2010-11-17

【シリーズ:新しい認識だけが、現実を変えていく】(6)〜現実否定の倒錯思考〜

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リーマンショックに端を発した世界経済破綻の流れは、その後ギリシャ経済の破綻を経て、その尻拭いに欧米社会は躍起になっていました。
その後、金融先進国の協調で連鎖破綻をとどめたものの、抜本的な市場安定策とはほど遠いものである事は、金融というバクチ経済が世界経済に多大な影響を与える現実を突破しない限り無理があるというのは、だれもが感じるところです。
世界中に存在する経済学者も、だれも突破口を見出すことができないこの現状、なぜこうなってしまうのか?
そもそも、現在社会にはびこる市場拡大幻想とは何なのか?
市場社会では、先進国をはじめ、発展途上国や後進国、さらに国家単位に限らず企業単位、いや集団の最小端である家庭においても是とされてきた観念ですが、統合階級や学者を始めだれもが一切踏み込むことができず、一向に答えを出すことができなくなった者たちが嵌った大きな罠がここにありそうです。
今回はここに踏み込んで見ましょう。
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観念パラダイムの逆転2 〜現実否定の倒錯思考〜
原始人も現代人も、現実に立脚して生きており、その意味では、現実を受け容れ、肯定して生きている。それは、当然すぎるくらい当然の事であって、現実を否定するなどというのは天に唾するようなもので、現実には有り得ない不可能なことなのである。実際、我々はメシを喰うことを現実に否定することは出来ないし、その為に市場の中で何がしかの金を得ることを現実に否定することも出来ない。
現実の否定は、頭の中でのみ(=観念としてのみ)可能なのであって、決して現実には有り得ない。実際、現実にメシを喰いながら現実を否定するというのは自己欺瞞であり、それでは下半身(存在)と上半身(観念)が断絶し分裂して終う。
それほどに、現実を否定する意識というものは異常な意識なのであり、この異常な現実否定こそ、現実の中に可能性を求めるのではなく、頭の中だけに閉ざされた可能性を求める(当然それは決して実現されることがない)倒錯思考の原点である。
現代社会の至る所で噴出する異常現象は、全てこの現実否定→倒錯思考の観念パラダイムが生み出したものであると云っても過言ではない。

国家自身が、現実否定の倒錯思考に陥ってしまった
近代市場がもたらした環境破壊や800兆の国家赤字などの問題も、またそれに対する答えがどこからも出せないことも、全く同じ問題なのだと思う。
市場は、私権闘争の現実に対峙することなく、私権闘争からの抜け道として登場した。そればかりか、市場拡大は、万人を私権追求の場に引きずり出し、“万人が互いに敵”という無秩序状態を作り出す(自己中化)。要するに、市場には、社会(秩序)をどうするかという発想など初めから全く無いのだ。
従って、社会統合を担うべき国家が、無秩序状態を作り出す市場に加担していけば、自己矛盾に陥るのは当然であり、私権の衰弱と共にその統合機能が失われていくのも、また必然だった。まさに国家自身が、この現実否定→倒錯思考の観念パラダイムに陥ってしまったのだ。

事実、私権時代の全ての既成観念(古代宗教と近代思想)は、この異常な現実否定意識に基づいて作られている。その証拠に、これまで現実を否定する意識は、常に暗黙の内に正(義)として意識され、現実を否定する意識そのものを疑うような意識は、全く登場してこなかった。これは、現実否定→倒錯思考が、私権時代を貫く思考のパラダイムである事を示している。

例えば、誰もが正としてしか意識できない「平和」という観念はどうだろうか?
下のグラフのように、日本人も半数以上が平和であると考えているが、近頃の日中関係や日露関係など、そう思っているだけでは本当は何が問題なのか分からないという様な問題が山積している。
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このパラダイムの内部では、それによって作られた観念群をどう組み変えても、又、どれだけ深く思考を巡らせても、決してパラダイムそのものを否定することは出来ない。だからこそ、これまで現実を否定する意識に対する懐疑(例えばデカルトの「我、思う」ことそれ自体に対する懐疑、例えば、思い続けている自分がおかしいのではないかという懐疑)は、針の先ほどさえ全く生じ得なかったのである。

つまり、「現実否定→倒錯思考」が私権時代を貫く思考のパラダイムであり。そこを脱しない限り市場拡大幻想という固定権念から脱することは出来ず、現実にかかる圧力やその背後の構造も見出すことが出ないのである。
では最後に、「現実」とは何なのか?
現実が見えない限り、その先の方針など立てることができるはずもない。ここをあなたは、答えの出せない統合階級や学者に任せますか?
統合階級や学者は、旧観念で飯を食っており、その意味で今回扱った倒錯思考から脱することはなく、現実に生きる人たちの手でこれからの社会を作っていくしかないのです。
次回は、現実とは何か?を扱います。お楽しみに。
過去のシリーズ投稿はこちら
【シリーズ:新しい認識だけが、現実を変えていく】(1)〜必要意識⇒課題意識には、不全発と可能性発の二通りある!〜
【シリーズ:新しい認識だけが、現実を変えていく】(2)〜不全発の『変革の必要』から、実現発の『認識の必要』への大転換〜
【シリーズ:新しい認識だけが、現実を変えていく】(3)〜社会運動の総括1 現実否定の自己欺瞞〜
【シリーズ:新しい認識だけが、現実を変えていく】(4)〜社会運動の自己欺瞞〜
【シリーズ:新しい認識だけが、現実を変えていく】(5)〜現実捨象の倒錯観念から、観念捨象の現実直視へ〜

List    投稿者 tamimaru | 2010-11-17 | Posted in 10.経済NEWS・その他7 Comments » 

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コメント7件

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