2017-08-18

世界を動かす11の原理-8~アメリカのイラン、シリア攻撃に関する「大ウソ」~

 

 

イラン攻撃オバマ悩みシリア攻撃

「国家のウソ」とそこから見える「本音」と「建前」の続きです。

今回は、イラン戦争とシリア攻撃についてです。

 

イラン戦争は以前も扱ったことや、「本音」についてもかなり世間一般に周知されていることもあり、端的にまとめました。

シリア攻撃については、中身がやや複雑で「本音」の背景が、非常に興味深い内容です。アメリカによるマッチポンプの様相があったり、また、結果的には自分で自分の首を絞めることになったりと、それまで通用していた「本音」の部分が、ネットによる暴露→拡散の影響もあって、通用しなくなっています。

化学兵器に関しては、以前当ブログでも紹介したクライシス・アクター(アクトレス)等を使った捏造等も絡んで、これまでの「建前」では、世論の共認形成がし難くなっていることが伺えます。

 

以下、「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~(北野幸伯著)

からの紹介です。

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アメリカがイランを叩く理由は「核兵器開発」であるという「大ウソ」

(ここでは本文から抽出した「本音」と「建前」をまとめました)

 

アメリカのイラン攻撃の「建前」の理由は、イランが「核兵器を開発しているから

 

基本的な事実は以下

①イランは核兵器を開発する意向を一度も示したことがない。

②アメリカも数年前まで、イランには「核兵器を開発する意図がない」ことを認めていた

③核兵器開発が「戦争」の理由であるならば、真っ先に攻撃されるべきはイランではない。

 

①について

・「核開発」は「原発用」だとしています。

 

②について

・「国家情報評価」(NIE)は、「イランは2003年秋に核兵器開発計画を停止させた」と分析していた。

・「国際原子力機関」(IAEA)のトップ、日本人・天野之弥氏は、2009年12月就任直前に「イランは核兵器開発を目指していない」と断言している。

 

③について

・イラン攻撃の可能性を何百回も公言しているアメリカは「北朝鮮は攻撃しない」と断言している。

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アメリカのイラン攻撃の「本音」の理由は、

1 ドル体制防衛

・前回触れました

 

2 石油、ガス

FRBのグリーンスパン元議長が「米軍によるイラク開戦の動機は石油利権だったと曝露」したように、イラン攻撃も同様。

イランの原油埋蔵量は、1570億バレルで世界4位。天然ガス埋蔵量は33.6兆立方メートルで世界1位。世界有数の資源大国。

 

3 イスラエル防衛

イランが、アメリカと非常に近いイスラエルを敵視していることも理由の一つと考えられます。

 

4 中国封じ込め

米中「派遣」争奪戦の観点から見ると、アメリカにとって、イランは非常に重要です。

中東産油国の民衆は、イスラム教徒で概して反米。

しかし、トップは、おおむねアメリカと良好な関係を築いています。

とはいえ、中東産油国で反米の国もあります。その代表がイラクとイランでした。

しかし、アメリカはイラクを攻撃し、傀儡政権をつくった。

残るはイランです。

これは非常に重要なのですが、アメリカがイランに親米反中傀儡政権をつくれれば、ほぼ「中東支配」は完了したとえます。するとどうなるか?米中関係がいざ悪化してきたとき、中東産油国を脅して中国に原油を売らせないようにすることができる。中国の方にもそういう危機感があります。

 

米英仏がシリア攻撃を回避したのは、その根拠が「大ウソ」だったから

2013年、アメリカのオバマ大統領は、「シリアと戦争する!」と宣言した。ところがしばらくすると、今度は「やっぱ戦争やめた」といい、世界を驚かせました。

 

この理由は、以下二つの「絶対的定説」:「建前」があります。

①アメリカがシリア攻撃を検討したのは、アサド大統領の軍が、「化学兵器を使ったから」である。

アサド大統領は、「独裁者で悪」である。反アサド派は、「民主主義者で善」である。

 

どうでしょう?

ほとんど全ての人が、「そのとおりじゃないか!」と思っていることでしょう。

しかし、この二つの「ウソ」が暴露された。

 

中東シリアは、1971年から現在に至るまで、40年以上「アサド家」が支配しています。

1971年から2000年までは、ハフィズ・アサドが大統領だった。

2000年にハフィズが亡くなり、息子のバシャル・アサドが大統領になりました。

ですから、アメリカが「アサドは独裁者だ!」と非難するとき、それを否定する人はいません。この点で、アメリカは正しいのです。

 

中東・北アフリカでは、2010年末から「民主化」「反政府」運動(いわゆる「アラブの春」)が起こってきます。

2010年1月ごろから、シリアにもその影響がおよんできました。

はじめは小さな「反アサド・デモ」でしたが、徐々に規模が大きくなっていきます。3月には、既に数千人規模の大規模でもが全国で起こるようになった。

4月、デモは暴力を伴うようになってきた。各地で数万人規模のデモ参加者が、治安部隊と争うようようなります。

 

さて、内戦は激しさを増し、アメリカは2013年8月、「シリアを攻撃する!」と発表した。

理由は、既述のように、「アサドが化学兵器を使った!」というのです。

 

米英仏は、「アサドが化学兵器を使った!」ことを理由に、「戦争」を開始しようとしたのです。

 

この三ヶ月前に、国連はどんな報告をだしていたか?

 

国連が調査した結果、化学兵器を使っていたのは、「アサド派」ではなく、「反アサド派だ!」というのです。

 

もちろん、私も、「アサド派が化学兵器を使った可能性」を排除しません。

つまり、可能性は二つです。

 

①「アサド派」も「反アサド派」も化学兵器を使った。

②化学兵器を使ったのは、「反アサド派」だけである。

 

②について、「国連は『反体制派が化学兵器を使った』と報告しているが、『確定』ではないのでは?」という意見もあるでしょう。

そのとおりです。

しかし、だからといって、米英仏がこの調査結果を「完全無視」し、「アサド派だけ使った!」と強弁するのも、かなり無理があります。

化学兵器を「アサド派」も「反アサド派」も使ったのなら、米英仏は、「アサド派を攻撃」し、「反アサド派も攻撃」しなければならない。

そういうことでしょう?

 

しかし、米英仏は、「国連の調査で『化学兵器を使った』とされる、『反体制派』」を支援している。

これは、どう見てもおかしいですね?

これで、シリアに関する絶対的定説の一つが崩れました。

 

■「シリア反体制派は民主主義者で善である」という欧米の主張の「大ウソ」

 

シリア問題については、オバマが「戦争宣言」をする二ヶ月前の2013年6月、G8で協議されています。

このとき、いわゆるG7は、「好戦的なムード」だった。

ただ一人プーチン・ロシアだけが「反戦」だったのです。

 

では、プーチンは何を根拠に、アサドを守ったのか?

 

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16日、キャメロン英首相との会談後の会見でプーチン大統領は、シリア反体制派が政権側軍人の遺体を食べる映像を公表したことに言及し、「殺害した敵の内臓を食べる人たちを支援するのか」と欧米を批判。

G8議長のキャメロン首相は、シリア問題で譲歩しないロシアを外し「G7」での声明を出すことも検討したと伝えられた。(毎日新聞配信)

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プーチンが、「人肉を食べる人たちを支援するのは嫌だ!と反対したら、「じゃあ、ロシアをG8からはずそう!となった。

さらに、プーチンは,化学兵器を使ったのは、『アサド派』ではなく、『反アサド派』だ!と国連と同じ主張をします。

 

■シリアの「反体制派」内に、「イスラム国」というアルカイダ系がいる「真実」

さて、もう一つ、超重要な事実があります。

「反アサド派」「反体制派」といっても、いろいろな勢力がある。

彼らが、「内輪もめをした」ことを、AFP(フランス通信社)と時事通信が報じています。

 

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シリア北部の町占領、反体制派とアルカイダ系勢力対立の背景

とることの国境沿いにあるシリア北部アレッポ県の町、アザズで18日に戦闘になったシリア反体制派「自由シリア軍」と国際テロ組織アルカイダ系武力勢力「イラク・レバントのイスラム国(ISIS)」が停戦に合意したと、イギリスを拠点とするNGO「シリア人権監視団」が20日、明らかにした。

(AFP=時事)

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同じ反体制派内の「自由シリア軍」と「イラク・レバントのイスラム国(ISIS)」が仲間割れして、戦闘になったと。

 

そして、この「イラク・レバントのイスラム国」は、「アルカイダ系武力勢力」である、とはっきり書いてあります。

 

いったい彼らは、なぜアルカイダと共闘していたのか?

先の記事は、こう解説しています。

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シリア反体制各派は、安定的な兵器の供給を受けて支配地域を拡大し「政府軍に匹敵する」ともされる残忍さを示すISISに怒りを募らせて折り、個々数ヶ月、反体制派がその大半を支配下において入るシリア北部を中心に反体制各派とISISの間で緊張が高まっていた。(同前)

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シリア国民連合の内部にアルカイダがいるにもかかわらず、アメリカ、イギリス、フランスは、支持を表明した。

理屈は、「われわれが支援するのは、『自由シリア軍』でアルカイダじゃない」です。

 

これに関して、二つの問題があります。

一つが、米英仏が「自由シリア軍」に武器を与えた。しかし「自由シリア軍」と「アルカイダ系」は、同じ「シリア国民連合」に属している。

つまり、米英仏は、「間接的にアルカイダに武器を供与する」ことになる。

 

もう一つは、もしシリア国民連合が、アサド政権を打倒したとしましょう。

そうなれば、シリア国民連合は、新政府を組織する。

そのとき、大活躍したアルカイダ系勢力を、新政府から排除することができるだろうか?常識的に考えれば、難しいでしょう。

そうなれば、アメリカは、9.11を起こした犯人たちが新シリア政府をつくるのを、全面的に支援した」結果になります。

 

このことをアメリカ国民が広く知れば、どうなるか?

結局、オバマは、「シリア戦争」を「ドタキャン」しました。

 

ちなみに、「反アサド派」でアルカイダ系の「イラク・レバントのイスラム国(ISIS)」は、現在「イスラム国」と名を変えています。

そして、2014年10月現在、「イスラム国」は、イラク現政権(アメリカの傀儡)と激しく対立している。

アメリカは、

自分で樹立したイラク政権を守るために、自ら支援して育てた「イスラム国」に空爆を繰り返すという「マヌケな」結果になっている。

 

 

 

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