新政権で2013年の日本どうなる?〜外交政策〜
新春企画「新政権で2013年の日本どうなる?」シリーズをお届けします!
安倍新政権になった背景と選挙後の動向を踏まえ、今回は、憲法改正・国防軍、TPP、対米中政策などの外交・安全保障政策に焦点を当てて、2013年の日本を展望します。
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1.自民党の外交・安全保障政策?
先ずは外交・安全保障に関する自民党の選挙公約と選挙中の安倍総理の発言から見て行きます。
●自民党マニュフェストより、外交・安全保障の部分を抜粋
・日米同盟の強化のもと、国益を守る、主張する外交を展開します。
・官邸の指令塔機能を強化するため、「国家安全保障会議」を設置します。
・日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定します。
・自衛隊の人数・装備・予算を拡充します。
・憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます。
・統合運用を進め、自衛官と文官の混合組織への改編、部隊運用組織の統合など防衛省改革を推進します。
・米国の新国防戦略と連動して自衛隊の役割を強化し、抑止力を高めるために、日米防衛協定ガイドライン等を見直します。
●これが“次の首相”安倍氏の対中戦略だ!防衛費上げて尖閣死守
>日本固有の領土である尖閣諸島周辺の日本領海を中国の海洋監視船や漁業監視船が連日侵犯していることについて、安倍氏は総裁選で「日本の美しい海、領土が侵されようとしている。『領土、領海、私たちの誇りに手をつけたら許さない』という強い決意を示さないといけない」と訴えた。
★マニフェストの中に「憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます」とありますが、なぜこのような公約を掲げたのでしょうか?
●憲法改正が不可欠である理由(安倍晋三HPより)
1.憲法の成立過程に大きな問題がある。日本が占領下にあった時、GHQ司令部から「憲法草案を作るように」と指示が出て・・・
2.憲法が制定されて60年が経ち、新しい価値観、課題に対応できていない。
3.憲法は国の基本法であり、日本人自らの手で書き上げていくことこそが、新しい時代を切り拓いていく。
●国防軍にする理由(リンクより)
・ 国際条約上、自衛隊員では捕虜となった時に捕虜の待遇がされない テロリストとして惨殺される事態もある 自衛隊を軍とする最大の理由はここにある
★一見もっともらしく聞こえますが、今なぜこのようなことを言い出したのでしょうか?やはり、国際情勢から考えていく必要があると思われます。
2.TPPどうなる?
★先ずは選挙でも大きな争点となったTPPから。そもそも米国がTPPを持ち出してきた理由は何なのでしょうか?
●米国が主導するのはTPP。これに対し、RCEPには中国が力を入れている
米国がTPPを持ち出してきた理由は、中国が主導するRCEP(東アジア地域包括的経済連携=米国抜きの東アジア共同体)に対抗するため。米国は欧州からもアジアからもはじき出されれば将来は無い。
要は経済覇権が崩壊し、追い詰められた米国(D.ロックフェラー)の焦りです。米国は前野田政権の時から日本への支配力を強めるべく、なりふり構わずTPP参加への圧力を加えてきています。
★米国の圧力を受け、日本はどのように対応しようとしているのでしょうか?今回の総選挙での民主党VS自民党のTPP政策の違いを見てみます。
●どの政権でもTPP交渉参加は不可避 自民、民主は党内反対派に配慮して曖昧 (馬田啓一・杏林大学総合政策学部教授インタビューより)
>民主党のマニフェストにはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現へ向けてTPP、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携の3つを同時に進めていくとしている。だが、トーンダウンして、「政府が判断する」という文言がある。これは党内のTPP反対派に配慮した妥協の産物で、腰砕けだ。
>自民党は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」と明記している。安倍晋三・自民党総裁は「TPPは積極的に進めるべき」という発言を過去にしているが、民主党と同じように自民党にもTPP反対派がいる。したがって、反対派への配慮をしつつ、農村部の票を取り込み、確実に政権を奪還するために、公約のなかでははっきりとした言い方を避けた。
ちょっとわかりにくいですが、自民も民主もTPP推進には変わりはありません。強いて違いをあげるとすれば、民主が東アジアを意識しているようなポーズをとっているのに対し、自民の方は農村部などに配慮して表向き反対であるかのようなポーズをとっているという点ぐらいです。
実際には自民が初めから公約に日米同盟強化を掲げている点、元々経団連等の大企業を支持母体にしている点などから考えて、自民の方がより積極的にTPPを推進していくのは明らかであろうと思われます。
3.日米関係どうなる?
★次に、日米関係はどうなるかを見て行きます。安倍総理は米国に対してどのようなスタンスなのでしょうか?
●パワーアップした小泉・竹中構造改革型「安倍新自由主義政権」が到来か!?
>第二次安倍内閣がスタートした。この閣僚布陣を一瞥しただけで、安倍政権が小泉政権の進化型対米隷属政権だということが分かる。官房長官に菅義偉(すが よしひで)氏、国交相に創価の太田昭宏氏、経産相に茂木敏充氏、環境・原発担当相に石原伸晃氏、沖縄・北方担当相に山本一太氏、経済再生相に甘利明氏など、彼らの顔ぶれは小泉政権再来の悪夢を見る思いだ。
>安倍氏は墓参後、記者団に「祖父は日米同盟が新しい時代を迎えなければいけないという信念で日米安保条約の改定を行った。私も祖父と同じ信念と決断力を持って、長州出身の政治家として恥じない結果を出していく」と首相再登板への決意を強調した。
<祖父、岸信介元首相の墓に政権奪還を報告する自民党の安倍晋三総裁。(22日、山口県田布施町)>
★安倍総理は属米派なのかor対米自立派なのか?
安倍総理の祖父である岸信介についても属米派(CIAの傀儡)であったとする説と実は対米自立派であったとする説(『戦後史の正体』孫崎享氏)がありますが、安倍氏が長州(旧陸軍の主派閥)の出身であるところから見て、安倍総理も対米自立派である可能性はあり得ると思われます。
但し、仮にそうだとしても、第1次安倍内閣(2006年9月〜2007年8月)は米国の圧力によって退陣させられた疑い(表向きは健康上の理由)もあり、今回の総理就任にあたっては、以前よりさらに米国からの圧力が強まっている可能性があります。
少なくとも、日米同盟強化を掲げているところからみて、当面は属米寄りの政治スタンスに立つのは間違いないと予想されます。
※以下のブログが参考になります。
●孫崎享氏の『戦後史の正体』:岸信介は対米自立派だった?安保反対の全学連を闇支援していたのは米国CIAだった?それはほんとうか!
●よくよく考えれば安倍晋三氏は正直な人だった!?
4.日中関係どうなる?
★次に日中関係はどうなるか?を見て行きます。中国は習近平新体制になりますが、安倍総理は中国に対してどのようなスタンスなのでしょうか?
中国では習近平(太子党)新体制で、対日強行路線が強まることが予想されます。
●『世界経済の現状分析』 【8】中国、新体制・習近平でどうなる?
一方の安倍総理は、選挙戦中は尖閣問題に強い決意を示すなど、対中政策に強行な姿勢が目立ちましたが、当選後は「日中戦略的互恵関係」を目指し、日中関係改善に向けた現実的な姿勢に転換してきているもようです。但し、かつてないほど日中関係は悪化しており、果たして関係改善できるのかどうかは予断を許しません。
●安倍総裁「中国は日本にとって最も重要な二国間関係のひとつ」と明言−日中関係打開へ両国で期待高まる
●安倍新政権誕生で日中関係は好転?(中国の論調)
>興味深いのは、「日本の右傾化」「軍国主義」「開戦」などのキーワードを使った従来の挑発的なコメントに代わって、今の日中関係を冷静に捉えようとする専門家たちの意見が紙面に現れていたことだ。憲法改正を唱え、自衛隊を「国防軍」に改称しようとする安倍新政権に警戒感を抱きつつも、その論調にはある種の期待感が感じ取れた。
>「安倍晋三氏は2つの顔を持っている。領土と安全保障問題で強靭姿勢を崩さないと見られるが、日本企業の中国での利益を守るため、経済面などで温和な対中政策を取る可能性がある」
>「戦略的互恵関係」とは2006年に安倍氏が胡錦濤主席との首脳会談で打ち出した言葉だ。それが生みの親の元に戻ってきたわけである。
●「竹島の日」式典を見送り 安倍自民、日韓関係改善に現実路線
●安倍氏、中国に特使・高村氏 尖閣に公務員先送り
●ギリギリ及第点
●まとめ
・米国の覇権は衰退してきており、D.ロックフェラー=戦争屋は対日政策の強化という悪あがきをしている。
・米国には、欧州からも中国からも締め出されると市場を失うという焦りがあり、米国主導のTPPを日本に強要してきている。
・中国は習近平(太子党)新政権で対日強行路線に出てくると予想される。今後、尖閣等の領土問題はさらに対立が激化していく可能性が高い。
・中国は経済的には米国抜きの東アジア経済圏構想(RCEP)=元経済圏を志向しており、米国に代わって経済覇権を握ることを戦略的に推進している。
・政権に復帰した自民党の安倍総理は日米同盟強化を外交の基本方針としており、憲法を改正して自衛隊を正規軍として位置づけ直すなど、右傾化の動きを強めると予想される。
・経済的には、金融緩和、TPP推進など、米国の圧力に沿った新自由主義的な政策をより一層推進していくと予想され、インフレ→円安→日本国債暴落の危険性も高まっていく恐れがある。
・対中政策的には、対日強行路線の習近平(太子党)新政権に対して、「戦略的互恵関係」で関係改善を図ろうとする動きを見せているが、米国(D.ロックフェラー=戦争屋)の圧力によっては、緊張圧力が高まっていく恐れがある。
※石原維新の会などの右翼勢力が日中対立に拍車をかける危険性もある。
★安倍総理が、属米派なのかor自主独立派の右翼で米国への面従腹背なのか?は今後継続研究が必要。
・以上の分析を踏まえると、2013年は安倍政権が属米の度合いを強め、米国の言いなりになって暴走し、右傾化を強めていく恐れがあります。
・しかし、没落していく米国に追随し、さらに属米化を推し進めることには可能性はありません。
⇒外交政策は注意深く注視していく必要がある最重要課題。
⇒悪徳エリート、マスコミの暴走に踊らされてはいけない。
⇒冷静に事実情報を収集分析し、発信していく必要性がますます高まっていく。
そのような観点で追求して行きます。当ブログを今年もよろしくお願いします!
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