2007-07-16

地方分権改革の行方は?その2

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現在、政府は地方分権を推進すべく、非常に早いペースで、法案、体制づくりの準備に突入しているが、ここに、自治労連の地方自治問題研究機構が2007年03月16日(金)付けのブログで、読売「統一地方選・首長アンケート」(3月15日)から、全知事、市区町村長の地方分権に対する意見を取り上げている。この結果から、中央(政府)と地方の温度差に正直驚いた。
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●読売新聞(3月15日付け)が「『小泉改革で中央・地方に格差』…読売首長アンケート」という記事を掲載した。ネットに配信されたものはわずかであるが、まず引用をしておく。(リンク
以下引用
「4月の統一地方選を前に、全知事、市区町村長の計1882人(2月1日現在)を対象に読売新聞社が行った「全国自治体首長アンケート」で、全体の9割が「小泉改革」によって中央と地方の格差が広がったと感じていることがわかった。
選挙の争点となる重要政策課題では、財政再建や地域経済の活性化が上位に挙げられるなど、厳しい財政、経済事情の中、やりくりに苦悩する首長の姿が浮かび上がった。
アンケートは、インターネットの画面で回答する方法で、1月末〜2月末に1718人から回答を得た。
統一地方選で争点になると考える重要政策課題(複数回答)で、一番多かったのは、公的介護保険や医療、少子化対策などの「福祉政策」(64・8%)だったが、「地方財政の再建」(63・7%)、「雇用・景気対策など地域経済の活性化」(57・6%)がわずかな差で続いた。
三位一体改革や規制緩和などの「小泉改革」で、格差が広がったかとの問いには、「そう思う」が54・8%で、「どちらかと言えばそう思う」と合わせると89・2%に上った。格差を感じる首長の割合は、人口規模が小さいほど高く、5000人未満の自治体では96・2%が格差の広がりを認めたが、50万人以上では75・9%にとどまった。
また、地域経済の実感に対する質問では、「上向いている」との回答は21・2%。これに対し、「悪化している」が27・5%、「変わっていない」が50・7%を占め、冷え込んだ地方経済のてこ入れに腐心していることをうかがわせた。」
引用終わり

Ⅱ)国と自治体の財政関係ー自治体財政の逼迫
多くの首長は、自治体経営が一層困難に陥りつつあることを、正確に認識しているようである。特に、小規模自治体の首長にあっては、深刻である。読売のアンケートで「なるほど」と思ったのは、日本全体で、財政状況「厳しい」と回答した首長の割合が、「90%以上」「80%〜90%未満」・・・「60%未満」という分類で、日本地図が色分けされているのであるが、最後の60%未満は東京だけである。そして、その一つ上のランク「60%以上70%未満」は神奈川から愛知までの「太平洋ベルト」地帯のみ。そして、それに新潟や岐阜、北関東などが続くという「色分け」になっている。地域経済の状態について「悪化」という認識は、北海道が一番高く60%を超えている。これに四国や九州が続く。
常識と見事に「一致」しているのではないだろうか。これは、ある意味で小泉構造改革の「たまもの」である点が重要である。つまり地域経済の状態→自治体の財政状態→自治体経営の困難化という「三位一体」現象が強化されたということであろう。従前は、この「→」(矢印)は地方交付税や補助金の配布によって、地域間の所得再分配によって、ある程度「緩和」されてきた面がある。
                        〜中略〜
首長アンケートを見ると「地方分権を進める上で不可欠な条件」という質問があり、トップは
「税財源の充実」86%、続いて「国と地方の役割分担」「地方への権限の移譲」
となっている。なんのことはない役割分担や権限の移譲などを通じても、地方への財政圧迫は貫徹されるから、分権が進めば進むほど、地方の財政、台所は苦しくなるという「だけ」の話になっている。これが「地方分権」の真の姿ならば、地方分権などは「いらない」ということになるだろう。なおかつ「分権推進」というなら、この大前提を覆す必要があるわけだ。その前提なしに、「分権」だけを主張することは、まさに「自虐的」発想であろう。
ところがこの「自虐的」発想をし、推進している勢力もある。全国知事会などがそれに該当する。
読売の今回のアンケートについて、北川正恭氏がコメントを寄せている。
「自立促進がポイント」であると。「自立」した瞬間に「死」に到る自治体が多い中で、結構なコメントである。いい加減に「自立」の大安売りはやめた方が良い。地方交付税や国庫支出金を貰っているからと言って「自立」していないわけではない。所得がない障害者から負担金を取り、「支援」と言い、「自立」を迫る国であるから、「自立」というタームは余程、時の支配層にとって都合のよいものなのだろう。(以上ブログより)
最近、地方分権化に向けての、お題目は、叫ばれてはいるものの、どうも、地方分権を推進するする事だけで、総体として日本全体に活力が上昇していくと到底思えない。政策論やべき論だけが先行して、結果、今までと同じ轍を踏み、更に地方財政が悪化していくとは考えられないか?これからも注視の必要を感じる。

List    投稿者 orisay | 2007-07-16 | Posted in 03.国の借金どうなる?9 Comments » 

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コメント9件

 匿名 | 2007.08.20 18:35

>幕藩体制という地方分権体制
幕藩が地方分権だとは、初めて聞きました。
普通は封建制度というのだと思いますが。

 わっと | 2007.08.21 1:28

>幕藩が地方分権だとは、初めて聞きました。
>普通は封建制度というのだと思いますが。
おっしゃるとおり、江戸時代の社会は封建制度とよばれていますね。
この記事では、国家の権力体制を中央集権か地方分権かという区分をした場合に、地方分権体制であるという意味で記述しました。
封建制度下の社会は地方分権体制であると言えます。

 匿名 | 2007.08.21 21:30

「国家の権力体制を中央集権か地方分権かという区分」
この区分を行うと江戸時代は分類できない、というのが普通だと思います。実際、本文でも江戸時代を地方分権とするアバンギャルドな見解に立つ論考は行われていませんよね。

 わっと | 2007.08.25 19:44

道州制に関する文献では、江戸期は「半集権的」、「半分権的」社会…といった記述がされています。
幕藩体制を「地方分権」と言い切るのはたしかにおおざっぱすぎるかもしれませんね。
そのあたりは、折を見て、整理してみたいと思います。
いずれにしろ、政財界主導で進んでいる今の分権論議について、どうあるべきか、ご意見をいただけたらありがたいです。

 匿名 | 2007.08.27 17:55

江戸時代の封建制度に拘ったのは、どれほど地方分権が行われても、国防体制に関しては一切の分権を行うべきではないと考えるからです。
幕府の最高権力者は征夷大将軍ですが、これは、夷狄を打ち払うことを天皇から任命される事で、一切の権力を司ります。
各藩は幕府から国領を与えられその中で直接農民から年貢を徴収するなど分権の傾向も見て取れる部分がありますが、国難にあっては幕府の元に絶対服従が求められます。
これは現代でも同じで、道州制であろうが分権体制であろうが、他国の勢力に対して戦うことに対して妥協があってはならないと考えます。
道州制を唱えている大前研一や経団連を始めとする商売人達は、こうした視点に欠けています。国防の視点を欠いた分権論議はあってはならないのではないでしょうか。

 わっと | 2007.09.01 22:20

コメントありがとうございます。
>これは現代でも同じで、道州制であろうが分権体制であろうが、他国の勢力に対して戦うことに対して妥協があってはならないと考えます。
私もまったくの同意見です。
国防と外交は必須、加えて国際社会の中で日本のよさを知ってもらうこと(ソフトパワー?)が重要だと思っています。
いまは、アメリカにやられっぱなしですが、なんとかしなければならないと思います。

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