国際情勢の大変動を見抜く!-6~プーチン抹殺の二つのシナリオ~
現在、プーチン抹殺のシナリオは、若干のやり方の違いはあれど≪シナリオ1≫の方向で確実に遂行されています。
しかも、そのやり方は、マレーシア航空370便墜落事故(マレーシアのクアラルンプールから中華人民共和国の北京市に向かっていたマレーシア航空の定期旅客便であるマレーシア航空370便が2014年3月8日に消息を絶ち、その後、インド洋に墜落したと推定された事故:リンク)で航空機を奪い、それを使ってウクライナの親露派武装勢力の仕業に見せかけてアメリカが撃墜したという、ハリウッド映画でも足元にも及ばない壮大な自作自演のやらせ事件であったということは、さすがの筆者でも想いもよらないシナリオでした。(参考:リンク)
これだけ手間暇を掛けて遂行するほど、アメリカ:ネオコン側の打倒プーチンの意志は強固なものが伺えます。今現在はやや沈静化していますが、彼らは二の手三の手を計画中であることは、創造に硬くありません。
今後ロシア:プーチン失脚を画策する動きに注意してみていく必要があります。筆者も言っていますが、一般に報道される偽情報・洗脳情報に騙されない事実を見ていくための論理整合が重用になってきます。
『世界を操る支配者の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。
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■プーチン抹殺の二つのシナリオ
ウクライナ情勢をここまで混乱させた犯人は誰なのでしょうか。ウクライナ人の間では、ロシアに対する複雑な感情をもつ人もいますが、だからと言ってロシア人をウクライナから追い出すべきとまで考えている人はいなかったのです。
すでに述べたようにウクライナ東部や南部にはロシア系住民が住んでいますが、彼らは35%程度を占めるに過ぎませんし、東部に住むウクライナ人はロシアに親しみを感じている人が多いことも確かです。だからと言って、ロシアへの編入を望む人は本の少数(せいぜい全住民の5%程度)です。このような状況に鑑みれば、ロシア系住民がロシア編入を目指して住民投票をするとか、市庁舎を占拠するなどの武装闘争をするといったことは、住民の支持を得られるはずがなく常識的には有り得ないことなのです。
ところが現在、その有り得ないことが起こっているのです。これには表の報道ではうかがい知れない深い事情があると考えざるを得ません。誰かが何らかの目的でウクライナ人とロシア系住民を合えて反目させるような挑発的行動を取っていると考えるのが自然です。とするなら、その狙いはプーチン抹殺にあると断言せざるを得ないのです。なぜこの期に及んでプーチン抹殺なのか、その理由については第3章で詳しく論じますが、その筋書きは次のようになるでしょう。
≪シナリオ1≫
東南部においてロシア系住民を虐殺する。そうなれば、自国民保護という国際法上の大儀の下に、ロシアが東南部に限定的にしろ軍事介入する。そこで、世界世論を侵略者プーチンへの抗議行動へと誘導して、プーチン大統領を国際社会で孤立化させる。このような国際社会の動向に呼応して、ロシア国内で親欧米NGOの指導の下に半プーチン・デモを先導する。デモ隊の中にテロリストを潜入させ流血の混乱を引き起し、その責任をロシア治安当局に押し付けて最終的にはプーチンを失脚させる――。
プーチンが失脚すれば、欧米はロシアの「民主化」を賞賛し、新政権への支持を表明するでしょうが、プーチン後のロシア政権は内外政権について国際金融資本家たちの動向を無視することはできないでしょう。
≪シナリオ2≫
ロシアが実際に軍事介入しなくても、進路派を軍事支援しているとの口実で、一層経済制裁を強化してロシア経済に大打撃を与える。やがてロシアでも金融危機が発生し、ロシア政府にIMFに対する支援を求めざるを得なくさせる――。
ロシアがIMFの管理下に入れば、ロシア政府はIMF融資の見返りに緊縮財政を要求され、国営企業や公営企業の民営化を推進させなければならなくなります。そうなれば、アメリカ資本がこれらの企業、とりわけ天然資源関係企業を直接買収したり、またロシア系ユダヤ人の旧財閥などの復活が図られることになります。かくして、ロシア経済のグローバル化が実現することになるわけです。
くしくも、2013年12月に10年もの間投獄されていた元石油大手ユーコス社の所有者ミハエル・ホドルコフスキーが恩赦で釈放されました。なぜこの時期に釈放されたのかといいますと、ソチ・オリンピックの開催を間近に控え、逮捕投獄を厳しく非難してきた欧米に配慮した結果であると考えられます。にもかかわらず、欧米首脳はソチ・オリンピック開会式への出席をボイコットしました。その理由は、なんとプーチン大統領が同性愛結婚を認めないからという、言いがかりに等しいものでした。
しかし、2014年7月28日にオランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所は、ロシア政府に対しユーコス社の財産を不当に没収したとして約500億ドルの損害賠償を命じる判決を下しました。これに対し、ロシア政府は判決の撤回を求めてオランダ国内の裁判所に訴えることにしたようです。
この判決を報じた日本経済新聞(2014年7月29日付朝刊)は「ウクライナ問題を含めて、国際社会によるロシアへの圧力が一段と高まっている状況が浮き彫りになった」と伝えていますが、この記事は極めて重要な暗示をしています。本来、司法機関というモノは政治情勢とは独立している必要があることはいうまでもありません。しかし、この記事は政治的に中立であるはずの司法機関までもがロシアに対し圧力を掛けていることを示唆しているのです。
500億ドルという賠償金は、ロシアの連邦予算の10分の1以上にもなるほどの大金です。逆に言えば、ユー越す者は最低でも500億ドルもの資産を保有していたということであり旧ロシア財閥の経済規模の巨大さを示すものといえます。
■アメリカはマレーシア機撃墜の衛星写真を公表せよ
(前略)
衝撃的なマレーシア航空機のミサイル攻撃による撃墜事件(2014年7月17日)についても、真相は藪の中と言えます。事件後ウクライナ保安当局が早々と、親露派武装勢力がロシア製の地対空ミサイルで撃墜したとして、親露派武装勢力とロシア軍との会話の盗聴記録を公表しました。しかし、あまりにも手際が良すぎて疑惑が増すばかりです。
通常、盗聴の有無は隠すものです。これが情報機関の常識です。1983年に起こったサハリン上空での大韓航空機撃墜事件の際、自衛隊はソ連軍パイロットと軍指令本部間の会話を盗聴していましたが、この内容を公表することには最後まで抵抗しました。講評すれば当超能力が明らかになり、ソ連側に暗号の変更等の対策を講じさせる結果になって、その後の盗聴が不可能になるからです。この事件の際は、最終的には日本政府は国際安保理に盗聴記録を提出し、ソ連空軍機による撃墜の生々しい会話が安保理を通じ世界に明らかになったのです。
これほど左様に情報機関は安易に盗聴の事実すら公開することはしないものです。そう考えますと、ウクライナ当局の手際の良い発表はかえって疑惑を呼ぶ結果となったのです。
また、ウクライナ当局は撃墜に使われたとみられるミサイルを積んだ親露派のトラックを録ったとする映像を公開しました。これも疑問です。このような決定的瞬間を誰がいつ録ることができたのか、偶然にしては出来過ぎているのではないでしょうか。ウクライナ側はどうしても親露派の仕業に持っていきたいのでしょうが、もし本当に親露派の手によるものであるならば、何も急いで世界の関心の矛先を親露派に向けさせなくても、いずれ親露派からボロが出るのを待てばいいのです。
アメリカはウクライナへの軍事攻撃がロシア領内から行われていると言う7月21日から26日の衛星写真を公表しました。このような衛星写真よりも今アメリカが公表すべきなのは、マレーシア機撃墜の衛星写真です。これが公表されれば、どこから撃墜に使われたミサイルが発射されたかが明らかになるはずです。進路はが撃墜したことを明らかにするには、この衛星写真を公開することが決定的証拠になると思います。しかし、なぜかこの写真は公表されません。
欧州安全保障協力気候(OSCE)の調査官が墜落現場を訪れたが、進路派の武装勢力に阻止されたというニュースも流れました。これも奇妙なニュースです。もし、親露派の抵抗が予想されたのなら、もっとほかにやり方があったはずです。これは、親露派を犯人に仕立てるための偽装工作の一環とみることも可能です。
ウクライナやアメリカはマレーシア機撃墜事件を口実にして、プーチン大統領を追い詰めようとしているとしか思えません。欧米メディアのトーンは犯人は親露派武装勢力で、彼らに撃墜用の地対空ミサイルを与えたのはプーチン大統領というラインでほぼ一致しています。通常この種の事件の真相究明にはそれなりの時間がかかることや、情報当局がインテリジェンスの結果を公表することは稀であることなどを勘案しますと、早くから犯人を断定していることにかえって疑問を感じます。
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