2009-01-03

G20の可能性を探る G20な国々③ブラジル

今後の金融危機の行く末に大きな影響を与えると思われるG20カ国のうち、日頃なじみの少ない国から順に経済・政治等の実態を調べていくことで、G20の可能性を探っています。今回はその第三弾!
        
  内閣府政策統括官(経済財政分析担当):世界経済の潮流よりお借りしました。(クリックで拡大)

先のG20首脳会議開催推進者の一人でもある仏大統領は、「G8はもはや時代遅れ」と批判し、世界経済に占めるブラジルなど新興国の重要性を見直すよう要求。先進国は、新興国の重要性を認めつつも、IMF会議や世銀会議への代表出席承認には難色を示した。 …
ニッケイ新聞 – 2008年12月12日

世界経済に占めるブラジルの重要性とは何か、そしてその可能性を見ていきたい。
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外務省のHP 日本貿易振興機構のHP からブラジル連邦共和国に関する情報を見ると、、、、

○基礎情報
1.面積:851.2万平方キロメートル(日本の22.5倍)
2.人口:約1億8,390万人(2007年地理統計院)・・・日本(1億3千万)とほぼ同じ
3.首都:ブラジリア
4.民族:欧州系(55%)、混血(38%)、その他(アフリカ系東洋系等)
5.言語:ポルトガル語
6.宗教:カトリック教徒約90%、プロテスタント(約10%)
7.略史
   年 月            略  史
   1500年     ポルトガル人カブラルによるブラジル発見
   1822年     ポルトガルより独立(9月7日)
   1889年     共和制樹立(11月15日)
   1964年     カステロ・ブランコ軍事政権樹立
   1985年 3月  民政移管(サルネイ政権)
   1988年10月  新憲法公布
   1995年 1月  カルドーゾ政権成立
   1999年 1月  第2期カルドーゾ政権成立
   2003年 1月  ルーラ政権成立
   2007年 1月  第2期ルーラ政権成立
○政治体制・内政
1.政体:連邦共和制、三権分立(米国型)
2.元首:ルイース・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領(2007年1月就任、任期4年)
3.議会:二院制(上院81名、下院513名)
4.政府:(1)首相名 なし (2)外相名 セルソ・アモリン
5.内政
 1995年〜2002年のカルドーゾ政権においては、ハイパー・インフレの収束による経済安定を実現。
 2003年1月から発足したルーラ大統領の労働者党(PT)政権は年金改革、税制改革、貧困対策を
 重視。2007年1月、第2期ルーラ政権発足。経済成長率の上昇を最大の課題としている。
 2008年10、統一地方選挙が行われ、全国の市長及び市議会議員が選出された。
○外交・国防
1.外交基本方針
(1)グローバルで活発な外交展開
 —国連改革、WTO、環境等の地球的規模問題への積極的な関与。
 —近隣諸国、米・EU・日本、アジア、アフリカ等との多面的な外交展開(ルーラ大統領は、
   アジア、欧米、アフリカ、中東などを積極的に訪問)。
(2)地域統合の進展
 —1995年1月、関税同盟としてメルコスールが発足。人口約2億3,800万人、GDP約1兆
   6,074億ドル(2007年統計)。EU等との自由貿易市場を追求。
2.軍事力(ミリタリーバランス2006)
(1)予算 161億ドル(2006年)
(2)兵役 義務制(12ヶ月、18ヶ月まで延長可能)、予備役134万人
(3)兵力 陸軍18.9万人、海軍3.29万人、空軍6.53万人(正規兵28.72万人、
      徴兵4.57万人)
○経済(単位 米ドル)
1.主要産業:製造業、鉱業(鉄鉱石他)、農牧業(砂糖、オレンジ、コーヒー、大豆他)
2.GDP:1兆3,135億ドル(2007年)
3.一人当たりGDP:6,938ドル(2007年)
4.GDP経済成長率:5.4%(2007年)
5.物価上昇率:4.86%(2007年)
6.失業率:9.3%(2007年)
7.基礎的経済指標
   経常収支(国際収支ベース):   14億6,100万ドル [2007年]
   貿易収支(国際収支ベース):  400億2,800万ドル [2007年]
   外貨準備高:   1,794億3,300万ドル [2007年]
   対外債務残高:  1,932億1,900万ドル [2007年]  親子ローン除く、年末
   通貨供給量伸び率:  18.9% [2006年]  M2
   輸出額:  1,606億4,900万ドル  対日輸出額:  43億2,100万ドル [2007年]
   輸入額:  1,206億2,100万ドル  対日輸入額:  46億1,000万ドル [2007年]
   直接投資受入額:  345億8,500万ドル [2007年]
8.貿易品目(2007年)(開発商工省貿易局)
 (1)輸出:工業製品(52.3%)(乗用車、航空機、自動車部品等)、
       一次産品(32.1%)(鉄鉱石、原油、大豆、鶏肉等)
 (2)輸入:原材料及び中間財(49.3%)、資本財(20.8%)、燃料及び潤滑油(16.6%)、
       消費財(13.3%)
9.貿易相手国(2007年)(開発商工省貿易局)
 (1)輸出:米国(15.6%)、アルゼンチン(9.0%)、中国(6.7%)、オランダ(5.5%)、
       ドイツ(4.5%)
 (2)輸入:米国(15.5%)、中国(10.5%)、アルゼンチン(8.6%)、ドイツ(7.2%)、
       ナイジェリア(4.4%)
10.通貨:レアル
11.為替レート:1米ドル=2.31レアル(2008年10月初現在)(1レアル=約43円)
12.経済概況 :ルーラ大統領は、前政権の財政安定化政策を踏襲、経済安定と改革重視の
      政策をとり国際的信用を維持。近年は安定した経済成長を継続。貿易収支も好調。

■経済の実情は?
財団法人国際貿易投資研究所の調査報告書「ブラジルにおける成長産業の動向と消費社会の到来」 によると、ブラジルの経済成長率が近年、好調に推移していることに加えて、世界経済の発展に寄与できると期待される経済規模(人口や生産力)が注目されている。また、鉄鉱石や石油、農産物等の資源供給国としての地位も高くなっている、と評価している。

1.調査の目的
ブラジルの経済成長率が近年、好調に推移していることに加えて、世界経済の発展に寄与できると期待される経済規模(人口や生産力)が注目されている。また、鉄鉱石や石油、農産物等の資源供給国としての地位も高くなっている。 対外経済関係の発展に依存しなければならない日本としても、ブラジルについての認識を深める必要があると考えられる。
2.調査結果の概要
2−1「エタノール産業」
 ブラジルのエタノール生産について、高い比較優位を保持しているが今後は収量の増加と
 生産コスト削減が必要である。エタノール生産拡大の制約要因として次の4点がある。
 (省略)
2−2「アグリビジネス」
 ブラジルのアグリビジネスは同国内では経済成長を牽引している産業であり、対外的には
 世界の食を支えている。ブラジルのアグリビジネスは原料の主要農畜産物生産が増加する
 という予想を踏まえて、発展することが期待されている。(省略)
2−3「石油・石油化学産業」
 ブラジルでは近年、石油・天然ガスの埋蔵量と生産が拡大している。石油化学産業界も
 ブラジル国内における原料供給量拡大を背景に生産設備拡大への投資に積極的に取り
 組んでいる。(省略)
2−4「鉄鋼産業」
 成長期を迎えているブラジルの鉄鋼産業の現状を分析。ブラジルでは内外の鉄鋼メーカー
 が投資を拡大している。その動向について、主要企業の実態を取り上げた。報告対象の
 企業はアルセロール・ミタルとゲルダウ、CSN、バローレック&マネスマン(V&M)の4社で
 ある。(省略)
2−5「国内市場」
 今後、ブラジルの政治経済社会がどのように展開していくかについて考察するにあたって
 は、同国の「大衆消費社会」の実態把握が必要であるという問題意識を提起している。
 これに関連して注目される経済実態のひとつとして、小売販売部門が成長していることが
 あげられる。
 これはGDPの6割を民間消費支出が占めていることに支えられている。好調な消費拡大
 が、数の上では圧倒的な多数派である中層ないし下層にも及んでいる。消費を支える
 背景としては雇用情勢の好転とローンやリースといった金融サービスの普及も影響して
 いる。(省略)

■政治の動向は?

国連事務総長=「ブラジルは責任の自覚を」=G20や環境、金融の要=眠り龍はいつ目覚める=負担金増額と国連軍派遣   ニッケイ新聞 2008年12月9日
 国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は七日、ブラジルの活躍が国際舞台で大きく期待されていることで、もっと責任感の自覚を求めたと八日付けフォーリャ紙が報じた。同事務総長は金融危機を克服するために、ブラジルなど新興国の積極的な参加で多国間態勢による経済改革を行うよう提唱した。それがブラジルの要望する国連安保理常任理事国入りへのきっかけになると、同事務総長は述べた。
  (省略)
 
 国連はさらに、食糧やエイズ、乳児の死亡、地球温暖化、教育など、どんな強大国といえども、一カ国では解決できない問題を抱えている。それには、国連を中心とする多数国の協力が必要だ。
 金融危機は、偶然に起きたのではない。大切なのは、先進国が危機の原因を突き止めて共同で改善すること。それが新興国にとっても重要なこと。既に世銀やIMF(国際通貨基金)で委員会を結成し、検討中だ。
  (省略)
 ブラジルが現在、国際的な異常気象や金融危機、G20の要であることに異論はない。ブラジルの国連安保理常任理事国入りによる国連改革を期待している。国連総会は九月、常任理事国が改革へ向けて合意した。
 同常任理事国は二月二十八日、具体的な改革法を決める。候補国のブラジルや日本、ドイツ、インドの他に、イタリアや亜国など四十カ国の意見も聞く。この常任理事国入りは、負担金の増額や国連軍派遣などが伴う。

仏、ブラジルに原潜技術 中南米で兵器ビジネス活発 2008年12月23日 中日新聞
 フランスのサルコジ大統領は22、23両日、ブラジルを公式訪問、ルラ大統領と会談し、攻撃型の原子力潜水艦1隻の建造支援と、通常型潜水艦4隻の売却に合意する見通しだ。中南米の国が原潜を持つのは初めて。
 両大統領は、軍事や政治、科学技術の戦略的同盟協定にも調印する。フランスは、ブラジルの兵員輸送用大型ヘリコプター51機の製造も支援。AFP通信によると、契約総額は30億ドル(約2700億円)を超える。
  (省略)
 ブラジルは、リオデジャネイロ沖で昨年見つかった大規模な海底油田の防衛のため、海軍力強化を進めているとされる。
 「米国の裏庭」とも呼ばれる中南米を舞台に、兵器ビジネスが活発化している。
 ロシアもブラジルと戦略的同盟協定を交わしており、10月に戦闘ヘリ12機を売却した。メドベージェフ大統領は11月にブラジルなど中南米を歴訪。ロシアはベネズエラにも兵器を輸出し、今月、カリブ海で両国合同軍事演習をした。
 中国の胡錦濤国家主席も11月にブラジルのルラ大統領と会談。アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれたペルーに、各国首脳の中で一番乗りして自由貿易協定(FTA)に合意するなど、中南米との関係強化に力を入れている。

■ 考 察
ブラジルの経済成長率が近年、好調に推移していることに加えて、世界経済の発展に寄与できると期待される経済規模(人口や生産力)が注目されている。また、鉄鉱石や石油、農産物等の資源供給国としての地位も高くなっている。つまり実体経済が堅調な動きをしていると言える。
このことから先進国はブラジルなど新興国の市場が拡大しており今後は消費社会に成長して行くであろう、と予測している。つまり市場が縮小して行っている先進国の市場を補う対象として重要だと考えていると思われる。
ブラジルなど新興国は単に自国の経済規模の拡大を考えるのではなく、今までのように実体経済の活動を押し進め、『金融市場における公正性の促進』に力を入れてほしいと思います。
 

List    投稿者 mukai | 2009-01-03 | Posted in 09.反金融支配の潮流4 Comments » 

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コメント4件

 二階堂定晴 | 2009.06.14 19:27

ZILにフォードの部品が使われていたとは。。。
しかも軍用にも廻されていたとは。。。
知りませんでした。
日本では「敵に塩を送る」と言いますが、
これは、、、そういう次元ではないですな。。。

 コスモス | 2009.06.15 18:31

二階堂定晴さん
>日本では「敵に塩を送る」と言いますが、
>これは、、、そういう次元ではないですな。。。
え〜・・・とですね、正直に言いますと、この記事は大事なことが抜けてましてですね、尻切れトンボといいましょうか、時間切れといいましょうか、能力不足といいましょうか・・・・
「ソビエトを狙った金融資本は目的を達したか否か!?」
というのがですね・・・・次回のお楽しみということです(汗・・・)

 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 2009.07.25 19:18

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