2018-10-12

迫りくる大暴落と戦争刺激経済-2~NYダウの暴落で「適温相場」の嘘がバレた~

北朝鮮 トランプ

2018年1月26日、アメリカの株価は史上最高値を更新した(2万6616ドル)。そして2月5日に、1075ドル(前日比)の暴落が起きた日から大きく流れが変わり、このあとは下落一方との見方だった。しかし、状況がかわった。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が初めて国境を超えて韓国入り、その後、アメリカが北朝鮮と大きく歩み寄りを見せ首脳会談が実現し、その後も朝鮮半島非核化に向けて動いている。

(余談ですが、嘗てのるいネットの投稿:北朝鮮の核武装をどう見るか?~民族自決の闘いを貫徹。頭がおかしいのは卑屈な属国根性が染みついて何も見えなくなっている日本の政府・マスコミ。実は米軍は張子の虎。戦えば北朝鮮に負ける』のように、アメリカは鼻から北朝鮮と戦う意志はなかったことが証明されたかたちだ。)

その後株価も徐々に上げ始め、10月には最高値を更新し、アメリカ経済の堅調さを証明しているように見える。ただし、これは風前の灯、ロウソクが消える前にちょっとだけ火勢が増すように、暴落前の悪あがきのようにも思える。副島氏によれば、2021年の大統領選挙勝利後の暴落を見込んでいる。その頃まで、株価は上げ下げはあるものの、概ね上昇傾向に操作されそうである。

 

『迫りくる大暴落と戦争“刺激”経済』(副島隆彦 著)からの紹介です。

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■「米RRBが25bpの利上げ決定、年内3回の利上げを見込む」

米連邦準備理事会(FRB)は、3月21日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、25ベーシスポイント(bp)引き上げて1.50~1.75%とすることを決定した。

 

今年についてはあと2回、合計3回の利上げを予測していると表明。「減税と政府支出が景気浮揚要因となりインフレが押し上げられ、将来的な金融引き締めにつながる」との自信をFRBが深めていることが示唆された。今年の利上げ回数が3回か4回になるかを巡り、メンバーの意見は分かれたもようだ。利上げの回数見通しは、来年(2019年)が3回、2020年は2回とした。2月初めに就任したパウエル議長の下での初めてのFOMCとなった今回の会合で、FRBは、「長らく目標の2%を下回ってきたインフレ率は、ようやく上向くとの見通しを示すと共に、経済は最近になり勢いを増した」との見方を表明。声明は「経済見通しはここ数ヶ月で強まった」とした。

 

パウエル議長は会合のあとの会見で、「FRBは緩やかに利上げを実施していく軌道に留まる。だが物価動向には警戒する必要がある。直ちにインフレが加速する兆候は見られていない。だからわれわれは中道をとろうとしている」と述べた。(ロイター、2013年3月21日)

 

FRBというよりもアメリカは、金利をなんとかどんどん上げようとしている。

FRBは、それに追随した日本の日銀も同様だが、「2%のインフレ目標」で緩和政策(イージング・マネー)を続けてきた。今インフレ率は1.7%で目標の2%に届いていない。ちなみに日本は、1%にも達していない。それでも約束違反のまま、アメリカに追随しようとしている。なんとか利上げしたくてうずうずしている。突如激しいインフレが襲ってくるのが怖いからだ。今のうちに急いで金利を4%ぐらいまで上げて金融を引き締めて“貯金”をしたい。この“貯金“を、3年後(2021年)には、襲ってくるであろう次の金融危機への備えにしたい。P26~27のグラフに私が示したとおりだ。

 

パウエル新議長は、今から14年前(2004年)の、グリーンスパン議長(当時)がやったことを忠実に真似しようとしている。「急いで金利をどんどん上げよう。バブルが必ずはじける数年後に私たちは備えなければいけない」となる。グリーンスパンはあの当時、イラク戦争の開始(バクダット襲撃。2013年3月20日)を受け急いで、金利を上げ始めた。そして5.25%まで上げて“貯金“した。パウエルも、この「戦争(を利用した)経済」をやる気なのである。

 

トランプと言う人は、「両手を広げながら、そうか。それしか手がないのか。それなら、それをやるしかないな。やれ」と言う人だ。

 

部下の閣僚たちから、「大統領。実は、アメリカの現状(実情)は、このようになっておりまして、どうしようもない(手のつけようがない)状態です。下の長年、国家財政を組み立ててきた連中(OMB。行政管理予算局)が、内密にさらにQEをやって、政府の財政予算の不足分をFRBからの“創造マネー”で補うしかありません」と言われたら、トランプは即座に、「そうか。お前たちがあれこれ考えて、手を尽くしても、他にやりようがない、と言うのだな。それでゆくしかないだろう。政府資金の調達分だけは、どうしてもQE(ジャブジャブ・マネー)でやるしかないんだな。じゃ、それをやれ」と言う人だ。

 

トランプは、百戦錬磨の商売人(ビジネスマン)上がりだから、企業経営の現場の苦しみを知っている。国家経営も全く同じだ。だから「それをやるしかないのなら。やれ」と即座に決断(即断即決)する人だ。それ以上、あれこれ考えて悩んで苦しむような人間ではない。

 

だから、アメリカの財政赤字(連邦政府だけで去年20兆ドルを突破した。2000兆円だ)のものすごさと、それの実は10倍はある“隠れ借金”の真実を、大統領に就任した直後に、下の事務官僚から「大統領。実は、真実の数字はこのような(無残で悲惨な)金額です」と教えられたときに、「ヒェー」と驚いて卒倒するような玉ではない。そのあとどうしらたいいんだ、と考え込んでうつ病になって苦しむような人間ではない。

 

「そうか。そういうことか」と豪胆に構える。しかしどうせ彼にも手はない。だから、「それじゃ、これまで通りで、やれ。お前たちが、そうやるしか他に、どうしようもないというのなら、それをやるしかない」と言い放つ。トランプは、次の大統領選挙(2020年11月)を乗り切るために全力を投入する。そしてそれに勝利した翌年(2021年)に、経済の手綱を緩める。この時、株は暴落して不景気が襲い掛かる。それを何とかする。そしてさらに3年後に次の大統領選挙の年(2024年)が来る。この今から6年後の2024年、すなわちトランプの任期2期8年目の年に、すべてを放り投げる。「ああ、やっぱり、ダメだったな。俺なりに努力したのだが」と諦める。この時、ドルは大暴落して、おそらく1ドル40円ぐらいになるだろう。ドル覇権の崩壊である。アメリカ資本主義の終わりである。そして中国がそれに取って替わる。

 

 

トランプは「俺は一所懸命にやった。それでもどうにもならなかった」とあとは野となれ山となれとなる。それでもトランプは言う。「但し、オレは、第三次世界大戦(WWⅢ=大きな戦争)の引き金は引かなかったからな。そこが、あの大悪人ヒラリー(たち)とは違うんだ」と自分に向かってしみじみと言うだろう。2024年11月に誰が次の大統領になるのか、まだ分からない。義理の息子の、まだ37歳のジャレット・クシュナー(大統領上級顧問)では、若すぎて経験不足だと否定されている。だが6年後の人事はまだわからない。

 

■NYダウの暴落で「適温相場」の嘘がバレた

1年半続いたトランプ。“当選”相場で、アメリカの株価は史上最高値を更新した。そしてそれが2万6616ドル(2018年1月26日)で、ピーク(頂点)に達した。そして2月5日に、1075ドル(前日比)の暴落が起きた日から大きく流れが変わった。このあとは下落一方である。現在は2万4000ドル台で動いている。アメリカ経済は好調で、景気は過熱している、と言うことになっている。株価がいくらつりあがってもそれで物価が上がってインフレ率は低い水準にとどまっている。だから加熱もせず、低迷もしない「適温経済」だとこの2年間言われていた。

アメリカの失業率は4.1%とほぼ「完全雇用」に近い水準だ。但しこの政府発表に統計数字は怪しい。おかしい。アメリカの本当の失業率は20%だというと実感と実態に基づく数値もある。

 

実際にアメリカに行って各地を見て回ると、ものすごい数の失業者がいる。道路は穴ぼこだらけだ。おんぼろのキャンピング・カーで、あちこちをフラフラ移動して、日雇いの食堂の皿洗いをしながら、生きている老夫婦のような人がたくさんいる。失業者達のテント村が、町(市)のはずれに必ずあって多くの人たちがここに集まっている。白人たちもたくさんいる。アメリカ国民も日本人と同じで、いつ自分が失業者になるかでおびえている。大企業のサラリーマンでさえ「打ちだって東芝やシャープみたいになるかもしれない」と身構えている。

 

本当にそんな景気がいいのなら、本来なら貯金がじわじわと上がってそれで物価が上がってインフレを加速させなければおかしい。ところが賃金がほとんど上がっていない。いや、日本と同じでアメリカも賃金カットと非正規雇用が増えている。吊り上げられている株価以外はデフレ不況のままなのだ。

 

それでも今のアメリカは微妙なバランスで適温が保たれて、株価が史上最高値を更新し続けている、と。イギリスの童話に出てくる「ちょうどいい温度」のスープを飲んだ主人公の少女の名前から「ゴルディロックス相場」と言われてきた。それが、2月5日にNYダウが、1075ドル暴落したことで、この「適温経済」が大嘘だと言うことがバレてしまった。ロイターのジェイミー・マクジーバーと言うコラムニストが、ゴルディロックス相場の変調について、実に的確な文を書いている。ロイターの1月の記事だ。この後の2月から始まった暴落相場を予見していたことが分かる。

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