2010-02-24

民主党新政権の平成22年度予算を解剖する−次世代の育成に繋がるっているか

昨年9月に民主党・国民新党・社民党の連立政府が成立しました。
そして、新政権による初めての予算案が12月25日に発表されました。それに先立つ事業仕分け作業を含めて、22年度の予算はどうなったのか、解剖してみます。 
 
平成22年度当初予算の特徴は、以下のように概括できます。 
 
総額92.3兆円強という当初予算としては史上最大規模である。
歳入面では、税収落ち込みに伴う44.3兆円という多額の国債発行に依存している。
歳出面では、地方交付税等の増額(約9000億円)と社会保障関係費の増額(総額2兆4000億円)。
また、経済危機対応・地域活性化予備費として、別枠で1.0兆円を新設した。
新政権の予算ポリシーは、「いのちを守る予算」とのことです。
亀井静香金融担当大臣の言葉では、「国民を幸福にするための予算」、「壊れかけた地方に歯止めをかける予算」として、編成されました。 
 
確かに、子供手当の新設、高校授業料の無料化、医療予算の増額等、壊れかけた国民生活を支える大型予算が組まれました。 
 
しかし、なぜか、予算案を示された国民は、今ひとつスッキリしていません。 
 
『子供手当を貰えるのは、助かるが・・・・』、『地方が一息つけそうなのは確かなのだが・・・・』という感じでしょうか。 
 
何が、スッキリできないのか。今回は、その辺りを扱ってみます。 
 
1.子供手当、高校無料化の予算はどうなったか。
2.お金の支給に思想がなければ、次世代は育たない。もっと工夫が必要だ。
  (フランスの子供手当と比較してみると。)
3.大人(高等教育・研究開発)の既得権益が生き残り、次世代づくりへの道が見えない。 
 
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1.子供手当、高校無料化の予算はどうなったか。 
 
調査部門をもっている国会図書館から、今回予算の分析レポートが出ています。そのレポートから、子供手当、高校無料化の部分をみてみましょう。 
 
平成22年度予算案の概要/国立国会図書館「調査と情報、第670号」より

(1) 子ども手当 
 
子ども手当(中学校卒業までの子ども1 人あたり月額2 万6,000 円を支給)は、マニフェストの行程表に従って、その半額(月額1 万3,000 円)が実施される。 
 
総給付費2 兆2,554 億円のうち、1 兆7,465 億円が国負担分として一般会計予算に計上される。この制度の財源として、所得税・個人住民税の15 歳以下の扶養控除を廃止することは、比較的早期に決着していた(平年度ベースで、国5,185 億円、地方4,177 億円の増税)。
しかし、それを勘案しても財源の制約は厳しく、予算編成過程の最終局面で、小沢民主党幹事長は、党の重点要望として子ども手当の支給に所得制限を設けることや地方に新たな負担増を求めないこと(実質的には地方負担の現状維持)を要望した。
これに対し、鳩山首相は、所得制限を設けないとする姿勢を堅持するとともに、平成22 年度は暫定的に、現行の児童手当(国、地方、事業主が負担)に係る負担を地方と事業主に継続して求め、新たな負担増は求めないこととした。

子供のいる世帯は手当支給、子供のいない世帯は実質増税ということです。この辺りは、余り説明されていないですね。

3 高校の実質無償化 
 
マニフェストの主要項目の1 つであった高校の実質無償化については、3,933 億円が計上された。 
 
①公立高校生のいる世帯に対しては、授業料(年額約12 万円)を不徴収。
②私立高校生のいる世帯に対しては、国が都道府県を通じて学校に就学支援金を支給したうえで、学校が就学支援金を授業料から減額する。就学支援金は、年額12 万円を上限とするが、低所得者に対しては上乗せして助成する(年収250 万円未満の世帯に約12 万円、年収250 万〜350 万円未満の世帯に約6 万円)。なお、高校の実質無償化に伴い、所得税と個人住民税の16〜18 歳の特定扶養控除が縮減される(平年度ベースで、国957 億円、地方392 億円の増税)。

こちらも、無料化と実質増税がセットですね。 
 
子供手当、高校無料化は、財源の問題を含め多くの先送り課題はあるものの、この新しい制度の導入は社会全体で子どもを育てるという国民の意識改革を促す転換点になる政策です。しかし、意識改革につながっていくのでしょうか。 
 
2.お金の支給に思想がなければ、次世代は育たない。もっと工夫が必要だ。
  (フランスの子供手当と比較してみると。) 
 
フランスの子供手当てから紹介します。

欧州でも、子供関連の給付金がもっとも充実しているのはフランスである。
フランスの特殊出生率は、1993年に1.63まで落ちたことがあるが、少子化対策によって上昇した。2008年は2.07となり、欧州でもっとも高い水準である。 
 
有名なのは、「家族手当」で、20歳未満の子供2人以上がいる家庭を対象とする手当である。(引用者注:子供一人の場合は手当がつかない。)
子供2人の場合には、毎月123.92ユーロ (約16,500円)、3人の場合は、282,70ユーロ (約37,500円)、それ以上の場合は1人ごとに158.78 ユーロ(約21,079円)が支給される(2009年)。
さらに、子供が11歳〜16歳になると月34.86ユーロ (約4,627円)、16歳〜19歳までは61.96ユーロ (約8,225円)が加算される。所得制限はなく、すべての家庭に支給される。 
 
この他に、3歳以上の子供が3人以上いる場合には、家族補足手当が月161,29ユーロ(約21,000円)支給される。この手当てには所得制限がつくが、家族の形態に応じて年収450万〜500万円程度が上限であるので、必ずしも低所得層だけでなく、多くの一般家庭が受給する。
また、3歳未満の子供については、一律で177.95ユーロ(約23,606円)が支給される。この他にも、各種出生給付金や、一人親のための給付金、障害児のための給付金などもある。

下に、詳細な表を、厚生労働省の白書から載せておきます。(ポップアップです! 
 
凄くきめ細かに作られていますね。 
    
 
フランスと日本の新制度を、子供二人(1歳・3歳)と三人(1歳・3歳・7歳)で比較してみます。 
 
二人モデルでは、フランスが年額70.8万円、日本が62.4万円(26,000×2人×12月)です。
三人モデルでは、フランスは三人目が月額4万円になりますので、年額118.8万円。日本は、93.6万円です。
日本の子供手当、月額26,000円が支給されても、まだ、フランスに及ばないのですね。 
 
フランスの場合は、一人目は基本的に無給付(一人ぐらいはチャンと育てなさい?)、二人目から援助し、三人目は手厚くする。さらに、乳幼児の手当、中学や高校段階は追加手当で、というように非常にきめ細かく定められています。
制度設計というのは、フランスのように対象者の状況に合わせて行うものでしょう。一律定額支給というのは、なんとも荒っぽい制度設計だと思います。 
 
地方自治体の中には、三人目、四人目と増額する手当を導入してる所があります。
新政権の子供手当が、三人目、四人目と増額する手当、乳幼児段階の保育手当のプラスアルファーといったメニューと共に出されたら、もう少し、意図が伝わったと思いますね。 
 
3.大人(高等教育・研究開発)の既得権益が生き残り、次世代づくりへの道が見えない。 
 
次世代づくりという意味では、教育費がどう扱われたか、みてみます(文部科学省の予算です)。ポップアップ! 
 
 
文部科学省の総予算は、21年度当初予算に比べて、(高校無料化を除くと)実質マイナス予算です。 
 
大きく減らしたのが、初等中等教育等振興費(▼10.3%)ですね。(初等教育が小中学校、中等教育が高校です。) 
 
一方、『研究振興費・研究開発推進費』という項目は、420億円、13%も増加させています。
「スーパー・コンピュータ開発」等の研究開発費が、事業仕分けで、本当に必要なのか、その成果は本当に役に立つのか? と議論されました。しかし、表にあげた機構や研究所の予算は少し減っていますが、一方で、上記の『研究振興費・研究開発推進費』で、取り戻しています。 
 
どうも、大人である学者、研究者の大きな声(代表がノーベル賞受賞者4人の強訴)で、巨額な研究開発予算が温存されています。 
 
その正当化の根拠は、『事業仕分けに対して、意見公募をしたら、大半が、仕分け論理に反対であった』というものです。既得権をもった大人が、沢山、意見を出したのでしょう。 
 
その資料を切り取っておきましょう。ポップアップ! 
 
 
 
上記のような、正当化の理屈を展開する官僚と学者(研究者)からは、本当の意味での、次世代づくりのアイディアが出てくるとは到底思えません。 
 
 
昭和35年度から平成22度までの50年間の予算推移が、財務省の説明資料に出てきます。
これをみると、昭和40年代の前半までは、教育費が国の予算の5割、4割を占めていました。まさに、子供世代を育てながら、経済発展に向かっていたのです。
親は、我慢してでも、子供に投じていた。
7)一般会計に歳出に占める主要経費の割合の推移 
 
今は、特権階級の大人が贅沢をして、次世代の子供教育が疎かにされているのです。 
 
日本の未来を託す次世代への投資は不十分。とても次世代に繋がっている予算とは言い難いといわざるを得ないのです。 
 

List    投稿者 aruih | 2010-02-24 | Posted in 10.経済NEWS・その他3 Comments » 

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コメント3件

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