2011-05-17

大転換の予感「潮流6」:’95年、私権原理の崩壊と目先の秩序収束

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子供たちに「原子力はクリーンで安全なエネルギー」と発信させる「原子力推進ポスターコンクール」は、文科省・電力会社・経済団体など様々な組織が主催しています。こどもたちはおとなたちの期待に応えようと、どの作品も力作揃いです。

地球の将来を大切にしたいという子どもたちの純粋な気持ちを、どうか、大人たちのウソで踏みにじらないでください。

原発推進派の根拠は、

「オイルショック→オイルピーク説(石油枯渇)⇒原発」

「CO2増大→地球温暖化⇒(CO2を排出しない)原発」

という2重の嘘に加えて

「原発はCO2を排出しない」

という嘘、つまり3重の嘘で塗り固められているという。

原子力発電の推進の根拠は全て嘘であるより



なぜ、嘘に嘘を重ねてまで、原子力発電を推進しているのでしょうか?

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本当は、’70年、豊かさが実現された時、「市場は拡大を停止するしかなくなった」のだという現実を直視し、素直に『ゼロ成長』戦略を打ち出していれば、現在見るような経済危機に陥ることもなく、また国際競争力を失うこともなかったのである。

『潮流5:失われた40年』より


高度成長期の電力需要を賄うために、東海発電所が日本初の商業用原子炉として’66年に営業を開始しました。

それ以降、実質的な経済成長が止まったにもかかわらず原発計画が推し進められ、現在に至るまで54基もの原発がこの地震列島に作られました。



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これは、市場縮小=利権の縮小という危機から、勝ち組だった特権階級が利権維持のために原発を促進させているのです。

原発推進のための交付金を定めた「電源三法」が’74年に施行され、現在でも1年間で約4556億円にも及ぶ政府の原子力関連予算が組まれ、巨額の「反原発」対策費が政・官・財・学・メディア・地元に投下されています。また、1基あたりの建設費用が5000億円以上とされる原発の建設は、政治家にとっては巨大な公共事業であり、利権となります。



この流れは、バブル崩壊以降も衰えるどころか、地球温暖化説をでっち上げ、炭素税制度を作るなど、むしろよりイデオロギー色を強めていきました。



潮流6:’95年、私権原理の崩壊と目先の秩序収束より引用します。

バブルは必ず崩壊する。案の定、’90年、日本のバブルは崩壊した(その後、’08年、米欧をはじめ世界バブルも崩壊する)。

そして、’95年、バブル崩壊の5年後、相次ぐ金融機関の破綻を目の当たりにして、私権の崩壊が意識(予感)され始める。

半顕在意識に生起したこの私権崩壊の認識(予感)は、私権追求の欠乏を一気に衰弱させ、急速に私権圧力を衰弱させていった。



(中略)



95年以降、衰弱し続けてきた私権欠乏は、その後’03年、株式が二番底に向かうのを見て追求する活力も消え失せ、遂に私権欠乏そのものが空中分解してゆく。かくして、人々はもはや私権の追求に収束することができなくなり、永い間社会を統合してきた私権収束→私権統合という統合軸が崩壊してゆく。これは、1800年に亙って私権時代を貫いてきた私権原理の崩壊であった。

こうして、人々はどこにも収束できずに収束不全に陥ってゆく。

おりしも阪神大震災が起きた’95年に、兵庫銀行や太平洋銀行など金融機関の破綻が相次ぎ、’97年には北海道拓殖銀行が都銀初の破綻、また証券業界トップの不沈空母と思われていた山一證券が倒産しました。翌年’98年には、日債銀と長銀が破綻するなど、”一流”企業が次々と倒産し、いままで誰もが求めていた私権(地位やお金)が人生の目的=第一価値にはならなくなってきました。

他方、バブル崩壊に伴う経済危機は、人々の間に危機感発の安定欠乏を生起させ、目先の安定志向を強めさせる(注:この危機発の安定志向は、’70年以来の充足発の安定志向とは別物である)。そして、この危機発の安定志向は、「自由」が空中分解したことも相まって、目先の秩序収束の潮流を生み出してゆく。タバコ、セクハラ、食品叩きと続く魔女狩り=マナーファシズムは、この秩序収束の潮流に乗った法曹官僚とマスコミの仕掛けである。

しかも、この目先収束は、秩序収束の段階に留まらず、更に目先の制度収束へと突き進んでゆく。

「嫌煙権」、「セクハラ」、過度な「人権尊重」などの、マナーファシズムの潮流に乗っかって、「地球温暖化」防止のための「CO2削減」「オール電化」が声高に叫ばれ、原発が推進されていきました。



ことの本質を欠いた目先の秩序収束は、東大→官僚を頂点とする受験エリートに特に顕著に見られる傾向であり、彼らの狂った判断が、今回の大事故を引き起こしたのです。

東日本大震災で大津波が直撃した東京電力福島第1原発(福島県)をめぐり,2009年の審議会で,平安時代の869年に起きた貞観津波(マグニチュード 8.3〜8.6)の痕跡を調査した研究者が,同原発を大津波が襲う危険性を指摘していたことが分かった。



東電側は「十分な情報がない」として地震想定の引き上げに難色を示し,設計上は耐震性に余裕があると主張。津波想定は先送りされ,地震想定も変更されなかったという。この時点で非常用電源など設備を改修していれば原発事故は防げた可能性があり,東電の主張を是認した国の姿勢も厳しく問われるところである。

原発事故における「想定外」は詭弁であるより引用。



巨大地震・津波の再来が指摘されていたにもかかわらず、自治体の防災担当者からの回答は、

「そんな長い間隔の地震は、対策を練っても仕方がない」

という、法律に則ってやっているのに何が悪いと言わんばかりの無責任な反応だったといいます。



有数のエリートたちが集まっている官僚・学者・マスコミや大企業の幹部たちが、なぜこのような幼稚な判断しかできないのでしょうか?



それは、常に答えがあることが前提となっている試験勉強での”エリート”は、与えられた枠組みの中で期待どおりの答えを見つけることに関しては優秀でも、前提を成す枠組みそのものを疑うという発想が極めて貧弱なのです。



だから、「原発どうする?」といった、前例がない=答えがない問題に関しては、全く判断を下すことができないのです。

子供や若者の試験制度への収束は、小学生の時から勉強漬けで「勉強しか出来ない」無能エリートを大量生産しただけではなく、学歴が生涯の身分をほぼ規定する学歴身分社会を作り出し、社会を少数の特権階級と多数の下層階級に分解してゆく。

次回は、このような無能エリートたちが特権を行使する快感に溺れ、好き勝手に振舞った’00年以降の”暴走する社会”を扱います。

 

List    投稿者 watami | 2011-05-17 | Posted in 09.反金融支配の潮流3 Comments » 

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コメント3件

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