鎖国の可能性を探る!−6『エネルギー』 石油・石炭・原子力・地熱発電の展望を探る
日本のエネルギー自給率はわずか数パーセント程度と言われ、冷静に考えれば危機的な状況です。
オイルショック以降、エネルギーの安全保障の観点から、エネルギー源についての多様化政策が進められてきました。
その結果、主要なエネルギー源についてバランスよく(?)分散化されてきていると言われていますが、自給率自体は低いままです。
今回は、現状のエネルギー源の中で比重が大きい、石油、石炭、天然ガス、原子力や水力、地熱など既存のエネルギー源について、自給の可能性や今後の展望について調べてみました。
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まずは、既存のエネルギーが国内でどれぐらい供給されているかを見ます。
■総合エネルギー統計(2007年)より 単位:PJ(ペタジュール)
・石炭 5,036 (21.9) …石炭製品含む
・石油 10,167 (44.3) …原油+石油製品
・天然ガス 4,075 (17.7)
・事業用水力発電 650 (2.8)
・原子力発電 2,317 (10.1)
・未活用エネルギー 643 (2.8) …廃棄物などを原料とするエネルギー
・自然エネルギー 47 (0.2)
・地熱エネルギー 27 (0.1)
・合計 22,962 (100%)
総供給量は1996年頃からほぼ横ばいで推移してきています。
また、エネルギー源別に見ると、石油依存度を低下させて、石炭や天然ガス、原子力などを増やす政策を政府は進めてきています。
■エネルギー源別の順位は以下の通りです。
①石油 =44%(原油+石油製品含む)
②石炭 =22%(石炭製品含む)
③天然ガス=18%
④原子力 =10%
⑤水力発電=3%
⑥未活用 =3% ※未活用エネルギーとは、廃棄物を資源とするもの
⑦自然・地熱=0.3%
上記のうち国内産出量は以下のようになっています。…単位:PJ(ペタジュール)
①石油 =36
②石炭 =0
③天然ガス=166
④原子力 =0
⑤水力発電=650
⑥未活用 =643
⑦自然・地熱=74
合計 =1,569
国の統計では原子力を国内産出に計上しているが、原料を海外に頼っている限り国内産出とするのは無理があります。その前提で2007年時点での自給率は7%程度という結果になります。
以上のエネルギー事情は市場経済による制約を反映した結果であり、国内での産出が可能であってもコスト条件が不利な場合は海外に頼る結果になっていると考えられます。
実際、かつて国内産出の石炭が主要なエネルギー源になっていた時期もありました。
しかし、「鎖国」を考えるなら割高であっても国内産出のものを使うことになるわけで、そのような観点で国内自給の可能性を調べてみました。
●石油…輸入量に対して国内産出量は0.4%程度しかなく、埋蔵量もわずかであり自給の可能性は限りなくゼロに近いと見なさざるを得ない。
●石炭…過去、第2次大戦中に国内産出量が6,000万トンに達したことがあり、戦後1961年のピーク時にも5,500万トンとなったが、以降石油とのコスト差などから減少し現在は年間130万トンレベルになっている。
一方、現在の石炭使用量は電力用で6,800万トンレベル、鉄鋼原料用もほぼ同程度となっており、国内自給の可能性は期待薄とみなさざるを得ない。
●天然ガス…石油よりも埋蔵量が多く残されていると言われており、国内でも多少産出されているものの、有限な資源であることは石油と同様であり、国内自給の可能性もほとんど無い。
●水力発電…現状でほぼ国内の大規模な水源は利用されてしまっており、これ以上大きな増加は難しい状況であると言われている。
●地熱発電…日本の総容量はおよそ561メガワットで世界5位のレベルといわれているが、実際に稼働している総発電量は50〜60万キロワットレベル。温泉地への影響や国立公園の指定などが発電所建設の障害となっているようです。しかし、総容量を100%使い切ったとしても、数PJレベルであり、先に見た現状の供給量から見て微々たる水準といわざるを得ません。
●原子力発電…原料ウランの国内自給量はごくわずかであるうえ、世界中の埋蔵量も70年間程度の限界があるといわれている。長期的な原料調達という理屈で高速増殖炉による核燃料サイクルの確立に向けた政策が進められているが、それも有限です。それ以上に核の危険性は誰もが認めるところであり長期的なエネルギー源とすることはできません。
また、トリウムを原料とする原子力発電も実用の一歩手前にあるとされ、トリウムの資源量はウランの4倍以上とも言われているが、国内自給の可能性はウランと同様の事情です。また、トリウムも放射性物質でありウランと同様の問題をはらんでいます。
以上のように、従来の主要なエネルギー源となってきた資源については自給の可能性は限界があるとみなさざるを得ません。
これは、予想されたところでもあり、課題として対応策を今後考えてゆきたいと思います。
次回の、新エネルギーについて扱う、本シリーズ第7弾をご期待ください。
by わっと
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グッチ バッグ | 2012.10.18 14:15
お世話になります。とても良い記事ですね。