよね、先生のお書きになった『銀行消滅』ではないですけれど。もう銀行なんかいらないよ、という話しになってきた。銀行が自分を自分で壊すことができるか、というと、できないと思います。なので、ビットコインを封じ込めようとしているのでしょう。黒田日銀のマイナス金利みたいなもので、動きをとらせないように。でも無理でしょうね。三菱UFJ銀行が、最初に300店舗、内部取引だけビットコインでやるといっていますが、無理だと思います。

 

副島 ブロックチェーンのやり方を、皆勉強して習得したでしょうね。日本人は頭がいいから。特にコンピューター屋たちは。

 

大谷 勉強したのでしょうね。平野洋一郎という人が、ブロックチェーン協会を作ってやっている。社会実験も少しずつ始めている。平野と言う人は、動きが早いですよ。これです短ダートかできるかどうか、ですよ。ロンドンと東京でイギリスの企業と組んでやろうとしている。でも、上海とかシンガポールが東京に乗ってこないらしい。自分がシンガポールに行って、今、架橋系の資本を必死になって口説いているみたいですよ。ちょっと分からないですね。

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