TPPから見る世界の貿易情勢〜大戦後ブロック経済になった理由
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「TPPからみる世界の貿易情勢」と題した本シリーズも7回目になりました 。いつも読んで下さっている皆さん、本当にありがとうございます。 😀
さて、前回はTPP協定の一連の流れをブロック経済の流れと同じであると捉えて、過去のブロック経済について追求した。そこで扱ったのは、第一次世界大戦後のブロック経済で、大戦後の世界がブロック経済に突入するまでの歴史的経緯を押えた。
今回はその経緯から「何故世界がブロック経済化したのか?」を考察し、TPP問題を分析する鍵 を見つけたいと思う。
その鍵が気になる方は是非クリックをお願いします。
多くのブログでは自国産業の保護と米国の高関税導入に対する報復措置を目的とした高関税導入によってブロック経済が導かれたと認識している。
ブロック経済では経済は活性化しないのは明らかだったはず。なぜなら、ブロック経済下では、自国の植民地が主な貿易相手国になるはずだが、植民地に宗主国の経済を潤すだけの資金力があるはずがない。
では、なぜブロック経済が生じてしまったのだろうか?
この問題意識からブロック経済化していった第一次世界大戦後の世界を見ていくと、以下のような分析ができる。
世界恐慌によって衰退する自国産業を保護するために高関税を導入したが、海外の安い輸入品が減少したことで、消費が冷え込んだ。
そこで、人々の消費欲の活性化が求められたが、その効果的な手段は国内に金(カネ)をばら撒くことである。例えば、米国のニューディール政策における大規模な公共投資による手法は典型例である。
しかし、当時の世界は金本位制を導入していたために、自由に紙幣をすることができなかった。そこで、1930年に金本位制を離脱し金の箍をはずして、紙幣の大量発行を行い、国内産業保護のもとで消費欲の活性化を狙ったのだろう。
英国がいち早く金本位制を離脱し、それに続いて各国が次々と金本位制を離脱していった。
そしてここからが今回の分析のポイントなのだが、金本位制が崩壊したということは紙幣には価値の裏づけがなくなったことを意味している。ということは、他国紙幣の獲得はただの紙切れの獲得ということになる。
その結果、自国紙幣が流通する範囲内だけでの市場取引をすることになり(図1参照)、貿易量は減少し(図2参照)、ブロック経済化にならざるを得なくなったのである。
それゆえにポンドブロック(英圏)やドルブロック(米圏)あるいは、金本位制を維持していたフランスなどの金ブロックなどが生まれたのであろう。
図1※英国に関するデータ。()内数値が各品目の貿易量の内、植民地との貿易の割合を示す。ブロック経済前と後では、()内数値が輸入、輸出共に増加している。(参照元)
図2※徐々に世界の貿易量が減少していくのがわかる。(参照元)
つまり、国内産業保護のための高関税の導入と消費欲活性化のための金本位制の離脱が結果的にブロック経済を導いたのであって、意図してブロック経済に誘導していったのではないのだ。
この分析結果から今回のTPPの問題をどう捉えることができるのか?
次回に期待して下さい。
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