2022-12-10

日本はエネルギーを自給できるか

生活、社会発展をさせるために、エネルギーの存在は欠かせません。

しかし、近年の人口増加や経済発展に伴い化石エネルギーの消費量が急増し、エネルギーの枯渇がさらに早まっていることが大きな問題となっています。

また、特に日本は国内のエネルギー資源が非常に乏しく、エネルギー自給率が非常に低いことが特徴です。

海外からの輸入に依存していることが現状としてあります。

 

そもそも、本当に日本に資源はないのでしょうか?

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16世紀の石見銀山は世界の銀の大部分を産しており、かつての日本は世界もうらやむ資源大国でした。亜鉛やインジウムが採れた北海道の豊羽鉱山が2006年に閉山して以来、日本の天然鉱山は九州の菱刈金山など。生産量では使用金属量の3%程度です。

 

■人間社会のなかにも「都市鉱山」として未利用資源が存在している

資源は自然から与えられたものですが、実は人間の努力で増やすこともできます。

資源が足りなくなった日本は世界中から優れた資源を必死に集めてモノづくりをしてきました。その集められたものは、半分は海外に製品として輸出されましたが残りは日本の中に残っています。壊されたビルの鉄筋、解体された自動車、飲み終わったアルミ缶、壊れたテレビなどなど。この中に世界中から集めた資源が眠っているのです。人間社会のなかにも「都市鉱山」として未利用資源が存在しているのです。

都市鉱山とは、都市でごみとして大量に廃棄される家電製品などの中に存在する有用な資源(レアメタルなど)を鉱山に見立てたもので、そこから資源を再生し有効活用しようというリサイクルの一環となります。

 

日本に蓄積している金属の量は馬鹿にできません。世界の年間消費量の数年分もある金属がたくさんあります。私たちが知らないうちに備蓄の準備が整っているのです。これを世界の天然資源の埋蔵量と比べてみると、もっと驚くべき数字になります。日本の蓄積量は世界の資源国と呼ばれる国々の埋蔵量に匹敵するどころか、金や銀などでは1位の国の埋蔵量を凌ぐほどの蓄積量があるのです。

因みに、某テレビ番組によると、某高等専門学校准教授が廃棄パソコン100台分の金メッキ端子から2gの金を採取したとの報道があります。

国立研究開発法人 物質・材料研機構「日本の都市鉱山蓄積量/世界の年間消費量のグラフ」より引用

 

■なぜ日本にはこんなに多くの金属が眠っているのか

それは、いままで日本の経済活動が世界中から質の良い資源を集めて、日本の高い工業生産力で素材化、製品化を進めてきたからです。日本は情報産業技術などのハイテクで常に世界をリードしてきました。そのハイテクに必要な新たな素材のために多くの資源が日本に集まっているのです。

 

前述で蓄積量を埋蔵量と比べましたが、実は「蓄積量」と「埋蔵量」には大きな違いがあります。「埋蔵量」は、いま鉱山として採掘して経済的に成り立つ量を意味します。一方で「蓄積量」は、単にあるというだけで経済的に成り立つかどうかは考慮していない数字です。

鉱山学的にいうと「埋蔵量ベース」という表現があり、これは経済的成立性を考えない資源の存在量です。つまり、都市鉱山の「蓄積量」は、この「埋蔵量ベース」に相当する量なのです。

 

 

■追求ポイント

・日本の都市鉱山の埋蔵量はどのくらいあるのか。また、蓄積量を埋蔵量に転換できるのか。

→できるとしたら、どうやって変換するのか。

・都市鉱山の利用における技術的課題は何か

 

 

世界は金融社会として金を多く保有していることが優劣を付けましたが、現代では資源が豊かな国が優位な構造(=資源社会)に変わりつつあります。

しかし、その資源も有限。消費し続ければいずれは底をつきます。

これからの時代、都市鉱山のような未開の資源を“つかえる資源”にどう転換していけるか。技術のレベルが求められると感じます。技術社会へ進んでいくのではないでしょうか。

日本の技術をもって、エネルギー自給が可能な時代が来るかもしれません。

List    投稿者 y-kana | 2022-12-10 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?, 10.経済NEWS・その他No Comments » 

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