ウクライナ危機発、加熱する経済制裁で食料危機は不可避!
3/5の「時事ドットコム」の記事ですが、この間のウクライナ危機により食料、とりわけ穀物価格の上昇が止まりません。例えば、小麦のシカゴ先物取引価格は、1ブッシェル(27kg)あたり約13ドルまで上がり、14年ぶりの最高値となり、取引停止にまで至っています。(3/8付)
既にロシア、ウクライナとも小麦の輸出停止を発表しています。小麦の輸出量は、ロシアが世界1位、ウクライナが世界6位(2021年)で、両国だけで世界の輸出量の約30%(約6000万トン)を占めています。いわずもがな小麦はパンや麺類等の原材料のため、世界に与える影響は計り知れません。
高騰の要因としては、元々アメリカ・カナダにおいて、昨年の高温・乾燥のより小麦が不作であったところに、今回のロシア・ウクライナ危機が重なった形です。黒海周辺の供給停止、航空・船舶といった輸出用インフラの停滞・打撃が直接的な要因です。
「JAcom」 より
ウクライナとロシアは合計で世界の小麦輸出の約29%、トウモロコシ輸出の19%、ひまわり油輸出の80%を占めている。それだけでなくロシアは窒素肥料の生産に不可欠な天然ガスや原料も輸出。ヤラ(インターナショナル)によると、窒素とカリ、リン酸という肥料の3大原料は欧州向けの25%がロシアから供給されているという。
ヤラは「地政学的状況が均衡を失い、欧州での食糧生産に使われる原材料の最大の調達源は利用が限られつつある上に、短期的な代替調達源もない」と説明。結果として世界人口のうち最も恵まれた人々しか十分な食糧を得られなくなる可能性があるとした。食糧価格が高騰すれば同社に短期的に増益効果をもたらすとしても、食糧供給システムが持続不可能となり、長期的な奪い合いの闘争につながると警告した。(朝日新聞 より)
NATO・欧米によるロシアへの経済制裁が行われる中、ロシアはそれに対抗し、窒素、カリ、リン酸の輸出停止を決定しています。ロシアは世界有数の肥料の供給国であるため、世界の肥料価格の上昇は不可避と思われます。
また、現在、ロシアは自国領空内での飛行も禁止しているため、穀物に限らずロシア産や欧州産の水産物なども、日本をはじめ各国への輸出量が減っているようです。(参考記事)
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2022/03/9499.html/trackback