2010-02-10

世界経済破局への長い序章? 9.反米闘士の指導者に率いられるラ米諸国

今回は、「反米大陸」とも称されるように変貌した、中南米(ラテンアメリカ=ラ米)諸国の動向です。 
 
米国は、歴史的に、CIA・軍隊の力を使い、中南米諸国に親米政権を作り上げ、長年、いいなりにしてきました。中南米を「米国の裏庭」と呼んできたことに象徴されます。 
 
しかし、グローバリズムの荒波に抗して、1998年のベネズエラのチャぺス政権を始まりとし、次々と反米政権が誕生し、いまや、「反米大陸」となりました。 
 
図は、『南の銀行』参集の7ヶ国+ニカラグア、キューバの計9ヶ国です(右図はポップアップ)。 
 
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『南の銀行』とは、ベネズエラとブラジルが主導することで成立した国際開発銀行です。それも、IMF、世銀からの干渉を排除した考え方に基づいて設立されました。(アジア開発銀行は、IMF、世銀と連携して設立・運用している。) 
当ブログの過去記事参照:脱IMF・世銀支配、南米7カ国による開発銀行の創設 
 
中米のニカラグアは、2006年にオルテガ政権が成立し、その外相経験者ミゲル・デスコト・ブロックマン氏が、2008/2009年の国連総会議長に就任しています。そして、米国発の金融破局に対し、デスコト議長(及びラ米諸国)の主導の下に、スティグリッツ委員会が設置されたのです。
キューバは説明不要ですね。 
 
今回は、これらラ米諸国の指導者に注目して、動向をみてみます。
ニュースソースは、通常の経済メディア(英語メディア)ではなく、フランス語誌、ラ米サイト等から紹介しましょう。英語メディア(特に経済メディア)は、欧米の金貸しの洗脳メディアなので、避けて通ります。 
 
1.親米政権下の叩上げ労組活動家、ブラジル大統領ルーラ氏の2期8年
2.すばやくハイチ支援を行い、米軍のハイチ侵攻を非難する、反米闘士チャべス・ベネズエラ大統領
3.第3の闘士、2期目当選を果たしたモラレス・ボリビア大統領 
 
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1.親米政権下の叩上げ労組活動家、ブラジル大統領ルーラ氏の2期8年 
 
フランスのル・モンド誌は、2009年の「今年の人」に、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領を決定しました。(米国のザ・タイム誌はFRBのバーナンキ議長。) 
 
そして、ル・モンド・ディプロマティークに、ルーラ大統領の2期8年に渡る業績の記事が掲載されています。ル・モンド・ディプロマティーク日本語サイトがありますので、そこから抜粋引用します。

 ブラジル外交の新たな展開 
 
労働党(PT)政権を率いるルーラの下で、最も変わったのが外交方針と社会政策である。
2003年1月1日の就任式の際、ルーラ大統領はキューバのフィデル・カストロ大統領を歓待した。 
 
すべては2003年9月に始まった。メキシコのカンクンで、あたりさわりなく進んでいたはずの世界貿易機関(WTO)閣僚会議が、22の新興国(G22)を率いるブラジルの反乱によって覆されたのだ。これらの国々は初めて、G8として結託する豊かな国々に対し、自国市場開放の交換条件を求めた。 
 
1期目の初めから数えると、ルーラは299日間を外遊に費やしている。行き先は、中南米を最優先に、新興大国の南アフリカ、インド、中国、ロシアである。それまでエリート層が軽視していた中米やアフリカ、中東などにも足を運んだ。ブラジル政府は2005年5月、初の中南米・アラブ諸国サミットを主催した(オブザーバー参加を求めた米国は締め出した)。 
 
米国が推し進めた米州自由貿易圏(FTAA)構想が葬り去られて以来、中南米の統合がブラジルの基本政策の一つになった。「近隣諸国が安泰になることがブラジルのためになる。社会的・政治的危機によって貧困化、弱体化した近隣諸国ではなく」とルーラは繰り返し述べている。
その最初の実証が、2006年5月の発言だ。ペトロブラスが開発したボリビアのガス田を国有化するという決定をモラレス大統領(レオン注:ボリビア大統領)が下し、それに対して「ボリビア政府の愚行」への報復として国軍出兵を求める声も上がったが、モラレスの決定は「主権行為」であるというのがルーラのコメントだった。

ブラジルとベネズエラとの矛盾にメディア(レオン注:欧米メディアとその影響下にある国内メディア)がつけ込もうとするたびに、ルーラとチャベスは急いで首脳会談をセッティングする。橋の開通式や工場の竣工式に際して、二人の抱擁シーンを世界中のテレビカメラに撮らせるためだ。チャベスが強権的だとして非難されたときのブラジル政府の対応は、ベネズエラの南米南部共同市場(メルコスル)加盟への支持表明だった。 
 
両国の同盟は、近年発足が相次ぐ中南米の主要機構の要となっている。最も重要なものは南米諸国連合(UNASUR)だ。2008年5月にブラジリアで設立され、12カ国が加盟する。この連合の目的は、ワシントンに本部を置き、常に米政府追随と見られている米州機構(OAS)に替わることにある。まだ脆弱な組織だが、防衛理事会を備え、エクアドルとコロンビアの緊張を緩和した実績もある。2008年9月には、モラレス大統領の正統性を再確認することで、ボリビア国内の反対勢力による政情不安定化の企てを失敗に終わらせた。どちらの件でも、米政府の介入は避けられた。

ブラジルの不快感は、11月末にオバマがルーラに送った書簡によって一気に増大した。11月29日にホンジュラスの軍事クーデター政権が行った大統領選挙を米国が承認したことを正当化し、またブラジルによって公然と批判されたWTOおよびコペンハーゲン首脳会合(COP15)に向けたオバマの交渉姿勢を正当化するものだったからだ。アフマディネジャドのブラジル訪問直前に送られたこの手紙はまた、イランにおける人権侵害と核開発計画の危険について、ブラジル大統領に注意を促してもいた。 
 
ルーラはこれを核兵器保有国の欺瞞と捉えていらだった。彼は12月初めに他国に(非保有を)要求する道徳的な権威を持つためには、それらの諸国自身が放棄すべきだろう」と述べ、ブラジル憲法が核兵器の開発を明示的に禁じていることを強調した。

2.すばやくハイチ支援を行い、米軍のハイチ侵攻を非難する、反米闘士チャぺス・ベネズエラ大統領 
 
地震で甚大な被害にあった『最貧国ハイチ』に対し、すばやい支援と債務帳消しを行った。IMFと米州開発銀行(IADB)が、地震後の緊急事態でも、債務負担の軽減を曖昧にしている中で、ラ米諸国からの支援が進んでいる。その代表国がベネズエラです。(写真は、コペンハーゲンで咆えるチャべス氏) 
 
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 ハイチの債務救済について 
 
ベネズエラは、これまでハイチが必要とする量の石油を供給してきた。したがって、ハイチに対する最大の債権国であった。その債務1億6,700万ドルを帳消しにした。 
AFP通信によれば、1月25日、折から開かれていたALBA貿易同盟の外相会議の閉会式で、チャベス大統領は「Petrocaribeはハイチの債務を帳消しにする」と発表した。 
 
Petrocaribeとはベネズエラの石油を割引して、カリブ海地域に輸出する国営企業である。
Ptrocaribeには、ハイチ、ドミニカ共和国のほかに、アンチグア・バミューダ、バルバドス、バハマ、ベリーゼ、キューバ、ドミニカ、エルサルバドル、グレナダ、グアテマラ、ギアナ、ホンデュラス、ジャマイカ、ニカラグア、セントキッツ・ネービス、セントルシア、セイントビンセント、グレナディネス、スリナム、トリニダッド・トバゴ、そしてベネズエラが加盟している。またALBA貿易同盟とは、2004年、ベネズエラとキューバによる地域共同市場である。 
 
さらに、ALBAの外相会議では、ハイチに対する衛生、エネルギー、金融、教育などのパッケージの援助を決定した。 
 
また、ALBA外相会議では、「ハイチに、国際法に基づかないで、目的、役割、駐留期間も明らかにせずに、過剰な外国軍隊が駐留することを危惧する」ことも声明に盛り込まれた。そして、ハイチ政府と国連が復興にイニシアティブを発揮することを、呼びかけた。

Petrocaribeは、石油市場価格が50ドルを超えた場合、40%を値引きする。さらに、この石油代金は年利子1%、25年に亘って支払うことが出来るというものである。 
 
1月12日の大地震以後、ベネズエラは隣国のドミニカ共和国を通じて、ハイチに22万5,000バレルの石油を供与している。 
 
ベネズエラに対するハイチの債務は2億9,500万ドル、ハイチの債務総額の約3分の1を占める。これを帳消しにすることを発表した。 
 
チャベス大統領は、今回の債務帳消し政策について「ハイチはベネズエラに債務を持っていない。逆に、歴史的にベネズエラはハイチに借りがある」と説明した。これは、1804年にフランスから独立したハイチが、1815〜16年のシモン・ボリバールのベネズエラ独立運動に支援したことを指す。

ハイチ復興支援で、米国が大量の艦船と地上軍を派遣したことに対して、中米諸国は、復興ではなく占領であると非難している。

 フィデルなどが「占領」を非難:ハイチ支援で 
 
1月12日の地震災害を理由として、1万人の米軍兵士がハイチ国内に移動することは、「ラテンアメリカとカリブ海地域に対する帝国主義の反攻を明らかにしたものである。また、これはコロンビア、ホンジュラスと占領ハイチとの三角地帯の形勢でもある。」ベネズエラのチャベス大統領は、自身のプレス・コラムでこう言明した。 
 
これに合わせて、キューバのフィデル・カストロは、インターネット・サイトで、「いかにすべきか、何をすべきかがわからない状態のハイチの悲劇の中で、数千の米国兵士がハイチ領土を占領している。さらに悪いことに、国連や米国政府が、国際世論に対してこの軍隊の行動について説明をしていないことだ。」と述べた。

3.第3の闘士、2期目当選を果たしたモラレス・ボリビア大統領 
 
アンデス先住民として、資本主義(市場主義)と米国支配を突き破ったモラレス氏が、ボリビア大統領の再選を果たしました。

 モラレス、2期目の大統領に就任:ボリビア 
 
モラレス大統領は22日、ベネズエラ、エクアドル、パラグアイ、チリの大統領が出席する中で就任し、植民地に変わる多民族国家の誕生を宣言、この新しい国家像は自然との調和に生きると述べ、ボリビア以外の世界中の先住民の支持を求めた。 
 
またまず始めに制定する法として、腐敗防止と財産調査に関わるものを、最優先に行うべき事項として「司法権の改革」とあらゆるレベルにおける自治の適用をあげた。 
 
アメリカに対しては、社会主義国との関係確立を拒んでいるとして、キューバ、ベネズエラ、イランなどとの関係を深めるとした。

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 ボリビア:閣僚の半数が女性
ボリビアのモラレス大統領は、10人ずつの男性・女性を閣僚に任命した。
大統領は、「大臣の50パーセントが女性であることは、私の母、私の姉妹、私の娘への敬意の表れであり、当初から私の持っていた夢である。」と述べた。
女性閣僚は、司法相、腐敗闘争相、生産相、地方振興相、保健相などを占める。 
 
さらに議会でも、候補者リストの半数は女性で構成した上、大統領、副大統領に次ぐ、この国第3位のポストである上院議長に、ジャーナリストのアナ・マリア・ロメロ・デ・カンペロが就任した。

モンゴロイドの末裔、採取部族として、女性の役割を正統に評価していると受け取れます。 
 
また、モラレス大統領の目には、明確に、市場主義(資本主義)の罪悪が見えている。

 コペンハーゲンの気候交渉でエボとウーゴ白熱
ここコペンハーゲンの気候サミットでの水曜日の朝は、轟音とウーゴ・チャベスとエボ・モラレスの過熱した演説で幕を上げた。二人の南米リーダーは、資本主義は気候変動を停止し元に戻す唯一の方法であるという考えに抗議した。 
 
気候変動の原因は、資本主義だ。もし我々がこの問題を解決したいのなら、我々は資本主義システムから脱しなければならないだろう。」と述べた ボリビア大統領のエボ・モラレスのそれと同様であった。モラレスはまた、汚染しすぎる「国を告発する気候司法裁判所」の設立を呼びかけた。唯一その方法が、アフリカのような場所が「気候ホロコースト」の恐怖を免れることを可能にするだろう、と彼は述べた。

最後に、『南の銀行』7ヶ国の指導者略歴を、るいネットから紹介しておきます。
 
米国支配から離脱した南米7カ国 その1
米国支配から離脱した南米7カ国 その2
米国支配から離脱した南米7カ国 その3

List    投稿者 leonrosa | 2010-02-10 | Posted in 未分類 | 4 Comments » 

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