2008-12-11

FRBが直接企業に資金を大量融通している 〜師走のカネを必死に支えるFRB〜

皆さん、こんにちは。師走も早10日が過ぎようとしています。何かと要りようになる年末年始の到来です。 
 
最近、こんなニュースが流れました。 
 
融資基準の硬直的運用、適切でない=日銀副総裁 
 
リンク

「最近になって金融機関の貸出姿勢の、過度の慎重化を指摘する声が再び高まりを見せていることからも、実際には金融機関と中小企業との関係において、緊密な取引関係の構築が十分には進んでいない様子が窺われる」と指摘。 
 
「わが国の景気が停滞色を強める中にあって、貸出先企業の信用リスクが全体として高まる傾向にある」と指摘、「この点を踏まえ、金融機関はより厳格な融資条件の適用を企業に対して求めると同時に、信用リスクの高まりに応じた引当金の積み増しを行い、結果として資本との兼ね合いで見た貸出余力が低下している状況にあるものと考えられる」との認識を示した。

寒風が吹きすさんでいる中、年の瀬の厳しいカネ事情はアメリカも一緒なのか、FRBがかなり積極的に資金供給を行っているようです。 
 
しかも、銀行に資金融資するだけではなく、個別企業のCP(社債)を、3000億ドル(約30兆円)も取得した。金額は、2008年11月26日のFRBバランスシートからです。 
 
お金が銀行で止まっている 
 
日銀やFRBをはじめとする各国の中央銀行は、一連の金融ショック以降、大量の資金供給を続けている。 
中央銀行(FRB・日銀)→銀行:大量に資金が流れる。 
 
しかし、銀行から企業の段階で資金がストップしてしまっている。 
銀行→企業:資金が供給されていない。 
 
CP・社債を発行しても市場に引き受け手がいない以上、金融機関からの借り入れに頼らざるを得ない企業は、とりわけ銀行に殺到している。 
 
しかし、頼りにされた銀行も金を貸すことができない。 
 
銀行をはじめとする金融機関は、中央銀行から潤沢に資金を供給されているのに、なぜ、貸し出しを増やすことができないのか? 
 
その秘密は・・・ 
 
続きを読む前に、応援クリックを! 
 
 
 

にほんブログ村 経済ブログへ


銀行の貸出額と必要引当額の関係モデル 
 
理解しやすいように銀行の貸出額と必要引当額の関係をモデルにして考えてみましょう。銀行の貸出額と必要引当額の関係を、わかりやすく単純化して考えたいと思います。 
 
貸出し残高と貸倒引当率に一定という前提の下で、<金融危機以前>と不良化債権が急激に増加した<金融危機以後>で必要引当額がどれだけ増えるのかを追ってみます。 
 
金融危機以前

   貸出残高
 (億円)
 引当率
  (%)
 引当額
  (億円)
優良貸出先    1000     5    50
一般貸出先    1000    10   100
要注意貸出先   1000    20   200
破綻懸念先
 (管理下)
     0    50     0
 合 計   3000     350

金融危機以後

   貸出残高
 (億円)
 引当率
  (%)
 引当額
  (億円)
優良貸出先     500     5    25
一般貸出先     800    10    80
要注意貸出先   1200    20   240
破綻懸念先
 (管理下)
   500    50   250
 合 計   3000     595

 
 
<金融危機以前>と<金融危機以後>を比較すると、驚くべきことに、総貸付額は変化していないのに引当金の額が、350億円から595億円へとアップしているのです。 
 
(595−350)/350×100=70%アップ! 
 
つまり、金融情勢が悪化して、貸出債権の評価が劣化すると、貸し高残高を増やしていないにもかかわらず、それに伴う引当金の額がアップするのです。上記の事例では、優良貸出先が半減し、一般貸出先も大きく劣化すると、引当金の合計額が実に70%も上昇することになるのです。 
 
銀行には、景気や企業業績の悪化に従って、追加の引当金を用意しないといけないという構造が存在しているのです。 
 
これでは、FRBや日銀といった中央銀行が、市中の銀行にいかに大量に資金供給を行ったとしても、銀行は貸出し額を増加させることは厳しいのです。 
 
むしろ、貸出し債権が劣化することによって新規発生(増加)した引当額を減らし、今後さらに景気が悪化した場合に増えるであろう損失に対応するために、自己資本を温存するべく貸し剥がしを行うことになるのです。そうしないと、自らが存続できなくなってしまうのです。 
 
そして、この引当金は、回収が不可能になった時のための流動資産(当座資産)ですから、「自己資金」で用意しないといけないのです。つまり、日銀からの融資(=借入金)や、預金者からの預金といった「負債」では、賄えないのです。 
 
「銀行救済・基礎知識 政府による資本増強って何?」で、資本注入の仕組みを理解したときを思い出していただきたいのですが、貸借対照表における投資有価証券は証券市場下落により毀損し、住宅ローンを中心とした個人貸出も不動産市況の悪化により劣化し、企業貸出も業績悪化により損失が拡大の一途を辿っています。 
 
景気後退局面における銀行は、BIS規制といった自己資本比率の規制だけでなく、貸倒引当金の自動的な増加という2つの要因によって、貸出金を増やせない構造になっているのです。 
 
FRBによる個別企業への資金供給 
 
そこで、FRBは資金難に陥っている企業に資金を融通するために、 
 
FRB→銀行→企業 という資金供給ルートではなくて、 
 
FRB→企業 という直接的な資金供給ルートを開いたのです。 
 
結果、FRBにはその融資引き受けの対価であるCP(社債)の残高が急速に増加しているのです。 
 
月次のCP残高を、最後に確認してみましょう。 
 
2008年8月末は、ゼロ、10月末は、1448億ドル(約15兆円)、11月末は、2940億ドル(約30兆円)ですね。 
 

List    投稿者 katuko | 2008-12-11 | Posted in 10.経済NEWS・その他No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2008/12/753.html/trackback


Comment



Comment


*