2007-09-15

格付け会社って何?

世界がマネーゲームと化している中で、余りメディアに登場しなかったプレーヤーに焦点があたっている。

世界で実質3社しかない、「格付け会社」である。
3社とは、ムーディーズ、スタンダード&プアーズ、フィッチ・レーティングである。
(日本にも、格付投資情報センターと日本格付研究所の2社があるが、後発で日本国内の格付け業務が中心。)

格付け会社(格付け機関)の初歩は、ウイキペディアで確認できます。

格付け機関

この格付け会社に今、疑惑の目が注がれている。

サブプライム危機 格付け会社も共犯? リスク過小評価に批判 (産経新聞・8月29日)

低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の大量焦げ付きに端を発した金融危機の“犯人”は誰か。住宅ローン会社、ローンを担保に証券を発行した投資会社に加えて、米格付け会社に厳しい視線が向けられている。リスクを過小評価してローン担保証券にトリプルAなどの高格付けをつけたことが投資家の判断を誤らせ、危機を拡大させる要因となったという批判だ。
 住宅ローン会社から投資銀行に転売されたサブプライムローンの債権は、担保証券に加工される際、焦げ付きのリスクに応じた、いくつかのグループに区分、格付けされた。その際、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など米格付け会社の関与には、いくつもの問題が指摘されている。

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 まず、格付け会社は担保証券を発行する投資銀行から手数料を受け取って格付けするので、投資銀行の意向が影響しやすい側面があることだ。
 格付けは投資家が適切にリスクを判断するための情報だが、投資銀行は投資家に証券を買ってもらうため、できるだけ高い格付けを求める。米紙ウォールストリート・ジャーナルなどの報道によると、高い格付けが得られないと別の格付け会社に変えることもあったという。一方、格付け会社にとっても、ローン担保証券の格付けは重要な収益源となっていった。
 また、格付けは相対評価なので、サブプライム関連の証券のなかで最もリスクが低い区分には、最上級のトリプルAがつけられた。本来、国債や有力企業の社債などの格付けと比較できるものではないが、トリプルAに格付けされた米財務省証券と「同じ程度のリスクという誤った印象」(英紙フィナンシャル・タイムズ)を投資家に与えることになった。
 サブプライムローン担保証券は、高利回りの運用先としてヘッジファンドなどが購入。しかし、ローンの大量焦げ付きが表面化すると、その価値は暴落し、買い手は売るに売れず巨額の評価損を抱え、金融危機の引き金を引いた。
 こうした大量焦げ付き問題が取りざたされ始めたのは昨年末だったが、ムーディーズやS&Pがローン担保証券の格付け一部見直しを表明したのは今年7月になってから。投資家に対する早期警告を怠ったとの批判も上がった。
 「ローンを切り離して投資商品に仕立てる仕組みが、住宅ローン会社の融資拡大をあおった」(米責任融資センター)との指摘もある。住宅ローン会社、投資銀行、そして格付け会社という三者によるもうけ優先の「癒着関係」が、米住宅ローン全体の約13%に過ぎないサブプライムローン問題を波及させた犯人という見方が濃厚になっている。
 米上下両院は来月早々にも公聴会を開き、格付け会社も招致して調査する方針。ドイツなど欧州域内の金融機関がサブプライム関連の金融商品で巨額損失を受けたことから、欧州委員会にも、格付け会社を追及する動きがある。

今後、ますます危機が深刻化するサブプライムローン問題で、誰を悪者(スケープゴード)にするのかという攻防戦が始まっている。

「格付け」実態解明 各国規制当局 サブプライム受け(産経新聞9月11日)

米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題を受け、各国の証券規制当局などによる「証券監督者国際機構」(IOSCO)が格付け機関の実態調査に乗り出すことが11日、明らかになった。
 月内にも米ワシントンで、格付け機関の役割について専門的に議論する会議を開催。その場に米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、米ムーディーズ・インベスターズ・サービス、英フィッチ・レーティングスといった主要な格付け会社を呼んで、証券化商品の格付け手法や格付けの更新体制などについて聞き取り調査する。
 日本から格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)も呼ばれる見通し。
 主要国の規制当局が協力して横断的な調査をすることで、格付けの実態解明を急ぐ。サブプライム問題に関連しては、高格付けの証券化商品でも買い手がつかなくなる事例や、問題表面化後に突然大幅な格下げが行われるなど、格付け妥当性の問題が指摘されている。
 IOSCOは、世界108の国と地域の証券監督当局や証券取引所などから構成されている国際的な機関で、日本では、金融庁や証券取引等監視委員会などがメンバーとなっている。2004年12月には、国際的な自主ルールとなる「信用格付機関の基本行動規範」を公表。強制力はないが、格付プロセスの品質や格付機関の独立性などについて、自主的な規制を促してきた。聞き取り調査の結果を見た上で、行動規範の見直しも検討する見通し。

記事に登場している5社の歴史を簡単に見ると、英米の3社は、いづれも、世界大恐慌の以前にニューヨークで設立されている。フィッチは、英国の格付け会社とされているが、根元はニューヨークにある。
ムーディーズの歴史
(リック先の会社情報の2頁目、ムーディーズの歴史をクリックしてください。)

スタンダード&プアーズについて・事業概要

フィッチ・レーティングス・会社概要

日本の格付け会社が2社が挙がっているが、格付投資情報センターは、日本経済新聞社を母体として設立され、日本格付研究所は、当時の大蔵省(現在の財務省・金融庁)の主導で、銀行・生命保険会社が集まり設立されている(現在の内海孚社長は元大蔵省財務官)。

格付投資情報センター・会社案内(歴史)

日本格付研究所・会社概要

List    投稿者 leonrosa | 2007-09-15 | Posted in 10.経済NEWS・その他No Comments » 

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