2010-02-17

世界経済破局への長い序章? 10.G2(米中)が破綻し、G7が主軸になるの?

2月16日に米国財務省証券(米国債)の12月保有高が発表されました。
中国が11月から432億ドル減の7,554億ドルとなる一方、日本が115億ドル増の7,688億ドルになり、日本と中国の保有高が逆転しました。 
 
12月対米証券投資は609億ドルの買い越し、日本が最大保有国に

国別の財務省証券保有では、中国が前月の7896億ドルから7554億ドルに減少。
一方、日本は前月の7573億ドルから7688億ドルに増加し最大の保有国となった。 
 
RBS証券の国際チーフストラテジスト、アラン・ラスキン氏は、中国による売り越しは5カ月連続だと指摘。「1つのトレンドを強く示唆するに余りある期間だ」と述べた。

一方、カナダのイカルイトで2月5、6日にG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)が開催されました。この会議は、非公開(秘密会議)ともいわれ、思わせぶりたっぷりです。 
 
今回は、G2(米中蜜月或いは同床異夢)が破綻し、米国が米欧日(G7)へ回帰した動きをまとめてみます。 
 
1.G2破綻が決定的になったCOP15会議と台湾への米国製兵器売却決定 
 
2.3年間1兆ドル規模の赤字が続く米国連邦財政 
 
3.G7で何が話し合われたか 
 
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1.G2破綻が決定的になったCOP15会議と台湾への米国製兵器売却決定 
米国製兵器の台湾への売却が、米中関係を決定的に破綻させましたが、その前段で、オバマ大統領と温家宝首相の関係が悪化していました。それは、コペンハーゲンのCOP15会議の場です。
少し長くなりますが、『北沢洋子の国際情報・世界の底流』から紹介しましょう。 
 
コペンハーゲンCOP15を終えて(その3)

3.米中交渉の裏話 
 
コペンハーゲンでのオバマ大統領の使命の1つは、中国に「削減計画の国際的な検証」を受け入れさせることにあった。これによって、オバマ大統領は、米議会や産業界を説得することが出来る、と考えていた。 
 
専門家や外交官レベルの米中2者間の会合では、最初のうちはスムーズに運んだ。米国が中国にクリーン・エネルギーの技術を供給すること、そして、アメリカと中国が、CO2排出を正確にモニターする技術者の交流、などで合意した。 
 
米中の中がきしみ始めたのは、オバマ大統領の到着とともにはじまった、まず、中国は首脳クラスの会談に胡錦濤主席ではなく、2番手の温家宝首相を送った。 
 
オバマ大統領は、金曜日の午前中、コペンハーゲンに到着後、直ちに全体会議で首脳のスピーチをした。その後、オバマ大統領は温家宝首相と午前と午後2回の会談を予定していた。 
 
ところが、第1回目の会談には、温家宝首相は、「私を代表する者です」という注釈を付けて、低い地位のオフィシャルを送ってきた。中国のHe Yafei外務副大臣が、オバマ大統領、メルケル独首相、その他の国家元首とテーブルを囲むかたちになった。これは、オバマの威信を大きく傷つけた。 
 
第2回目の米中首脳会合は、オバマ政権側はまさに首脳同士の会合だと理解していた。しかし、オバマ大統領のところにやってきたのは、中国のCOP15の交渉官のYu Qingtaiであった。これに怒ったホワイトハウスの報道官は「このようなことは冷遇である」と記者会見で語った。オバマ大統領は、スタッフに「こんなことはもう沢山だ。私は温にあいたいのだ」と叫んだ。 
 
ホワイトハウスは、金曜日の夕刻、3回目のオバマ・温会談をセットした。同時にオバマ大統領が、ズマ南アフリカ大統領、ブラジルのルラ大統領、インドのシン首相と別室で会合することなっていた。これはオバマ大統領が、「COP15の議論に終止符を打つ」ためであった。 
 
温首相との会合の少し前に、Denis McDonough国家安全評議会長とRobert Gibbs報道官が温家宝首相との会合の場に入ると、そこには温家宝首相と南アフリカ、ブラジル、インドの首脳たちが会合していた。 
 
これに驚いた2人のスタッフは急いで、オバマ大統領に知らせた。オバマ大統領は、ドアを開けるやいなや、「ミスター首相、私に会う気はありますか?」を怒鳴った。
それから始まった米中の首脳会談は、険悪な空気だった
が、それでも、両首脳は、「モニターと検証」問題について、温家宝が納得できる用語などいくらかの成果があった。 
 
驚いたことに、オバマ大統領は温家宝首相と合意したテキストを持って、インド、南アフリカと会談して、テキストにサインさせた。遅れてきたブラジルのルラ大統領もサインした。 
 
そして、オバマ大統領は、ヨーロッパの首脳たちが待っている部屋に行った。彼らはブツブツ愚痴をこぼしたが、テキストにしぶしぶサインした。 
 
12月18日金曜日の夜、2ダースもの首脳が非公式に集まった。そこでオバマは何度も議論を進めようとはかった。しかし、その度に中国は「ノー」と言った。オバマ大統領は英国のブラウン首相とエチオピアのMeles Zenawi首相の間の座り、その先に、デンマークのラスムセン首相が司会をしていた。
驚いたことに、中国の温家宝首相は参加していなかった。代わりにオバマの向かい側の座っていたのは、中国外務省の下級官僚だった。しかも、その下級官僚が上司に電話を掛けに行っている間、ポカンと待っていなければならなかった。

そして、台湾へ米国製武器を売却することを、オバマ政権が議会へ通告しました。これに対して、中国政府は最大限の反発をみせ、人民解放軍の高官が、米国債売却という武器を中国はもっている、また、多額のドル資金を解放軍の兵力増強に使うこともできるとのコメントを発表し、強く、米国を牽制しました。 
 
この人民解放軍高官の発言を、最も早く紹介してくれたのが、ブログ<Walk in the Spirit>さんでした。2月12日の記事です。 
 
米国債の使い道、中国の場合

人民解放軍のシニア高官が、米国の昨今の動き(台湾武器売却)を睨み、米国を懲らしめるため、武力の増強と米国債の売却をプロポーズした、
ナルホド、Zerohedgeが盛上がるわけだ、 米国債って、武器になるのね!?
そして、解放軍のシニア高官Luoの言葉が味わい深い、
「二人でボートをこいでいるのに、一人(US)がおかしなことをしたら、もう一人(中国)もそうするでしょう、」 
 
さらに続けて、「北京政府は、静かにワシントンを攻撃できるんですよ、」「それは手段として、例えば、米国債を売却するとかーー、」・・・

2.3年間1兆ドル規模の赤字が続く米国連邦財政 
 
少しカレンダーを遡ってみましょう。

3年連続▲1兆ドル超の米財政赤字 
 
オバマ米大統領は(2月)1日、2011会計年度(2010年10月〜2011年9月)予算教書を議会に送付した。
今回の教書に盛り込まれた政権の最新の財政収支見通しによると、2010会計年度の財政赤字幅は▲1兆5560億ドルという巨額になる。2009会計年度に記録した▲1兆4130億ドル(名目GDP比9.9%)を上回る、過去最大の財政赤字。
次の2011会計年度については▲1兆2670億ドルが見込まれており、米国の財政赤字は3年連続で1兆ドルを超えることになる。また、2010会計年度の財政赤字の名目GDP比は10.6%になると見込まれた。
2ケタに乗せるのは、1945会計年度(21.5%)以来のことである。経済が歴史的な落ち込みを示したことによる財政面の「惨禍」がなお広がりを見せていることが、如実に示されている。

この赤字拡大には、COP15会議の失敗が影響しています。

オバマ政権2011年度予算教書を読み解く四つの視点 
オバマ政権は、3つの点で赤字を拡大させるような政策変更を行なっている。
第一は、景気対策である。今回の予算教書では、昨年の提案には見込んでいなかった雇用対策が、総額1,700億ドル盛り込まれている。 
 
第二は、地球温暖化対策である。昨年夏時点の提案では、排出量取引制度の導入による6,000億ドル以上の収入増を見込み、そのうち5,000億ドルを中間層減税の財源に充てるとされていた。
一転して今回の教書では、温暖化対策は収支中立の改革として計上されており、財源を失った中間層減税は大幅に規模を縮小された。
 
 
第三は、戦費である。

コペンハーゲンの失策、中国を説得できなかった打撃は、実は6,000億ドルという規模の税収減のダメージだったのです。 
 
3.G7で何が話し合われたか 
 
米国の1兆ドルを超える財政赤字は、米国債(財務省証券)の発行で賄う必要があります。この急拡大する米国債を誰が買うのか、そこに焦点が移っています。 
 
米国財務省は、財務省証券を電子記帳の形で発行します。ということは、誰がどれだけ保有しているか、詳細に把握している。中国や日本が売却に動けば、即、把握できる体制なのです。 
 
 財務省証券の国別保有高の推移 
 
 G2hatan01.bmp 
 
中国は、2009年7月の8005億ドルをピークとして、5ヶ月に渡って保有高を減らしていますね。
これは、中国からの「これ以上米国の財政赤字に付き合うつもりはない」とのメッセージです。 
 
そこで、隣国カナダが議長国として開催するG7会議(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)を、非公開会議として、米欧日で、中国・インド・ブラジル等の新興国の離反をどうするかが話し合われたのです。 
 
コペンハーゲン会議での、中国・インド・ブラジル・南アの首脳会談が象徴している新興国の離反が、G7会議の底流にありますね。 
 
イカルイトG7の主要議題

[6日 ロイター]カナダのイカルイトで2月5〜6日に開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、ユーロ圏の債務問題、世界経済の情勢、金融機関の規制などについて討議した。
当局者の発言によると、討議の結果は以下の通り。
(レオンロザ注:ユーロ圏の財政危機、金融規制、世界経済の回復・出口戦略があげられていますが略します。) 
 
<為替>
為替に関する声明発表は見送られたが、昨年10月の声明の文言を変更する必要はないとの認識が示された。
昨年10月のG7声明は「中国のより柔軟な為替レートへの移行に対する継続したコミットメントを歓迎する」とし、これが「中国経済および世界経済全体のより均衡の取れた成長の促進に寄与する」とした。
ラガルド仏経済財務雇用相は、G7は今後非公式会合としての性格を強め、新たに表明すべきことがある場合にのみ、為替に関する声明を発表することが決まったと述べた。 
 
為替協議の場としてどのような会合が最適かについては、G7内部で意見が分かれているもよう。フランスなど一部の欧州諸国は、G7が為替協議の場としてふさわしいと主張。日本は、人民元などの問題は中国が参加するG20会合で協議できるのではないかと指摘している。 
 
<G7の将来>
G7は今後も必要と判断された場合に、随時開催される見通し。今回のG7では、複数の当局者が、声明の文言調整に時間をかける必要がなく、率直な意見交換ができたとの認識を示した。
ショイブレ独財務相は「共同声明にこだわらない率直な意見交換、これが新たなG7という意味だ」と述べた。
カナダ政府は、次回のG7をIMF・世銀春季会合が開かれるワシントンで開くことを明らかにした。

米欧に日本を加えて、世界経済秩序の再構築をめざす会議と位置づけられたのでしょう。しかし、米欧ともに目先の問題(新金融規制策、ギリシャの破綻危機)で精一杯で、何の合意声明文も発表できないのが実情だったのではないでしょうか。 
 
日本から、管直人・財務大臣、白川方明・日銀総裁、大塚耕平・金融担当副大臣が参加しています。
そして、日本は、「G7ではなくG20の場で、問題を討議すべき」との発言をしているようです。 
 
また、会議直前に管財務大臣とガイトナー財務長官の会談が行われています。ここで、米国債発行の見通し、中国が頼れない実情、日本への追加購入要請が行われたのでしょう。 
 
亀井金融担当大臣からは、2月3日に、郵貯資金の運用について、「米国債を買うことがあっていいと思う」との発言が飛び出しました。(小沢問題の決着発言に加えて、G7へ向けた、管財務大臣と大塚副大臣への交渉手札を切ったともいえます。)
一方、亀井金融担当大臣は、米国の新金融規制案について、「間違いをしでかしたのだから、その間違いを糺すのは当然である」といっています。 
 
中国は、『米国債を売却する!』という、攻撃的な切り札として、米国債を使っています。
対して、日本は、『それ程苦境にあるならば、追加資金を投入しても良い。しかし、態度は改めてもらう(金融規制するのは当然である)』とのスタンスでしょうか。
 
 
目先の矛先を、ギリシャ問題としたい米国と、米国の巨額赤字問題に向かわせたい欧州とが駆け引きを行っている状態では、世界経済秩序の再構築は、G7では不可能ですね。 
 
G7からG20への橋渡しは、やはり、日本しかできない事だと、改めて、確認できるのです。 
 
その意味で、管直人氏(財務省)、亀井静香氏(金融庁・郵政担当)、そして小沢幹事長が、今後、日米関係をどう扱って行くか、日本だけの焦点ではなく、世界からの焦点なのです。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2010-02-17 | Posted in 10.経済NEWS・その他2 Comments » 

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コメント2件

 通行人 | 2010.10.02 22:49

国家の迷走っぷり、見事なほど、あきれますね。
省益第一の官僚組織がやり玉にあげられますが、国家予算を決定する議会やそれを報道し、評論するマスコミの方々は何をしていたのか、彼らもダメダメであることは明らかですね。

 hermes outlet store | 2014.03.13 4:32

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