2010-07-22

日本の税システムを考える−11 新時代にふさわしい税システムとは?(2)

現在は、これまでの序列原理によって統合された社会が終焉し、新たな社会の秩序構築に向かう大きな転換点にある。実現すべきことは、私権原理に基づいた序列圧力の社会から、共認原理に基づいた同類圧力によって統合される社会への転換である。税システムも、この新たな時代状況に適合し、あるいはこれを導くものでなければならない。
前回の記事では、この新たな社会の実現に向けて大きく5つの課題を挙げた。

1.バラバラになってしまった個人 ⇒ 課題・役割・評価・充足を共有出来る集団(共同体)の再生
2.大量消費 ⇒ 自然(の摂理)循環型経済
3.市場原理によって、脇に追いやられたが、本当に必要とされている仕事・産業の活性化(ex.農業、介護系など)
4.マスコミ支配からの脱却 ⇒ マスコミに代わる変わる共認形成の場と社会統合機構
5.米・金貸し支配からの脱却

の5点である。
これらの課題を貫く主題は、戦後以降に急速に根付いた市場原理に基づく生産や生活を強いられるシステムとその背後の支配構造、その中で人々の共認形成と充足の場が奪われ、多方面で行き詰った社会を突き抜けていくことである。現在、その機運は十分に高まっている。
前回は、この来たるべき共認社会の土台とも言える『共同体の再生』に焦点をあてて、考えられる税システムのあり方について述べた。
今回は、

2.大量消費 ⇒ 自然(の摂理)循環型経済
3.市場原理によって、脇に追いやられたが、本当に必要とされている仕事・産業の活性化

の2点について、触れてみたい。
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2.大量消費 ⇒ 自然(の摂理)循環型経済
今や物的飽和に達した工業製品需要は、商品の回転(買い替え)を加速するかたちでしか、延命できない状態となっている。
その徒な過剰生産と、過剰消費がもたらすのは、品質の劣化と、小出しかつ小手先の新技術と、何よりも環境破壊である。その悪循環は改善の兆しも薄い。
そんな市場社会の思惑と現状に反して、人々の意識潮流は「もったいない」に代表されるように、過剰消費とそれを支持する市場社会とは真逆の現象に向かっている。
その例を2つ紹介したい

例えば、長寿命化した製品に対しメーカーや使用者に、税の優遇を与えれば良い。また、長寿命化商品を開発して作った企業に補助金を与えてもいい。(中略)それは商品を購入した人たちから回収するシステムを構築しようとするから難しいのであって、その前提を止めれば良い。携帯電話、家電、車など都市鉱山の主要商品は、販売制からレンタル・リース制に法整備してはどうだろう。そうすれば、確実にメーカー側に商品が戻ってくるリサイクルも可能だ。

るいネット秀作投稿より)

◆シェアしてつながる 〜物と一緒に気持ちを共有〜
 U−29世代は「シェア(共有)する」のがお気に入りだ。化粧品やキッチン小物まで「シェア」してしまう。節約志向が強まっている、という事情だけではなさそうだ。豊かさの中で育った大量消費社会の申し子たちに、共有することでつながりたい意識が見え隠れする。「物は物。利用できれば構わない」という潔い割り切りの前では所有欲さえかすんで見える。

路上で世直しなんで屋関西より)
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目新しいモノでなくても、使えればよい。むしろ共有していくことが、モノを使う充足となっている。言わばモノは「充足そのもの」から「充足の媒体」へと変容したと言ってよいだろう。ここから、今後の工業製品に期待される中身を探っていくと
①長く使える :-)
②個人所有でなくてもよい :roll:
の2点に絞られそうだ。これに応えるかたちで工業製品が流通(普及)していくとなると、そのニーズとして
①´購入後20〜30年は壊れない製品 :D
②´レンタル需要、中古需要に応える受皿の整備
が求められるのではないだろうか。それにこれらは、容易に実現可能なことである。(例えば現在の日本の技術力を駆使すれば、長持ちする製品をつくることは造作もない。昨今の電化製品などがすぐに壊れるのは、回転率を上げるためなのだ)参考
ならば、これらを政策とし、推進していける税制を作り出せばよい
その1【工業製品の長寿命化を促進する税】(自動車やバイクなどの車両と電化製品が主)
企業の生産品目毎に、消費者に渡った製品の稼動年数を集計し、それをさらに企業単位で集計し、指標化する。製品の稼動年数の長短によって評価かが与えられ、それによって税率が決まる。企業側は、長持ちさせる製品を生産することで控除を適用できるし、それが人々の評価となるので、長持ち製品を作る事に注力するようになる。そのために評価は随時更新していけばよい。
その2【レンタル・リースにかかる税】
工業製品は、法人も個人も基本的にレンタル契約もしくはリース契約によって一定期間所持することを基本とする。その期間の長短または機器の性能によって代金は異なるが、その代金に期間の長短などを加味した課税を組み込む。例えば、契約期間の途中で新たな機種等への変更を希望する場合は、更新手続きの際、更に割高になるなど。
機器の管理はメーカーや代理店にあり、夫々に機器のアップグレード等を可能とし、それをユーザーへ貸し出したり、日々のメンテナンスを通じてサービスを提供していく。機器の性能やサービス内容がメーカーや代理店の同類圧力となる。
3.市場原理によって、脇に追いやられたが、本当に必要とされている仕事・産業の活性化
その代表的な仕事・産業として、農業を挙げてみたい。
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食料政策は国家基盤の最重要事項であるにもかかわらず、国内農業は、これまで政策面からはその必要性について軽んじられてきたきらいがある。その根本原因は、幻想価値ばかりを消費対象として捉えてきた市場社会によって形成された価値意識に他ならない。また、戦後以降続くアメリカ支配がこうした現象のより大きな背景としてある。
一方で、国民の視点で見てみれば、農への関心が日毎に高まっている
農、いわば食に対する人々の関心に反して、それらを推進していくための政策が追いついていない、もしくは放置というのが現状だ。
この現状を踏まえ、以下の対応案を提言したい。
その1【農の企業参入を推進する税制】
営利目的でも社内菜園でも、農地を確保し実際に農生産を行う企業に対して、一定割合の控除を行う。それによって国内の休耕地を再び耕地(農地や水田)とすることで、国内食料生産の向上を図る。
その2【農地の他転用を抑制する税制】
逆に、農地を確保した企業が、その農地を他転用する場合には、土地登記の際に高い税率が課せられる。
その3【小売店における国産品陳列比率に対する課税】
こうして生産量が上昇した国産農作物(野菜や穀物)の国内普及を目的とし、全国のスーパー等の小売店に対して、国産農作物を多く陳列するほど、控除される課税対象を設ける。
こうした政策と税制を組み合わせれば、国内の食料自給率と消費を向上させるだけでなく、農業従事者の確保も可能となる。
また、農業従事者の確保には、専業にとどまらず【徴農制】を採用してもよいだろう。従事者に不足しているのは農業にとどまらず、介護や教育も同様のことが言える。そういう意味でこれらに幅広く【徴員制】というアイデアがある。例えば

●20才までに2年間、農業(主に男子)・保育or介護(主に女子)
●40才までに2年間、行政(女は、保育or介護も可)
●60才までに2年間、教育or司法(女は、保育or介護も可)
●60才以降は、能力や体調に応じて、農業etc

るいネット佳作投稿より)
このシステムは、農業や介護の普及と同時に、流動的かつ常時一定規模の従事者を保持する事が出来、これら分野の生産やサービスの向上が実現できる。いわば交代制の生産およびサービスである。徴員制を促進していくための税制としては、この制度に則って社員を供出した企業や組織への所得税・法人税の減免などが考えられるだろう。
今回は以上の税制をアイデアレベルではあるが、提言してみた。
次回は引き続き

4.マスコミ支配からの脱却 ⇒ マスコミに代わる共認形成の場と社会統合機構と、
5.米・金貸し支配からの脱却

の2つについて扱いたいと思う。

List    投稿者 heineken | 2010-07-22 | Posted in 03.国の借金どうなる?1 Comment » 

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コメント1件

 wholesale bags | 2014.02.10 3:35

金貸しは、国家を相手に金を貸す | シリーズ「食糧危機は来るのか」10〜日本の農業に可能性あり!生産効率は飛躍的に向上している〜

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