2009-09-11

ゲゼルが見た減価する貨幣の様子

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ゲゼルは、「お金」には、他のモノと全く異なる2つの特徴があると述べています。
政府紙幣の可能性を探る 〜貨幣の問題性 シルビオ・ゲゼル〜①)より引用
お金の特徴① 価値が劣化・陳腐化しない=蓄財が可能
お金の特徴② いつでも・どこでも・何にでも交換可能=高い流動性

この2つの特徴により、「お金」が絶大な権力を保持しています。そこで、貨幣の問題性に気付いたゲゼルは、貨幣の特権をなくす手段として“減価する貨幣”を提案します。
減価する貨幣(手元に置いたままにしておくと少しずつ持ち越し手数料を取られるお金)を導入すると、ゲゼルはどう実社会に影響があると考えていたのでしょうか?
マクロ→ミクロで見ていきましょう
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◆まずは、マクロ的にみていくと・・・
減価する貨幣による経済効果は6つあるとゲゼルは言っています。
1. 需要の規則化
今の経済では、お金を手元に置いておいても損をしないため、特に物価が下がり気味の時は購買意欲が薄れます。その結果、流通するお金の量が減ってしまいます。しかし、減価するお金の場合には手元にずっとお金を持っていても何の役にも立たないので、できるだけ早く使ってしまう必要に迫られます。これによって、現金がタンス預金されずに流通し続ける社会ができるというわけです
2. 経済危機の克服
お金が流通し続けるようになると、景気停滞がなくなります。これにより、経済危機のない社会が作ることができるというわけです。以前、実例としてオーストラリア・ヴェルグルの 「労働証明書」をご紹介しましたね :wink: (政府紙幣の可能性を探る〜減価する貨幣の実例〜)
3. 資本金利の消滅
減価するお金が流通するようになると、お金の借り手と貸し手の立場も逆転します。現在では、貸し手が金利という手数料を要求することができますが、手元に置いておくとお金の価値が少しずつ減っていく場合、金利がなくてもいいからとにかくお金を借りてくれる人に借りて欲しいと思うようになる人が続出することでしょう。手元に置いておいたら損をする。だったら、誰でもいいから借りてくれる人にお金を貸す方がいい!マイナスよりゼロの方が損した気分にはなりませんものね
4. 物価の安定
政府の通貨管理局が物価の変動動向を調べた上で、物価が下がり気味の場合には政府の歳出を増やすことで、逆に物価が上がり気味の場合には歳出を抑えることで、物価を安定させることができます。
5. 交換手段と貯蓄手段の分離
今のお金の問題として、交換手段かつ貯蓄手段という相反する特徴を同時に担っている点があることは以前に書いたとおり(政府紙幣の可能性を探る 〜貨幣の問題性 シルビオ・ゲゼル〜①)です。そこで、減価する貨幣にすれば、貯蓄手段としては使えず、交換手段としてのみ流通を続けていくことから、交換手段と貯蓄手段の機能を分けることができます。
6. 資本家の撲滅
金利がなくなることから、当然、お金を貸し付けては金利で儲けていた資本家がいなくなります。
◆次に、ミクロな視点でゲゼルの減価する貨幣を見ていきましょう :-)
ゲゼルは、実際に減価する貨幣が流通するようになったらどのように当時の社会が変わるのか予測しています。その内容のうち5つの立場をご紹介します。
—シミュレーション—
1 商人の場合
 
・みんながお金を使うようになり、おかげで商品が飛ぶように売れるようになります。現金で持っているより現物に変えて持っていれば損はしないから、以前よりまとめ売りやその場での現金決済が増えたりもするので、運転資金不足の心配をしなくてよくなります。
・しかし商人は安泰というわけではなく、競争が激化することで商品あたりの利益率が下がります。この利益率に耐えられない人は閉店を余儀なくされます。
・後払いより前払いが一般化
前払いにすると双方(払う人・払われる人)にメリットあります。払う側は、減価しないうちに払えるし、払われる側も安心してサービス、商品を提供できるからです。 
2 銀行員
・お金が市中に回り続けて、銀行に預ける人が減ったため銀行員は仕事が暇になりました。誰も手形や小切手を使って代金の支払いを引き延ばしたり、お金を貯めたりしなくなるため、銀行の出番が急激に減ります。
3 企業家 
・お金が滞ることなく安定して流通=商品も同じように安定して流通します。企業家にとっては売上げの安定が何よりも望ましいため、毎月同じように売れているのが望ましいわけです。
・企業が作った製品は、長く保管しておくと倉庫の保管費がかかったり、流行の変化などで商品価値が下がったりするため、できるだけ早く売りさばく必要がありますが、手元に置いておくと価値が減っていく貨幣が導入されることで、お金も商品と同じ立場になり、当然のことながら商品の流通が進んだわけです。また、通貨管理局は物価の安定も行うため、デフレの場合物価が下がって赤字になる心配もなくなります。
さらに、倉庫に大量の在庫を抱えることもなくなり、保管費用も節約できるようになったわけです。
4 投機家 
・彼らもまた、資本家と同じように大きな影響を受けることになります。まず、土地が国有化された※ことにより、農地や建物、鉱山などを投機の対象とすることができなくなりました。
以前は、たとえばある国の政治危機が伝えられると、一斉にその国の証券が売られる一方で、その国の情勢が 安定すると証券がまた買われるようになり、その差額で大儲けしていました。しかし、減価する貨幣が導入されると、証券を慌てて換金しても原価負担のせいで損するだけになるので、証券の売買に慎重になったのです。
※土地の国有化・・・ゲゼルさんは、農地や鉱山を含む土地を国有化し、それらを必要な人に賃貸するように提唱しています。
5 預金者(労働者) 
・減価する貨幣システムに乗せていくと、タンス預金ができないので、誰もが余ったお金を銀行に預けるようになりました。皆がお金を預けるようになった結果、金利が下がり始めました。
 しかし、この預金者は労働者でもあり、労働者として受けた影響を合わせて考えると、減価する貨幣のおかげで得をするようになったと言っています。経済が好調になって給料が倍増し、貯金額も増えたというわけです。
このように、マクロ→ミクロの視点で“減価する貨幣”を見ていくと、マクロ的には
1、経済が活性化
2、資本家がいなくなる

という点で可能性を感じます :D ところが、ミクロで見ると皆がどんどん商品を買っていくというのがちょっとぴんときません…
当時は、物が無い時代だからこそ、減価する貨幣の導入により、買う人が増える。だから、経済が活性されると予測されましたが、現在は物に困ることはない時代です。物が行き渡っている現代にゲゼルの言う“減価する貨幣”を導入すると、手持ちのお金を使わざるを得ない→でも特に買いたいものはない→余るほどお金を稼がなくてもいい→そんなに働かなくてもいい!と思う人が増えてくるような気がしました お金=評価でなくなったとしたら、働くことの新たな目的や意味、評価が必要になってきそうですね

List    投稿者 kidami | 2009-09-11 | Posted in 03.国の借金どうなる?9 Comments » 

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コメント9件

 saken | 2010.03.27 19:33

>日本銀行にも確認してみたのですが
興味深いですね。
1998年に何があったのか、その背後に何があるのか?
確かこの頃、日本の財務を預かる大蔵官僚が、ノーパンしゃぶしゃぶ事件が明るみに出たり、北海道拓殖銀行破綻、山一証券倒産などの、金融がらみの大事件がおきた時期と重なるようです。
これらの事件は、大衆の、お金に対する信用が弱まり、お金第一の価値観が崩壊したとも見れると思います。
そんな中、金融行政を大きく転換するような制度改革は、バブルを煽る為の誘導のようです。
金貸したちの、背後の動きなども興味深いですね。

 wacky | 2010.03.27 19:41

>経済成長とは、貨幣流通量の増加を指すことといって過言ではない
この言葉しっくり来るようで何か違和感が残ります。この現象も言ってしまえば、「金が多く流れればいい」と言えると思うのですが多ければそれでいいの?と感じます。
GDP信仰同様に、今の日本が収束する指標は過去の経済成長の中で使われたものではない、とも感じます。借金発の紙幣流通も考え直す必要がありますね。

 うっちー | 2010.03.27 19:41

借金発の経済だから、経済成長し続けなければならない、というのは、なるほど本質なのかなと思います。
借金返済という歯車の中で、必死にもがきながら利益を出し、経済を成長させなければならないという状態は、その枠組みから離れてみると、滑稽でしかありません。
借金市場経済という枠組みを変えていくことが本当に求められていることだと思います。

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