2013-04-06

【17】『世界経済の現状分析』インド経済

本シリーズは、世界一周、ぐるっと経済の現状分析をしていますが、今回はBRICSの一角で、台頭著しいインド経済を見てみます。
日本では報道されることの少ないインド経済ですが、調べていくと、驚く実態がわかってきました。
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<地図はこちらからお借りしました>
過去記事は以下をごらんください。
『世界経済の現状分析』【1】プロローグ
『世界経済の現状分析』【2】米国経済の現状(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【3】米大統領選の分析その1(両候補の政策の違い)
『世界経済の現状分析』【4】米大統領選の分析その2(両候補の支持層の違い)
『世界経済の現状分析』【5】米大統領選の分析その3(米大統領選の行方?)
『世界経済の現状分析』【6】中国経済の基礎知識
『世界経済の現状分析』【7】中国経済の現状(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【8】中国、新体制・習近平でどうなる?
『世界経済の現状分析』【9】中国経済のまとめ
『世界経済の現状分析』【10】欧州経済の現状①(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【11】欧州経済の現状②(独・仏 VS PIIGS 格差問題の分析)
『世界経済の現状分析』【12】EU経済の現状③(EUの政治状況、右翼化?)
『世界経済の現状分析』【13】ロシア経済の現状(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【14】ロシア経済の現状〜プーチンの焦り
『世界経済の現状分析』【15】コラム:新たな天然ガス資源「シェールガス」
『世界経済の現状分析』【16】ブラジルの経済の現状(ファンダメンタルズと金貸しの戦略)

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先ずは、インドってどんな国?から押さえておきましょう。
●基礎データ外務省HPより>

1.面積
328万7,263平方キロメートル(インド政府資料:パキスタン、中国との係争地を含む)
2.人口
12億1,000万人(2011年国勢調査(暫定値))
人口増加率17.64%(2001-2002年:2011年国勢調査(暫定値))
3.首都
ニューデリー(New Delhi)
4.民族
インド・アーリヤ族、ドラビダ族、モンゴロイド族等
5.言語
連邦公用語はヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が21
6.宗教
ヒンドゥー教徒80.5%、イスラム教徒13.4%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.9%、 仏教徒0.8%、ジャイナ教徒0.4%(2001年国勢調査)
7.識字率
74.04%(2011年国勢調査)

※経済規模<リンクより>
インドの2011年の名目GDPは約1.8兆米ドルで世界10位

次にインド経済の状況について見て行きます。
●インド経済の概況
○GDP成長率

<グラフはこちらからお借りしました>
GDP成長の流れは凡そ以下のように整理できます。
①1947年の独立以降、社会主義路線により経済は停滞
→経済成長率は3〜4%
②80年代以降、統制経済システムを温存しながらも経済自由化開始
→ 成長率は5%台へ上昇
③91年の経済危機を経て構造改革に着手、成長率の大きな振れがなくなり安定した高成長率を維持
→成長率は7%台へ加速
※その他、基礎的経済指標はジェトロHP参照

○産業の特徴リンクより>
・世界有数の農業生産国
 米、小麦、バレイショ、綿花、茶は中国に次いで世界2位
 さとうきびはブラジルに次いで世界2位
 牛乳は米国に次いで世界2位、バターは世界1位
・インドは人口が極めて多いが、食料の自給率は高く維持されている。主要農産物は自給率100%以上
・資源も豊富
 鉄鉱石は世界4位、石炭は世界2位

○貿易
◆インドの主な貿易品目
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◆相手先別貿易
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◆インドと日本との貿易
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●インドの経済政策
インドの経済政策の歴史は以下のように整理できます。
①1947〜1983年(ネルとインディラガンディー政権):計画経済体制 
 基幹産業の国営化
②1984〜1991年(ラジブガンディー政権):部分的経済自由化 
 統制経済システムを温存したまま、部分的に外資導入
③1991年〜(多党化→現シン政権):自由経済体制 
 新外国投資政策、外資規制緩和、国営企業の民営化、国外との連携強化でインフラ整備
※詳細は、リンクの政治・経済歴史年表参照
○マンモハン・シン政権の経済改革
・1991年の経済改革以降、インドは経済の自由化を進め、市場拡大を続けています。
・ロスチャイルド系(ジェイ・ロックフェラー)の金貸しであるゴールドマン・サックスは、インドは第3の経済大国になると囃し立てています。

>インドの主要貿易相手国であるソ連の崩壊と原油の高騰を惹き起こした湾岸戦争の発生により、インドの国際収支尻は大きく悪化し、債務のデフォルトに直面することになった。
>経済問題に直面したナラシンハ・ラーオ首相とマンモハン・シン財務大臣は1991年、インドの経済改革を開始した。改革では投資や産業、輸入のライセンスを廃止し、 多くの部門での外国からの直接投資を自動的に許可した。改革開始以後(中略)、政党の政権交代にかかわらず、経済の自由化の方向性は一貫している。
2003年、ゴールドマン・サックスは2020年までにインドのGDPはフランスやイタリアを追い越し、2025年までにはイギリスやロシア、2035年までには日本を追い抜くと報告し、アメリカ合衆国、中華人民共和国に次ぐ第3の経済大国となると報告した。
リンクより>

●外国企業の進出状況
○日系企業の進出状況
中国に進出した日本企業2万社超に対し、インドへは1000社に満たず。(2011年10月)<リンクより>
・中国ほどではないが、インドに進出する日系企業は年々増えている。<リンクリンクより>
・2010年10月現在、725社
・2011年10月現在、812社
・2012年10月現在、926社

・但し、日本企業によるインドビジネスは失敗例も多い。<リンクより>
 トヨタやパナソニックなど代表的な企業も苦戦。
 現代自動車、サムスン電子、LG電子などの韓国企業が攻勢

○欧米企業の進出状況
※欧米系の企業もかなり進出しているようだが詳細は不明。(継続調査)
 欧州系:フィアット、アウディ、ルノー等
 米国系:モトローラ、GM、キャリア、P&G等

インド経済は、自由経済化、外資の参入で大いに拡大する可能性があると言われているようですが、果たして、本当に拡大できるのでしょうか?
実は、インド特有のカースト制度が経済成長の足かせになることが指摘されています。
●身分格差の実態
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<図はこちらよりお借りしました>
★カースト制度の起源

アーリア人がインドを侵略した時に、アーリア人はまったく免疫を持っていないため、次々とアーリア人のみが風土感染症により死亡する事態が出てきた。 これらに対応するためにアーリア人が取った政策がアーリア人とそれ以外の民族との「隔離政策」「混血同居婚姻禁止政策」である

★インドにおけるカーストの内実

1950年に制定された憲法で全面禁止が明記されているものの、実際には人種差別的にインド社会に深く根付いている。

★現代インドとカーストとの軋轢

>子供を売春や重労働に従事させて、警察からの摘発を受けて逮捕されても、逮捕された雇用者が上級カースト出身者であったがために無罪判決を受けたり、酷い物になると起訴猶予や不起訴といった形で起訴すらもされない、という報告もある。

★インドの女性がレイプされ死亡、高まる抗議運動 下層階級への性犯罪はどうなる?

インドでは、少女や女性への性的暴行が日常的に発生している。これまで、このような事件はインドメディアであまり取り上げられてこなかった。
>職業にも制約がある。低カーストは清掃業など限られた職業にしか就けない。

★カースト制度の功罪(JPモルガン) ※D.ロックフェラー系

>カースト制度においては、各人がそれぞれの階層にとどまる限り、同一階層内で相互に助け合いが行われ、各人の生活が保障される。その意味で、カーストは社会の安定化に寄与するというプラスの側面があるともいわれているが、一方で、インド国内の所得格差の拡大に拍車をかけるというマイナスの側面を持っており、近年では、カースト制度のプラスの側面よりもマイナスの側面のほうが目立つようになってきている。インドでは基本的に相続税が課されないため、所得格差はそのまま資産格差へとつながっていく。
>経済成長の過程で国内の所得格差が縮小することが個人消費の爆発的拡大につながることはよく知られている。
>足下のインド経済は、内需主導で高い経済成長を実現しているが、個人消費の伸びをけん引しているのはもっぱら所得水準の高い上級カーストに属する人々である。カースト制度を背景とする所得格差の問題が解決されない限り、今後、上級カーストの耐久財消費が飽和状態に近づいていったときに、下級カーストあるいは指定カーストの消費が伸び悩み、マクロレベルでみた個人消費の中長期的な拡大余地は乏しくなってくる。

●まとめ
インドは1991年の自由経済化以降、急速に市場拡大しています。
・世界的に見ても、米国覇権衰退の顕在化(1980年代以降、双子の赤字拡大)、1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連崩壊、1992年の中国の市場経済化の加速、1990年以降のブラジルの貿易自由化・資本の自由化など、東西冷戦構造が終焉し、米国一極支配から多極化へ向かうパラダイム転換が1990年前後に起こっています。
・おそらく、その背後には金貸しの戦略があると思われます。
※ロスチャ系(欧州系)のゴールドマン・サックスが、BRICSを囃し立て、インドは第3の経済大国になると宣伝しているところからみて、欧州系の多極化戦略があるものと考えられます。
※それに対して、D.ロックフェラー系のJPモルガンが、カースト制度が市場拡大の足かせになることを指摘しているところからみて、インドにおいても欧州VS米国の駆け引き、覇権争いが繰り広げられていることが伺えます。
一見、インド経済は拡大可能性が大きいように見えますが、確かに、カースト制度が市場拡大の足かせになる可能性もあります。経済理論的に考えて、身分格差→所得格差を縮小し、国民の総所得(購買力)を上げていかないと、上級カーストだけの消費だけではいずれ経済成長は頭打ちになります。(中国の内需拡大⇒所得格差縮小の問題も同じ構造です。)
・果たして、金貸し(欧州系)の思惑通りになるのでしょうか?日本企業の進出も増えていますが、企業の海外進出に可能性はあるのでしょうか?
今後もインド経済から目が離せません。次回はASEANです。お楽しみに!

List    投稿者 yukitake | 2013-04-06 | Posted in 10.経済NEWS・その他No Comments » 

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