地方財政がヤバイ・・・各自治体の取り組みの好例
徳島県の真ん中にある人口2,200人足らずの上勝町。この小さな町が、にわかに脚光を浴びています。その理由は二つ。一つはお年寄りが大活躍している第三セクター「いろどり」。そしてもう一つが、昨年9月に日本で初めて採択された「ごみゼロ宣言」です。即興的な町おこしに終わらない、アイデア溢れる町の取り組みに、住民が一丸となっているようです。
そんな町を紹介します。(リンク)
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◆ 高齢化社会を支える取り組み『いろどり』
◇ 町の主役をお年寄りにした第三セクター
これといった産業のない町にとって、山に囲まれた地形が農業を営むにもネックであったことは、想像に難くありません。
上勝町では、温暖な気候に適したみかんやすだちなどの柑橘類を、主な農作物としていました。しかし1981年の大寒波でみかんの生産に行き詰まってしまいます。大被害を受けた生産農家を救済するために、「みかんに代わる農作物を」とさまざまな農作物が考えられました。その中のひとつが、料亭などで使われる「つまもの」販売。それが『いろどり』です。
当時、農協の職員だった横石知二さん(現いろどり取締役)は、出張先で入ったすし屋でこのビジネスを思いついたそうです。 いろどりに参加するようになった人たちが、新たに道路沿いに出荷できるもみじや柿などを植えたため、町の景観もずいぶん美しくなったそう。
「料理に添えられているつまものを持ち帰ろうとしている客を見て、これなら山にいくらでもあると、ひらめいたんです」と横石さん。山の中で、とりわけ女性ができる産業を、と考えていた矢先のこと。86年に葉っぱの試験的出荷が始まりました。
当初料理人の反応は薄かったそうです。横石さんは料亭に通ったり、料理人を招いたりして、つまものの役割や料理と葉の組み合わせを勉強します。それらの知識が収穫に反映されるようになると、『いろどり』の売り上げは順調に伸びていきました。今では、年間2億5千万円も売り上げる、上勝町を代表する生業になっています 。
◆ ごみゼロ宣言という挑戦
◇ 34分別がごみの量を減らす
上勝町では『ごみゼロ宣言』が、昨年9月に採択されました。2020年までに、という期限つきではありますが、「焼却・埋め立てによるごみの処理を限りなくゼロに近づける努力をする」というものです。
もともと上勝町では、ごみを野焼きしていました。ごみの適正処理を図るなかで、まずは生ごみの堆肥化に取り組みます。生ごみ処理機の購入費補助制度をいち早く導入し、各家庭で生ごみの処理をしてもらうことに。その普及率は98%に及びます。現在、生ごみの回収は行われていません。
上勝町では、34分別導入後、可燃ごみはそれ以前の3割にまで減少したそうです。一般家庭ごみの再資源化率は75%以上に達しています。ところで、上勝町にはごみ収集車が走りません。町民が唯一の集積所「ごみステーション」に持参します。お年寄りはさぞ不便を感じているのでは?と心配してしまいますが、ここでも住民の知恵が働いています。車を持たないお年寄りのごみは、ボランティアグループ「利再来上勝(リサイクルかみかつ)」が無料で運搬。自分のごみを運ぶついでにお年寄りに声をかけるから、声をかけられた方も気兼ねなく頼めるそうです。また、集落単位で収集場所を独自に設け、住民が順番に運搬している地区もあるそうです。住民の自発的な活動が町の取り組みを支えることで、ごみは確実に減っているのです。
◆ 棚田保全のために
急峻な山の中で米を作るために考えられた棚田。上勝町の水田の多くが、この棚田です。棚田は雨水を一枚一枚の水田に留め、治水ダムの役割を果たします。また水の浄化機能もあり、川に流れ込む水をきれいにしています。
一方で、水田一枚一枚の面積が小さく、農機具の入らない棚田の耕作を人力で続けていくことは、とても大変なこと。ましてやお年寄りには過酷な労働です。多くの過疎の村で、耕作放棄地が増えているのが現状です。上勝町では棚田保全のために、一部の棚田でオーナー制度を取り入れることにしました。徳島市など都市部の人に、棚田での農業体験をしてもらおうというもの。オーナーは秋の収穫期に、自分たちの手で育てた米を受け取ることができます。
この「いろどり」の成功をきっかけに、町では続々と第3セクターを立ち上げ、今では「いろどり」を含め5つの事業を展開しています。しかもその5つの事業すべてが黒字経営だといいます。
「町をなんとかしたい。」という思いが行動と結果につながり、新たな雇用を産み出し、町は少しづつ活気を取り戻しIターン希望者も増加、平成の大合併も無縁の町となりました。まちおこしの好例として全国から注目され、若い世代の人たちも大勢集まって来る。地域ビジネスと環境の発信地となったのです。更に、町の人々の間に生まれた自信と絆は、町を守る環境意識の高揚につながり「ゼロ・ウェイスト」(ごみゼロ) 宣言に繋がります。上勝町は2020年までに「焼却なし・埋め立てなし」のごみゼロを目指します。この宣言は、日本で初めてという。
このように、町の財政改善を緊縮一点張りと捉えるのではなく、新しい事業を展開していく中でお年寄りが元気になれば町も元気になる。更に環境問題意識から、ゴミ宣言、棚田保全等と村民自身が自ら、地域活動に取り組んでいく姿勢は、これからの地方行政を活性化していくひとつの好例として注目されると思います。
BYシロハナミズキ
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