2012-04-20

『日本国債暴落の可能性は?』【2】国債って何?:基礎知識の整理①

先週からスタートした『日本国債暴落の可能性は?』シリーズですが、今回は「国債って何?:基礎知識の整理①」と題して、国債の基本から整理していきたいと思います。

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■国債って、いつ・何のためにできたの?(日本)
1870年(明治3年)鉄道建設のために、日本最初の国債がポンド建てで発行。すべての関税収入を担保に入れたにもかかわらず、満期は13年、金利は9%と、ホンジュラスに次いで劣悪な発行条件。1873年には、秩禄の処分のために、25年満期の第2回ポンド建て国債を、米を担保に発行した。金利は7%に下がり、アルゼンチンやチリよりも高い金利を求められた。
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■国債の種類
日本の国債には多くの種類がある。それらは発行の目的償還期間の長短などにより分類される。

〇国債の額面
・15年変動利付国債と物価連動国債が10万円、個人向け国債が1万円、そのほかは5万円
・物価連動国債と割引短期国債 (TB)、政府短期証券 (FB) は法人のみ購入が可能で、個人向け国債は個人のみ購入が可能
〇利払いや償還額による分類
固定利付債
半年毎に一定の利子が支払われ、償還時に額面金額が支払われる。
変動利付債
半年毎に支払われる利子の額が市場金利によって毎回見直される。償還時に額面金額が支払われる。
物価連動債
金利は固定であるが元本と利息が全国消費者物価指数に連動して増減する。そのため、元本割れになることもあり得る。
割引債
途中での利払いはないが、額面を下回る額で発行され、償還時に額面金額が支払われる。かつては3年や5年のものが発行された事があるが、2002年11月以降は短期のものしかされていない。
〇目的による分類(国債を発行する理由)
普通国債
建設国債(4条国債):道路、住宅、港湾等の社会資本の建設のため財政法第4条に基づき発行される。赤字国債(特例国債):歳入の不足を補うために1年限りの特例公債法を制定して発行される国債である。
交付国債
財政投融資特別会計国債(財投債)
借換国債(特別会計に関する法律第46条及び第47条)
個人向け国債
10年変動金利のもの(2003年3月 – )、5年固定金利のもの(2006年1月 – )と3年固定金利のもの(2010年6月 – )がある。いずれも、中途解約の際の買い取り額保証を定めているのが特色である。なお、2011年12月以降に募集するものについては東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の復興財源として活用するために、名称を「個人向け復興国債」としている。
〇償還期間による分類
超長期国債
15年(変動利付国債)・20年(利付債)・30年(利付債)・40年(利付債)
長期国債
10年(利付債)・10年(個人向け国債)・10年(物価連動国債)
中期国債
2年(利付債)・3年(利付債)・3年(割引債)・4年(利付債)・5年(利付債)・5年(割引債)・5年(個人向け国債)・6年(利付債)
4年債は2001年2月以降、6年債は2001年3月以降は5年利付債に統合されたため発行を停止した。割引債は、3年債は2002年11月に、5年債については2000年9月をもって発行を打ち切っている。
短期国債
6カ月(割引債)・1年(割引債)
国庫短期証券
60日(割引債)

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■国債の金融商品としての特徴
日本国政府が元本保証している
国債とは、「国債を買った国民が国に対して、返還を請求する権利」。ちなみに「国債」とは省略した言い方で、正式な名前は「国庫債券」といいます。満期後の元本保証は、日本国政府が保証している国内でトップクラスの安全な投資です。もしも、国債を購入した金融機関が破たんしてしまっても、保有している国債は保護されます。利子や元本が受け取れなくなることはありません。銀行などでは国債のために開設する「国債の振替口座」で管理されます。「国債の紙」は発行されず、電子化されペーパーレスです。そのため、偽造される心配もなく、盗まれたりなくしたり、火事で焼けてしまうこともありません。安全性はトップクラスなのです。
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■国債と他の金融商品を比較
●定期預金と国債の比較
国債への投資で最も多く比較される対象となるのが、「銀行の定期預金」ではないでしょうか?債券と預金という仕組みの違いはあるものの、両方とも安全性が高い利息収入を目的とした資産運用として知られています。
金利面では圧倒的に「国債」「個人向け国債」が定期預金の金利を上回っています。金利による収入という点では、国債の方が圧倒的にプラスです。
定期預金の場合「解約」が可能です。国債(普通国債)の場合は「解約」ということが利用できません。ただし、購入以後はいつでも「市場で売却」をすることができます。一般的には購入時よりも「市場金利が上がっていれば、債券価格は下落するので売却損が」、購入時よりも「市場金利が下がっていれば、債券価格は上昇するので売却益が」生じることになります。
国債の場合は、国が破たんした場合には投資した資金が戻ってこないリスクがあります。ただし、国債というのは「円ベース」では最も安全性が高い商品です。基本的には「無リスク」と評価されます(円ベースの場合)。一方で定期預金の場合、預金した銀行が破たんした場合には「1000万円とその利息部分」までは「預金保険」によって保護されますが、それ以上の部分は保護されません。
●国債と社債・地方債の比較
社債
一般事業法人などのいわゆる企業が発行する債券
地方債
県や市などの地方自治体が発行する債券
当然ですが、一部の例外を除けば、信用リスクは「国」>「地方自治体」>「企業」となります。
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■社会主義国(中国)にも国債はあるのか?
中国の国債は、49 年に建国された新中国の財政資金需要への対応を目的として、50 〜 58年の間発行された。その後、計画経済体制への移行に伴い、59〜80年の22年間は国債の発行が停止された。中国が再び国債を発行したのは、経済改革に伴い財政支出が増加し始めた81 年からである。
その後、国債の発行額は増加しているが、特に94 年98 年にその急増振りが顕著である
。94 年と98 年はともに前年比約270%増と大幅であり、94 〜 98 年までの伸び率を年平均で見ても35%と前10 年間(83 〜 93 年)の25%より10 ポイントも高い。国債発行額のGDPに占める比率も、89〜93年の間の1%台から94 年に2%台に突入し、97 年に3%台、98 年に更に8%へと上昇した。
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■まとめ
以上の内容をまとめます。
・日本で国債が発行されたのは、1870年(明治3年)に鉄道建設のためにポンド建てで発行されたのが最初。
・国債には多くの種類があり、発行の目的や償還期間の長短などにより分類される。
・国債の金融商品としての特徴は、日本国政府が満期後の元本保証をしていること。
・国債と他の金融商品(定期預金)とを比較すると、1)金利面では圧倒的に「国債」「個人向け国債」が定期預金の金利を上回っている、2)定期預金の場合は解約が可能なのに対し、国債は解約できない(いつでも市場で売却が可能)、3)定期預金は、預金した銀行が破たんした場合には「1000万円とその利息部分」までは「預金保険」によって保護されるのに対して、国債は国が破たんした場合には投資した資金が戻ってこないリスクがある、等があげられる。
・社会主義国(中国)でも国債は発行されており、その発行額は年々増加している。(特に94年と98年が顕著)
次回は、【3】国債発行と流通の仕組み:基礎知識の整理② をお送りします。お楽しみに!

List    投稿者 fujita | 2012-04-20 | Posted in 03.国の借金どうなる?No Comments » 

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