2007-10-10

地方税収格差問題はゴマカシだ

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最近、「都道府県、税収格差3.1倍」という見出しの記事」が新聞紙上に載った
トップの東京都と最下位の沖縄県では一人当たりの地方税収格差が実に3.1倍もある という記事だ
そして関連する問題として、既に法案化された「ふるさと納税制度」が俎上に上げられる
しかし、これらの議論はゴマカシではないだろうか…
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まず基礎的な実態から見ると…
・地方税には、都道府県税と市町村税があり、その主要な中身は以下の通りだ(リンク)
*都道府県税…事業税(32%)、都道府県民税(24%)、地方消費税(17%)
*市町村税 …固定資産税(45%)、市町村民税(42%)

これらの中で地方間の格差が大きいものは法人関係税、具体的には法人事業税と法人住民税で最近の輸出主導型の好景気の結果、東京などの大都市と地方の格差が拡大している。
・しかし、現在の制度下での地方の歳入の中で地方税収はごく一部にしか過ぎない
リンク
国から配分される地方交付税まで含めた、一人あたりの税収を見ると、地方と大都市の関係は逆転している。
俗に言われる3割自治の結果であるが、3割しかない地方税の格差を議論してもあまり意味がないのは明らかだろう。
まして、それを根拠にした「ふるさと納税制度」などの議論は何なのか。
地方税制に対する国民の意識を高める、などという理由付けをする向きもあるようだが、
国と地方の間の税源配分の問題を地方間の格差に摩り替えるゴマカシではないだろうか。
平成5年の衆参両院での「地方分権の推進に関する決議」以降、地方分権体制に移行する動きはスピードを早めながら進行している。
その中で、地方税財政制度の見直しの議論が行われ、国と地方の間の税収構造の見直しが議論されてきた。
従来からの中央集権的な財政システムについては以下のような整理がされている。

<メリット>
①地方税の不均衡を是正する効果
②基本的な公共サービスを全国的に普及する
③地方における社会資本整備を可能にする
④景気対策などの財政政策を効果的に実施できる
<デメリット>
①自治体の主体性が損なわれる
②地方財政が放漫化する
③財政赤字が拡大する

上記は、これまでの状況を端的に説明しているとは思うが、後付けの解説でしかないとも言える。
現在の地方格差にまつわる問題点としては以下のような点が挙げられている。
●地方経済の構造問題…公共事業への依存度が高かった地方経済は下降する一方
●三位一体改革に対する不満…国の財政再建が優先され、交付税の縮小で格差がむしろ拡大した
●地方の公共サービスの格差が拡大…余裕のある大都市と地方との格差がさらに拡大する傾向

確かに、これまでの地方行政は
 ・国主導の公共事業、社会資本整備に追従して多額の負債を抱え込んだり、
 ・地方交付税などを当て込んで分不相応な行政サービスを実施して財政が赤字体質化したり 
といった結果を招き、これらは地方行政の主体性の無さや放漫経営といったことが原因であるという理屈が言われてきた。
いまのままでは地方行政は変わらないから統治体制そのものを変えるべし、というのが地方分権〜道州制を推進する立場の人たちの理屈だ。
しかし、地方行政も住民もいつまでも変わらないわけではない。
状況を認識すれば人々の意識は変わるし、地方行政も変わる。
(むしろ、地方財政の破綻を招いた張本人たる中央官僚たちの方は、現実は変わらない、変わってほしくない、と思っているフシがあるが)
地方分権や道州制は既定路線だとして性急に進める前に、これからの国の統治体制としてどういう姿が望ましいのか、地方分権とはどういうことなのか、といったことを改めてみんなで考えることが必要だろう。
by わっと

List    投稿者 wyama | 2007-10-10 | Posted in 03.国の借金どうなる?1 Comment » 

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コメント1件

 hermes handbags shop | 2014.02.02 11:21

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