2007-12-15

負担にあえぐ医療債務も債権化して利益を上げる米国

三菱東京UFJ銀行のワシントン駐在事務所が12月7日付けで米国のヘルスケアー問題についてレポート(担当 松村詩子氏)を寄稿している。 
 
それによると前から米国の医療費問題は深刻だったが、自己破産の実に54.5%もの比率で医療債務が原因になっているらしい。 
 
そして何と自己破産の原因にもなっている多大に増大している医療債務を、医療サービス機関が債権化し、それを銀行やクレジット会社が買い取り利息をつけて債務者から回収するビジネスが増えているらしい。何とも徹底した市場主義だと驚いてしまった。以下要点を引用したい。 
 
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経済協力開発機構(OECD)が先月発表した医療支出に関する報告書によると、2005 年において加盟先進国30 カ国の年間医療支出は平均して、GDP の9%(1 人当たりUS$2,759、家計支出の12.8%)だったのに対し、米国の医療支出はGDP の15.3%(1 人当たりUS$6,401、家計支出の19.5%)と、依然として加盟国のうちで最も高いレベルとなっていることが分かる。(日本の医療支出はGDP の8%、1 人当たりUS$2,358。) 
 
連邦議会、政策関係者の間ではここ数年にわたり、経済成長率を大きく上回る医療コストの増大、47 百万人にも上る無保険者、医療訴訟の増加などといった様々な問題の是正に向けて、ヘルスケア改革が頻繁に議論されてきた。 
 
2001 年の推計では、医療費支払能力のない無保険者により医療機関に転嫁された医療コストは350 億ドルにのぼるといわれる。同年においてはそのうち306 億ドル(約87%)が連邦・州政府により賄われ、残りの44 億ドルは民間医療機関に転嫁された。2001 年において40 百万人と推定されていた無保険者の数は少なくとも2005 年には47 百万人まで増加しているから、無保険者の存在が米国の医療システム全体にもたらす負担はもはや軽視できない。 
 
医療コストが高騰し、無保険者や付保内容の薄い保険加入者が増加した近年において、医療サービス機関が患者から料金を回収するのは次第に困難となっている。そんな中で急速に拡大しつつあるのが、個人の医療債務に注目した医療金融サービスである。医療サービス機関は患者の医療債権をまとめて銀行、クレジットカード会社、プライベートエクイティ(非公開株)投資会社などの金融機関に売却し、これらの金融機関は利息をつけて患者に料金を請求する仕組みになっている。 
 
このような医療債務市場は1980 年代からあったが、最近ではGeneral Electric(GE)やU.S.Bancorp、Capital One、Citigroup などといった大手金融企業も参入し、無保険者、付保の薄い保険にしか入っていない患者や付保限度を超えてしまったがために支払いが困難な患者をターゲットとして急速に拡大しつつあるといわれる。コンサルティングのMcKinsey 社の調べによると、2005 年において一般消費者の医療費自己負担額は2500 億ドル(保険料は含まない)であったが、この金額は2015 年までに4200 億ドルに達する可能性もあるという。 
 
医療サービス機関が患者の医療債権を金融機関に売却することにより、患者が返済しなければ高利息を課され、個人のクレジットスコアにも影響を与えることから、医療料金の回収が効率化される利点が指摘される。しかしその反面、医療のような公共福祉サービスが消費者金融の対象となることに反発する声もある。 
 
【医療金融サービス市場の発展がもたらす個人の「医療破産」】 
 
最近になって、しばしば「医療破産」という言葉が聞かれるようになった。。2005 年にヘルスケア政策学術誌Health Affairs でDavid U. Himmelstein ハーバード大学医学部准教授、その他の研究者が発表した研究論文によると、2001 年において自己破産申告した人の54.5%が医療債務を自己破産の理由に挙げている。 
 
データの信憑性を疑問視する意見もあるが、医療コストが高騰を続ける中、多大な医療債務を抱える消費者が増えていることは確かである。 
 
米国では2005 年に破産法が改正され、個人破産申告の基準が厳格されたことを受け、個人破産件数は減少傾向にあるといわれている。しかし医療金融サービス市場が拡大するにつれ、今後医療債務に苦しむ消費者がさらに増加する可能性が懸念されており、議会でも何らかの対応を検討する動きが出始めている。 
 
以上 
リンク
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日本では30兆円を超える医療費が問題になっている。米国では自己負担額だけで2500億ドル=27.8兆円というから次元が違っている。 
 
医療サービス会社から債権を買い取り、その負担にあえぐ人達からさらに利息をとって利益を上げようとする米国の銀行やクレジット会社はいったいどんな存在なのか。 
 
日本ではサラ金が社会問題になった事は人々の記憶に刻み付けられている。サラ金会社は取立てが困難な債権を安く暴力団に売り、その暴力団は、債務者から過酷に取り立てて資金源とした。
「払えなければ自己破産するしかなく社会的地位を無くすぞ!」と脅しの手段こそ違え、やってる事は全く暴力団と同じではないのか!

List    投稿者 shigeo | 2007-12-15 | Posted in 10.経済NEWS・その他4 Comments » 

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コメント4件

 shijimi | 2008.03.25 20:28

初めて海外旅行した’90代前半、円が86円と非常に高い時でした。そのときはまだまだ株も高かったような?!まあ、学生だったので、円高が日本にとってどういう状況を招いているのか、その影響を受けることもなく、興味もなく、海外旅行を楽しんでいました。
そして、現在、実体経済と遊離した金融業界。
サブプライムの影響によって株や、ドルが破綻したところで、実体の経済にどれほどの影響があるのか?!と、庶民の私には、その危機感がもう一つ弱かったりします。しかし、外資を扱う国にはもう少し「破綻」に対する危機感と、立ち回りのよさを期待してしまうな〜っとleonrosa さんの投稿を読んで思いました。

 leonrosa | 2008.03.26 19:20

shijimiさんどうもです
日本の貯蓄は1500兆円もある。
しかし、その貯蓄は、日本の為には余り使われていず、外資の手によって、ドル資産に切り替わっている。
政府(国)も、外国為替資金特別会計で1兆ドル(100兆円)の米国債を買って、保有している。
その仕掛け。
国民の貯蓄⇒銀行⇒上記特別会計が発行する「政府短期証券」を購入(ここまでは円)⇒特別会計を使って米国債の購入(ここでドルに切り替わる)⇒そのままドル建て米国債を保有。
米国に指示されて、これを10年、20年と続けているのです。
参照:日本版SWF構想の欺瞞
http://www.financial-j.net/blog/2008/02/000482.html

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