2011-06-14

大転換の予感「潮流まとめ」:今求められる復興政策とは?

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「高き住居は児孫の和楽、想へ惨禍の大津浪、此処より下に家を建てるな」の石碑

東日本大震災は、各方面から「人災」であるとの指摘を受けています。確かに振り返ってみれば、今回の震災は市場拡大や個人の便宜性を優先し、先人の知恵を無視してきたために、大きな津波被害に遭うことになりました。例えば岩手県宮古市の丘の上には、明治時代の津波の鎮魂碑が建っており、そこには「ここより下に家を建てるな」と書かれていたのです。

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『株式日記と経済展望』より参照

三陸海岸沿いにドライブをすると、過去にここまで津波が来たというマークを頻繁に、しかも信じがたいほどの高さの場所に見ることができる。また、これより下に家を建てるなという昔の人の石碑も。

まずは、津波の常襲地域の現状を説明しましょう。岩手県の三陸沿岸などは、有史以来何度も繰り返し津波が襲ってきています。「明治三陸津波」では、釜石地区の6500人のうち4000人が命を落としています。そんな歴史もあるので、例えば岩手県宮古市の丘の上には、明治時代の津波の鎮魂碑が建っていて、そこには「ここより下に家を建てるな」と書かれていたりします。しかし現在、この碑を無視するかのように、その碑の下にはが建ち並んでいます。

三重県の錦地区にも似たような事例があります。ここは、昭和19年に三重県志摩半島沖を震源として発生した「東南海地震」で、大きな津波被害に遭った場所です。実は、この津波で甚大な被害が出た地域は、昭和40年代前半まで復興が進まなかったという事実がありました。これは、当時の人が「今ここに家を建てたら、次の世代が津波の被害に遭って、自分達の世代と同じ思いをする」とちゅうちょした結果でした。しかし錦地区は、昭和40年代後半にブリの養殖で地域の経済環境が良くなって、町が復興しました。

津波は、向こう30年間で見たら「60%」といった確率の問題であるかのように見られますが、100年のスパンで見たら100%やってくる「必ず起こる災害」です。しかし人々は、被害に遭った時の思いを忘れてしまい、記憶を風化させてしまいます。そして風化したころに津波がやってきて、同じ被害が繰り返されようとしています。

津波の碑を建てて警告を残した人々、被害を忘れずに復興をためらった人々−−そういった先人の心を思うとやるせなくなります。今われわれが取り組んでいるのは、同じ事を繰り返さない地域をどうやって作るのか、ということです。そのためには、人々の心に寄り添うことが欠かせません。



目先の市場拡大や自分の利権獲得を優先し、自然の摂理を冒涜した結果、今回の大災害を発生させてしまいました。これはまさに、人災と呼べるのではないでしょうか。また原発問題に関しても、全く同じ構造になっています。

『”原発利権村”の崩壊』より

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福島原発の事故を受け、日本の原子力研究を担ってきた専門家が「状況はかなり深刻で、広範な放射能汚染の可能性を排除できない。国内の知識・経験を総動員する必要がある」として、原子力災害対策特別措置法に基づいて、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって緊急事態に対処することを求める提言を発表した。

同原発1〜3号機について専門家らは「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう」と警告。また、3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要があると指摘した。

一方で、「原子力工学を最初に専攻した世代として、利益が大きいと思って、原子力利用を推進してきた。(今回のような事故について)考えを突き詰め、問題解決の方法を考えなかった」と陳謝した。

福島第1原発事故がもはやどうにもならない状況になりつつある中、”原発利権”に長らく群がっていた”御用学者”連中が、「カネの切れ目が縁の切れ目」とばかりに東電を見限り、豪快な”ちゃぶ台返し”的声明を発令した。



原発問題も、目先の市場拡大を優先したために発生した人災と言えるでしょう。このように市場拡大を第一にすると、目前の利権に目がくらみ、利権集団化していきます。利権獲得に不都合な自然の摂理を邪魔になった利権集団は、自分の利益第一を正当化する論理を構築してきたのです。(まさに、それが原発安全説!)

つまり利権集団は、自分たちの利益獲得のためにしか頭を使ってこなかったことになります。それでは市場拡大第一の論理に代わり、今求められている政策とはどういうものでしょうか?

『本当の復興政策は共同体の再生を支援すること』より引用

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まず状況認識として、現在の日本では、地位やお金やモノを求める意識はほとんど消滅しています。それを例外的に強く残しているのは、官僚を中心とした特権階級だけで、この意識は一般国民と大きくずれています。それゆえ、上記の復興案のように、官僚に都合のいい未来像に貴重な資金を投入するという愚作しか出てこないのだと思います。

それに対して今一般の人々は、人が生きていくためには支えあう仲間が必要で、お互いに支えあうという行為自体が、何にも勝る充足の源であるという状況になっています。そして、この悲劇的な震災を体験した人々は、ますますその意識が覚醒しているように見えます。これが、暴動のおきない本当の理由です。

そうであれば、まず真っ先に必要なことは、お互いに支えあうことを実現する基盤である共同体の再生です。具体的には、自らの町をどのように復興していくのかを考えを実践していく組織を作ることです。



我々の活力源は相手の期待に応える所にあり、今最大の期待は、活力溢れる社会の構築にあると思います。そして現在、震災の被害を受けた東北地方を中心に、皆が協力し合い、街(=共同体)の復興に向けて動き始めています。

①南三陸の懐かしい未来を実現する会

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南三陸を愛する者たちが、ああ、南三陸に帰ってきたな、とみんなが懐かしさを思えるような、しかしそれは一方で今後何代先までの未来の可能性を感じさせるモデルになるような両面を併せ持つ「懐かしい未来」を実現するために、理想を描きながら足元から具体的に活動するためのモデルを提示する会であります。

②コマツなどのメーカー各社が復興支援へスクラム

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東日本大震災の被災地復旧に向け、建機業界が動き出した。コマツなどメーカー各社は、倒壊家屋や土砂の撤去作業に必要な油圧ショベルなど重機の被災地への無償貸与を開始。業界は「天命」と口をそろえ、ビジネス度外視の取り組みをさらに拡大する構えだ。

③「相馬救援隊」立ち上げ 旧藩主子孫の兄弟

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福島県相馬市で、旧相馬藩主の子孫が地元のためにボランティア団体「相馬救援隊」を立ち上げ、食料や衣類を被災住民に届けている。



復興に向けて、既に大衆は動き出しています。こうした大衆の動きを受けて、国家に求められる期待はどういうものでしょうか?結論から言うと、共同体再生の支援に力を投入することだと思われます。

『本当の復興政策は共同体の再生を支援すること』より引用

共同体を再生するための資金を彼らに提供することです。そうすれば、彼らが未来に向けて考えることや復興にかかわる具体的な作業を行うことなど、すべての復興活動を収入のある仕事=みんなの役に立つ役割、として位置づけることができます。

そうすれば、何十年先の物的復興を待つこともなく、今すぐにでも仲間とともに未来を切り開いていくという充足から、心の復興が実現します。

よって、義援金や復興予算は、まずこのような共同体の再生に投入され、自主的に運用されるべきだと思います。その上で、広域的な課題や専門的な課題については、これら自治組織の連合組織をつくり実践していくことが必要だと思います。

国家の支援とは、このような自主的な共同体再生に対する、経済的・技術的な支援や法的な枠組み整備だと思います。こうすれば、膨大な復興資金が、利権集団に吸い取られていくこともなく、被災地の人々の活力が再生していくのだと思います。



現在、日本は逆境に立たされていますが、逆境こそ進化の源泉です。この期に、国家と大衆が一体になって、共同体の再生の実現に向けて動いていくべきではないでしょうか。

List    投稿者 staff | 2011-06-14 | Posted in 10.経済NEWS・その他4 Comments » 

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