2010-04-10

「私権の失速・私権体制の崩壊」シリーズ(1)…貧困の消滅から私権の衰弱へ

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4月3日の記事、〜『商品市場の背後に性市場あり』 これまでのまとめ〜 からの続きです。
これから9回にわたり、今まさに崩壊を迎えようとしている市場が、なぜこのような状況に至ったのか解明してゆきます。
今回はその1回目、市場の拡大がストップし、縮小→崩壊過程に入り始めた時期を扱います。
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近代以降、商品市場は拡大・発展を続けてきましたが、いつの頃からか、その拡大がストップし縮小過程に入りました。
日本社会は、1945年の敗戦→アメリカによる占領期を経て、高度経済成長期を迎えました。
まさに全てが右肩上がり、人々は貧しかったけれど、皆が明日の希望を胸に抱き、イキイキと生産に励み、より豊かな家庭を目指して家族みんなで力を合わせて暮らしていました。(昨年ヒットした映画、「オールデイズ  3丁目の夕日」の時代ですね)
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しかし、そのような右肩上がりの時期は1970年を過ぎた頃に終末を迎えました。
以下、実現論第三部から引用しつつ理解を深めてゆきたいと思います。

ハ.貧困の消滅→私権の衰弱→性の衰弱
 性権力者に主導された民主国家は、(豊かさ要求の産物たる)市場拡大と(要求主義・権利主義の産物たる)福祉制度によって、’70年頃、遂に貧困を消滅させることに成功した。但しそれは、貧困を消滅させるに至った類間の圧力(社会的な力関係)という観点から見た見解であって、自然・外敵圧力と対峙して貧困を克服した直接的な力(物質的な力)という観点から言えば、その主役は科学技術であり、要するに人類は極限時代から営々と蓄積してきた事実の認識→科学技術の進化によって、遂に貧困を克服したのだとも言える。

※1970年頃、日本社会から貧困を消滅させた要因として、市場拡大福祉制度があげられています。ここで、どんな状況だったかを確認してみます。
●市場拡大⇒リンク リンク
●福祉制度⇒リンク リンク
・市場拡大…三種の神器とか新三種の神器と呼ばれた消費財などが、ほとんど全ての家庭にいき渡るという、まさに物的な豊かさを実感できる状況が出現しました。
・福祉制度…1973年田中角栄首相の時が「福祉元年」と言われました。老人医療の無料化、公的年金の物価スライド制導入による給付額の大幅増加がその核で、全国民がその恩恵に浴し、貧困を消滅させてゆきました。
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※なお、冒頭に「性権力者」という言葉がありますが、右の記事などを参考にしてください。⇒リンク
近代ヨーロッパで形成された民主国家はその形成時点から資本家たちに主導され、以降、市場と一体のものとして進展してきました。しかし、資本家たちの背後に、市場の真の支配者として性権力を武器にした性本階級(性権力者たち)が居続けてきました。
引き続き、実現論から引用します。

 だが、貧困を消滅させた結果、私権の強制圧力が衰弱し、これまで私権の強制圧力を最大の活力源にしてきた人々の活力も急速に衰弱してきた。それに伴って、国家も企業も家族も個人も、自らを私権の強制圧力によって統合することが難しくなり、遂に3千年に亙って社会を統合してきた私権統合が機能不全に陥って終った。その結果、全ての存在が目標を失い、フラフラと迷走し始めた。更に、性権力の最大の抑圧物であった私権(占有権)の強制圧力≒男原理を去勢したことによって’80年頃には性権力の全面支配が完了し、社会は女原理一色に塗り潰されていった。女支配は子供や男たちを去勢して、(私権の衰弱によって衰弱した)活力を更にとことん衰弱させてゆく。その結果、ますます統合不全が深刻化し、社会の混迷と衰弱は年々ひどくなってきた。とりわけ’90年以降、事態は加速度的に悪化しつつある。

※1970年貧困の消滅以降、日本社会は以下のような経緯をたどってきました。
国家私権の衰弱(1970年)…欧米先進国に追いついたことによって、それまで国民一丸となって国益を追求していた意識は一気に衰弱していった。
企業私権の衰弱(1995年)…企業の利益拡大を第一とする意識はバブル崩壊、金融危機などを経て急速に衰弱していった。
家族私権の衰弱(2009年)…金融市場の崩壊などの危機状況の中で、最後のよりどころだった家庭生活の充足や家族のきずなといった意識も衰弱しつつある。、
このように、「私権の衰弱」は不可逆な流れとして進行してきました。リンク
※また、1980年頃には、性権力の全面支配から、社会は女原理一色に塗りつぶされてゆきました。
ここで、男原理・女原理について押さえておきます。

⇒「武力に基づく占有力そのものは闘って得られる男原理の力であり、それを占有権に換骨奪胎したのが性権力を武器とする女原理であり、男は力、女は権、この男と女のせめぎ合いが、私権社会の在り様を、根底的に規定している」(実現論2-3-05)

⇒「占有権力は闘い取って得られる男原理の権力であり、性権力は解脱の弱点に付け入って得られる女原理の権力であるが、両者の力関係は、生存圧力→私権圧力の強さによって大きく入れ替わる」(実現論2-5-02)

国家私権の衰弱を経て企業私権の衰弱に向かう過程で、性権力の抑圧物であった私権を力や闘争で勝ちとる男原理は衰弱する一方であり、取引や駆け引きで相手を染め上げてゆくという女原理が優位になり、男たちの闘争活力をとことん低下させてゆきました。(「アッシー」や「貢ぐ君」たちが登場した時期ですね)
まさに企業私権の衰弱へと女原理が押し進めてゆきました。
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……次回、シリーズ(2)へ続く……

List    投稿者 wyama | 2010-04-10 | Posted in 09.反金融支配の潮流5 Comments » 

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コメント5件

 日本を守るのに右も左もない | 2010.11.30 21:43

11/28なんでや劇場(1) 地球の気候変動と人種移動

画像はこちらからお借りしました。 11/28なんでや劇場のテーマは「『実現論第二部:私権時代』の改稿」でした。 これから、そのレポートを5回に亙って掲載…

 みゆ | 2010.12.03 10:44

最近『国際通貨戦争』ってよく新聞で目にするけど、どうゆうことなのかはっきりよく分からないので、このシリーズで解き明かされるのがとても楽しみです♪♪
あと、この『通貨クライシス・・・世界が落ちた罠 3−3』の文中の
>「ドル」の通貨安は寄生政策
というのはどういうことなのかな〜って?でした☆

 yhonda | 2010.12.03 20:17

みゆさんコメントありがとうございます。
>>「ドル」の通貨安は寄生政策
>というのはどういうことなのかな〜って?でした☆
確かに、どういうことなんでしょうか。。。
このシリーズで、みゆさんの疑問を含めて解き明かしていきます。
楽しみにしててください♪

 hermes poland | 2014.02.01 22:24

euler hermes uk plc 1 canada square 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 止まらない円高=世界通貨安戦争どうなる?2 〜『通貨クライシス・・・世界が落ちた罠』より疑問抽出〜

 wholesale bags | 2014.02.10 10:02

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 止まらない円高=世界通貨安戦争どうなる?2 〜『通貨クライシス・・・世界が落ちた罠』より疑問抽出〜

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