国際情勢の大変動を見抜く!-27~トランプ大統領選はグローバリズムに対する宣戦布告~
今回から新たな書籍から今後の国際情勢を見抜くために有用な記事を紹介していきます。
紹介する書籍は『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)で、教科書などに乗っている「通説」に対し本当の歴史(「正史」)は何なのか!?を紹介していくという面白い内容になっています。
この本では1917年のロシア革命からスタートしていますが、当ブログでは2016年のトランプ大統領が誕生した選挙から現在までをまず扱います。
というのも、最近日中韓及び北朝鮮など東アジアを巡る国家間に大きな動きが生じているからです。この動きの背景には必ずグローバリズム派と民族自決派、つまり金貸しと反金貸し勢力の戦いがあります。今後の国際情勢を占うためにも、事実を把握しておく必要があります。
また、民族自決派のリーダーたるロシア、そして就任以来金貸しと対決してきたトランプ大統領、さらにこれまで金貸しの背後から彼らを操っていた金主の動きも想定しながら、国際情勢を見ていきたいと思います。
まずは、そのトランプ大統領誕生の秘話というか正史から扱っていきます。
ここではトランプ大統領誕生は国民に寄り添い支持を得たこととネットが既存メディアを上回ったためとしています。当ブログでは、それに加えてプーチンの支援があったと見ています。その意味ではロシアゲート事件は正史だと言えるかもしれません。
また、トランプ大統領の貿易に関する各国との協議やメキシコ国境に設けた壁等の意味等も興味深いものがあります。
『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。
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■■自国ファーストの逆襲
■2016年 米大統領選でトランプ勝利
◇通説 :トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」は大衆迎合主義である。
◇歴史の真相:「アメリカ・ファースト」とは政治を陰の支配者の手からピープルに取り戻すことだ。
●米大統領選挙最大の敗北者はメディア
2016年11月、トランプ大統領の勝利について、メディアが戸惑いや驚愕を隠せなかったのは、対抗馬の民主党ヒラリー・クリントンが負けるということなど想像もしていなかったからです。アメリカの主要メディアはほぼ一貫してヒラリーの勝利を確信していました。
こうしたメディアの敗因は、どうしてもヒラリーを勝たせる必要があった彼らが、トランプ支持という国民のうねりをあえて見ようとしなかったところにあります。メディアはトランプを徹底的に非難・中傷することでヒラリーの勝利は確定すると楽観していました。
メディアの世論操作を阻止したのがネット情報だったことは言うまでもありません。ネットがトランプの発言の真、ヒラリーのまつわる疑惑の詳細などを報じました。メディアの情報独占などすでに潰れていたことに、当のメディアは気付いていませんでした。
決定的だったのは、アメリカの一般人たち(ピープル)が、メディアが上から目線で説得する人種平等、人権尊重、女性の権利、マイノリティ保護などのポリティカル・コレクトネス(少数派の用語を口実とする多数派に対する言論弾圧)にうんざりしていたことです。ピープルの本音を代弁してくれたのがトランプであり、グローバリズムの幻想をばらまきながら、彼らを一層困難な生活環境に追い詰めてきたアメリカのエスタブリッシュメントが支持したのがヒラリーでした。
●グローバリズムに対する宣戦布告
大統領選挙に勝利したトランプはメディアの執拗な妨害工作を乗り越えて、2017年1月20日に大統領に就任します。就任式の演説でトランプ大統領は「今この瞬間からアメリカ・ファーストが始まる」と宣言して、次のように語りました。
「世界の国々と友好的で善意に基づく関係を築きますが、全ての国には自国の利益を最優先する権利があります。私たちは自分たちのやり方を他の誰かに押し付けたりはしませんが、輝く模範として見習われる存在になります。」
アメリカだけが良ければいいなどとは、トランプは決して言っていません。ところがメディアは、「トランプのアメリカ・ファーストは、世界に対する米国の関与を低下させ、醜く不健全なナショナリズムや大衆迎合主義をはびこらせ、世界を不安定にする元凶である」と言って憚りません。
トランプの主張のどこがおかしいというのでしょうか。「自国民の幸せを第一に考え、国益を最優先し、自国の安全は自国で守る。その上で各国家同士、自立した国家として友好関係を結べばいい」という主張は、世界最強国家アメリカの大統領の世界観としてはしごくまっとうなものだと言えるでしょう。
私はトランプの言葉の中に、これまでの大統領とは明確に違う道を歩もうとする不退転の意思を感じました。トランプは、歴代の大統領が「グローバリズム」を声高に叫ぶ“影のキングメーカー=国際金融資本家”たちのコントロール下にあったことに対して正面から宣戦布告をしているのです。
●内政干渉の正当化理論
トランプは、歴代のアメリカ大統領が国際金融資本家たちの利益を優先し、アメリカ国民の利益を第一に考えてこなかったことを批判しているのです。過去100年間アメリカが歩んできた歴史は私たちが教科書で習ったような自由と民主主義を体現した理想の国ではありません。国是として、建国の精神や「自由と民主主義」の旗は掲げてはいますが、第二次世界大戦時のルーズベルト大統領の項で見てきたように、アメリカは決して「自由と民主主義」のために戦ってきたのではなく、国際金融勢力の意向に沿って全体主義国家ソ連と同盟し、ヒトラーのドイツや日本を叩いていたのです。「自由と民主主義」はアメリカの国際介入政策を正当化する口実に過ぎなかったわけです。アメリカのこの大義名分をメディアが宣伝したため、私たちの目にはアメリカがあたかも自由と民主主義の祖国であるかのように映ったに過ぎなかったのです。
既に見てきたように、紛争を自作自演するのも常套手段でした。東西冷戦の終了後も、自らが裏で演出した戦争・紛争を利用し、「グローバリズムは正義である」との大義名分のもとに、“世界中から利益を収奪するためのグローバル市場経済システム”を作り上げてきたのがアメリカです。
(後略)
●グローバル化への三段階レジーム・チェンジ方式
ブレジンスキーは各国への介入にあたっての、「民主化→民営化→グローバル市場化」という三段階のレジーム・チェンジ方式を理論化しています。まず各国に民主化つまり複数政党による選挙の実施を求めます。経済の民営化を推進する候補者を、強硬手段を用いてでも当選させることが可能になるからです。経済が民営化されればアメリカ企業をはじめとする外資による現地企業の買収が容易になります。その結果、当該国のグローバル化が達成されることになります。グローバル化とは経済に対する国民主権の喪失なのです。だからこそ、ブレジンスキーの言うように、外資(多国籍企業)に有利なグローバル化は世界に不平等をもたらすことになるのです。
グローバル市場化は世界に不公平をもたらしたばかりではなく、アメリカ国内にも貧富の格差の拡大をもたらしました。この点を正面から争点に取り上げて有権者の心情に訴えて、大統領に当選したのがトランプでした。
そして、世界のグローバル市場化が生み出したアメリカを含む人類全体の不公平さから目を逸らすために考案されたのが、ポリティカル・コレクトネスです。「自由と民主主義」「民営化」「人権尊重」「男女平等」「少数派の権利擁護」といった一見誰も反対できない用語を巡って言い争っている間に、世界の格差は一層拡大したのです。
世界が格差拡大をもたらしたグローバリズムの欺瞞に気付き始めたからこそ、トランプ大統領の誕生や、イギリスのEU脱退の国民投票に繋がったということも可能です。
●壁建設は反グローバリズムの象徴
トランプは「グローバリズムは国家の敵である」として、「真にアメリカ国民のために国づくりをしていく」と宣言しました。同盟国を訪れては「もっと軍事費を負担せよ」と圧力をかけているのは、「アメリカの財産を使って世界の警察などやるのは不公平だ。アメリカに安全保障の協力を求めるならそれ相応の負担をせよ」ということです。経済的な関係についても「地域的あるいは国際的な枠組みによるのではなく、それぞれの国同士で交渉してやっていけば双方にとってもっと良い結果が得られる」という姿勢で見直しを強く迫っているのです。
「メキシコとの国境に壁をつくる」という言葉が物議をかもしていますが、主権国家である限り、国境を維持管理することは当然です。主権国家の意思としての国境管理の重要性を、分かりやすく、壁をつくる。と言っているにすぎません。グローバリズムの推進にとって、国境の壁は禁忌です。なぜなら、国境を廃止することがグローバリズムの目的だからです。壁反対を唱えているメディアも民主党も、グローバリズムを拒否してはばからないトランプ大統領を、故意に中傷しているのです。
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