2006-12-31

自然の摂理から経済を考える〜進化経済学への期待

FJへは久しぶりの投稿になりますが、今日は「代替案」ブログさんより経済学の新機軸を紹介したいと思います。巷には新自由主義経済学が闊歩していますが、その本質は「自由競争によって需要と供給は均衡する」という「思い込みorごまかし」に過ぎません。この「均衡のドグマ」に対抗する経済理論を再構築しようと、自然の摂理に学びつつ考えている学派があります。進化経済学会という学会で、いまのところ「これがこの学会の答えだ」というところには至っていませんが、だからこそ可能性の宝庫という印象もあります。以下、脱新古典派宣言: (書評)進化経済学会編『進化経済学ハンドブック』(共立出版)より引用です。

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>「均衡のドグマ」を拒絶し、「進化経済学」の教科書の第一章に書かれるべき基礎的理論は、生物学で発達した個体群動学の理論だと私は思います。一つの生物種の自然増殖関数であるロジスティック関数と、その応用系である複数種の生物の個体数の推移を扱うロトカ=ヴォルテラ競争方程式は、大学で生物学を勉強した人なら皆が知っている基礎的な理論です。でも経済学者は、これまでそれらの理論を無視してきました。
>西ドイツ製のカメラの生産台数をX、日本製カメラの生産台数をYとすると、XとYは次の連立微分方程式の解として与えられます。(もっとも非線形微分方程式なので数学的には解けません。コンピューターの数値計算で解きます)
>dX/dt=(r1−β1X−γ1Y)X
>dY/dt=(r2−β2Y−γ2X)Y
>(r、β、γは定数)
>これがロトカ=ヴォルテラ競争方程式と呼ばれるものです。同じ市場ニッチで競合する技術や競合する商品などの動態を考察すると、実に多くのケースでロトカ=ヴォルテラ方程式が実際に該当するのを確認できるでしょう。あるパラメーターの条件では、Xが需要キャパシティーを全て満たすまでに増えてYが消滅し、別のパラメーターの条件では、Yが増えてXが消滅し、ある条件ではXとYの双方が需要をシェアして共存するといった、さまざまなパターンがあり得ます。
>生物学の教科書では、同じエサをめぐって争う種間競争の多くが、この方程式によって記述でき、実験によっても簡単に確認できることが紹介されています。同じ市場をめぐって争うA社とB社の類似商品のケースと全く同じなのです。例えば教科書によく登場する例では、フラスコに2種類のゾウリムシ(有名なのはカウダツムとオウレリアという別種のゾウリムシ)を入れ、バクテリアを与えて飼育するという実験です。すると、カウダツムは個体数を減少させ、最後に死滅します(上の例における西ドイツ製カメラの生産台数)。一方の、オウレリアはキャパシティの上限にまで個体数を増加させるのです(日本製のカメラ)。しかし、2種が共存できる場合もあります。例えば、ブルサリアとカウダツムという2種のゾウリムシの場合、2種とも生き残るのです。これはカウダツムがフラスコの上層、ブルサリアはフラスコの底の方を生息場所として好むため、棲み分けることが可能だからです。
>現実経済の競争でも棲み分けによる共存現象はたくさん見られます。例えば土建業界のように談合によってエサ(公共事業)を振り分けるとか、消費者の選好に応じて製品を変えるとか、実際に「地理的に縄張りを設けてしまうなどです。他にも競争を回避するための複数社が共存できるための知恵としては、価格カルテルを結ぶとか、国際競争の場合は非関税障壁を設けてしまうなどさまざまな手法があります。
 
>市場経済は、商品や技術といった複製子の革新(変異)を促しやすいという点で進化論的に有利と評価されています。不断の革新がなければ、企業は利潤を確保できないからです。その点は私も同意します。しかし、政府の役割が否定されるわけではないでしょう。大掛かりな技術革新のためには、市場経済に加えて、政府による大規模な研究投資による側面的な支援もまた不可欠です。技術的進化を促すためにも市場と、民意に基づいた政府のコラボレーション作業は必要なのです。
>さらに完全競争が一社独占に向かう傾向は、近年の市場原理主義のグローバル化の経験からも明らかです。逆説的ですが、競争状態を維持するためには、過当競争を抑制するための介入も必要になります。談合はダメでも、惜しくも入札で惜敗した企業には優先的に政府が別の事業を割り当てるといった受注の配分システムは必要だと思います。
>人間の経済システムが、恐竜のように、環境変化に対して脆弱な一方向へ進化してしまえば、結局は滅亡を早めるだけになります。恐竜の例を見れば、進化が必ずしも良いものとは言えません。現在の人類が直面している大問題は、環境破壊、資源の枯渇、貧富の格差の増大、生物的・文化的多様性の破壊といったものです。これからの経済システムの進化は、これらの諸問題を解決する方向に向かねばなりません。
人間の営みである経済活動も「自然の摂理」と無縁なはずはありません。従って、この自然の摂理を読み解き、制度へと昇華させることで新自由主義経済学によって生み出された市場の観念的暴走に歯止めをかけることは不可欠な作業でしょう。代替案さんも仰っているように、自然界には闘争(競争)関係、共生(寄生)関係、棲分関係、といった多様な統合原理でつくられています。闘争(競争)の反動で共生ばかりが注目を集めるという風潮もありますが、大切なことは、どれかひとつに単純化するのではなく、多様な統合原理を、その多様性・重層性・総合性のままに受け止めることではないかと思うのです。
自然の摂理から経済を考える「進化経済学」に期待していきたいと思います。

List    投稿者 yama3 | 2006-12-31 | Posted in 09.反金融支配の潮流2 Comments » 

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コメント2件

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