2010-05-20

ギリシャ危機1 〜ギリシャと米国の関係の歴史〜

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ユーロ圏を大きく揺るがすギリシャ危機。今後、ギリシャ以外の国(スペイン、ポルトガル)にも波及し、ユーロ圏が崩壊するのではないかと危惧されています。ギリシャ危機についての分析は、すでに多くのブログ上で行われていますので、今回のシリーズでは、ギリシャ危機の背後にあるものを探っていきたいと思います。
まず、今回のギリシャ危機のこれまでの経過を大きく捉えると、
①主な産業は農業と観光で、総じて過剰消費・過剰負債体質
②財政赤字が常態化
③ユーロ圏に加盟するために、赤字隠し(ゴールドマン・サックスが関与)
④ユーロ圏に加盟したことで金融を安定化 
⑤金利が低下し、海外からの不動産投資があって国内がバブル化
⑥サブプライムローン破綻→リーマン・ショック→ドバイ・ショック
⑦海外資金引き上げ→ギリシャ経済ガタガタ
⑧EU、IMFによる支援
となります。
最も不可解なのは、財政事情の悪いギリシャがなぜユーロ圏に加盟できたかということなのですが、今回の騒動にゴールドマン・サックスが関与していたということで、なんでやねん?と非常に気になります。そこで、ゴールドマン・サックスと言えば米国ですので、ギリシャと米国との関係ってこれまでどうだったのかについて、ちょっとだけ歴史を遡って調べてみます。
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まずは、ギリシャの地理的位置を確認しておきましょう。
長靴形をした青い部分がイタリアで、海を挟んで東側の赤いところがギリシャです。
ちなみに、東側はトルコです。
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ギリシャの歴史

第二次世界大戦ではナチス・ドイツおよびイタリア、ブルガリアの侵攻にあい王室と政府はイギリスに亡命し、ギリシャ本土は1945年までドイツ・イタリア・ブルガリア3国による分割占領状態であった。大戦中には占領軍に対するレジスタンス運動では活動を主導した共産主義左派とイギリスの亡命政府に支援された右派が連携をとっていたが、第二次大戦が終結し亡命政府が帰還した後対立が起きた。1946年にはソ連と隣国ユーゴスラビアに支援された共産勢力が「共産主義者民主主義軍」というゲリラ部隊を組織するが、戦後の財政難に苦しむイギリスに替わってアメリカ合衆国が保守右派政府の全面的な支援に乗り出したことと(マーシャル・プラン)、1948年以降ユーゴスラビアとソ連が対立し、ギリシャの共産勢力はソ連を支持したので、ユーゴスラビアからの援助が失われ、ギリシャ内戦は1949年に共産主義勢力の敗北によって終結した。(ウィキペディアより)

第二次世界大戦では、ギリシャが属する東欧も主戦場でした。それは主にドイツとソ連の戦いの場で、最初はドイツが優勢で、ソ連の奥深くまで侵攻してルーマニアやブルガリアを味方につけ、さらにバルカン半島、ギリシャをも占領下におさめました。しかし、その後はソ連が巻き返しを図り、また各地で共産主義に基づく抵抗運動、パルチザン(非正規の戦闘集団)の奮戦などもあって、ドイツは東欧から撤退していきました。そしてその頃、西からはアメリカ軍がヨーロッパに上陸し、ドイツは降伏しました。
ソ連はこの戦いで多くの東欧諸国を勢力圏に入れ、これらの国の共産化を進めました。が、ギリシャは違いました。共産主義に傾倒した武装集団と政府との内戦が勃発したためです。しかし、ギリシャは共産国家にはなりませんでした。政府が内戦に打ち勝ち、共産ゲリラを屈服させて共産化を防いだのです。
このように東欧の共産化が進むにつれて、米国は、東欧、西欧、中東とドミノ式に共産化が進んでしまうのではないかとの危機感を持ちました。そこで、1947年、当時の米国大統領トルーマンが以下のような内容の演説をしました。これが「トルーマン・ドクトリン」と呼ばれるものです。
トルーマン・ドクトリン

1947年3月12日、上下両院合同会議の場においてトルーマンは特別教書を発表した。いわゆる「トルーマン・ドクトリン」である。トルーマンは、英国が対ギリシャ・トルコ援助打ち切りを通告したことに触れ、ギリシャ及びトルコの現状について説き起こした。
この教書の中でトルーマンは、世界のほぼ全ての国々が否応なく「2つの生活様式」、即ち自由主義と全体主義の選択を迫られているという二元論的な外交理念を提示すると同時に、「武装した少数者や外部からの圧力による征服の試みに抵抗している自由な諸国民を支持することこそ合衆国の政策でなければならないと信じる」と語った。そして、ギリシャやトルコが全体主義者の手に落ちればその影響は両国のみに留まらないと主張し、両国に対する経済的・軍事的援助として、1948年6月末までに4億ドルの支出と民間人・軍人の派遣を認めるよう議会に要請した。(ウィキペディアより)

要するに、共産勢力との内戦に苦しむギリシャ政府を支援し、共産化を食い止めることを公然と行うということです。このようにして米国はソ連が東欧諸国から進めていこうとする共産化を封じ込めました。これが所謂「封じ込め政策」と言われるものです。
そして、ギリシャは、米国を中心とする軍事同盟、NATO(北大西洋条約機構)に加入し、名実ともに米国陣営として冷戦構造に参加することになったというわけです。
以上、見てきたように、ギリシャは戦中、戦後を通して、米国とは政治的に密接な関係にあったわけです。それは米国の軍事戦略上、ギリシャが共産主義国家に対する防波堤になるべき位置にあったからですね。
しっかりした輸出産業がないギリシャでは、政権交代するたびに公務員の数が増え、厚遇になっていくなどして財政を圧迫しています。
次回は、このあたりの構造を探っていきます。

List    投稿者 shushu | 2010-05-20 | Posted in 10.経済NEWS・その他4 Comments » 

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コメント4件

 遍照 | 2011.01.12 21:30

管理者様!日本の為に貼ることを御容赦ください。
御支援など賜りますように願います。
「【日本人必見!】 平成23年1月5日 第一回千葉県街宣動画」 http://amba.to/etnIBU 恐縮ながら日本人ならばこれを見なくては後悔します。カルト集団の実態を知り日本の状況を広めてください!!

 プラダ 財布 | 2013.07.06 22:26

お世話になります。とても良い記事ですね。

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