2022-06-12

日本の物価上昇が緩いのは、金利上昇→財政破綻を恐れる政府による補助金のため

消費者物価が上がって来ている。
しかし、全体でみると2~3%程度。

不思議に思っているのは、企業間取引である企業物価指数では10%程度上がっているし、
アメリカの物価は8%程度上がっているのになんで日本の物価上昇はそんなに低いのかということ。

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誰かが差額を支払っている。そう、日本政府の補助金だったという話(下記引用記事)。
補助金がなければ、日本の消費者物価も7%程度上がるという。
今話題になっている物価より2~3倍高い上昇になる。

一方で、円安が進んでいる。
円安は、金利を上げられない円から、金利の高いドルやそのほかの通貨へ投資対象として移行しているため。
円安はしばらく続く。投機筋による金利の安い円を使ってのキャリー取引の絶好の対象になっている。(これについては別に分析する。)
そうするとさらに円安が進むので輸入物価(エネルギーや食糧)は上がっていく。1ドル=140円台まで進むだろう。

日本政府にとって
・財政破綻につながる金利を上げないことが最優先。
・そうするとしばらく円安が進み、物価はさらに上がる。
・多少物価が上がっても補助金でしのぐ。しかし円安→輸入物価が上がるので、まだ物価は上がる(吉田繁晴氏は今年の10月時点で前年比4.4%上昇と予想。)
・補助金→財政はさらに悪化していく。

 

 

ビジネス知識源5月23日より

まず、22年4月の消費者物価は前年同月比で2.5%上がっています
(総合)。2020年の、携帯電話の約50%の値下げ効果(物価では1.
5%)が切れてきたからです。急に2.5%上がったのではなく、21年
9月からプラス圏にあったのです。

なお、生鮮とエネルギーを入れないコアコア物価では0.8%の上昇で
した。近年では、初めてのプラス圏にあがっています。
リンク

食品では、生鮮野菜+12.2%、生鮮魚介+12.1%、生鮮果物+1.
2.2%と二桁台に高い。揚げ物に使う油脂では+6.1%です。あると
ころのスーパーでは、唐揚げが上がっています。生鮮3品の二桁上昇
は、家計にとって痛いでしょう。

光熱費では電気代が+21.4%、ガス代が17.5%上がっています。
2021年から原油・LNGが上がったからです。

家具・家事用品は+5.0%、冷蔵庫は+16.0%です。日本の家電の
生産工場が多い中国・東南アジアでの、コロナによる工場停止とコン
テナ物流費の上昇からです。

ガソリン代は+15.7%です。政府の石油会社への補助金(物価抑
制)からであり、本体では25%は上がっています。

岸田内閣の、物価高対策の総事業規模は政府6兆円、関連支出を含む
と13.2兆円という大きなものです。これが、物価上昇を抑えれば1世
帯あたり1か月2万1000円になります。1か月の家計消費は28万円くら
いですから、7.5% 消費者物価を下げる補助金に相当します。

なぜこうした「巨額な補助金」が、多様な形をとった業界補助として、
実行されるのか。企業物価が10%上がり、その消費価格への転嫁を抑
えるためです。

この手段が執(と)られる理由は、消費者物価が8.5%上がっている
中で、長期金利が3%台(22年5月)のに乗った米国と同じにしないた
めです。22年末の長期金利は5%台でしょう(短期金利は3.5%か)。
リンク

驚くことは、日本の消費者物価も、仮に、この13.2兆円の物価抑止
補助金がなければ、7%台には上がっていたことです。長期期金利も
米国並みに3%台だったでしょう。このナマの物価上昇が、生鮮3品
(野菜、鮮魚、果物)の物価上昇の12%台に現れているものです。

2013年度にも、13.2兆円の物価抑制補助金を出さないと、日本の物
価は6%台、7%台に上がていくでしょう。わが国の物価予想では、物
価の統計には出ない、特殊な補助金13.2兆円が欠かせません。
(注)政策名称はコロナ下の「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」
です。

はっきりいうと、13.2兆円は政府支出にとっては、国債の金利の1%
上昇を、金融統計上帳消にして、財政支出の増加に転嫁する目的もの
です。「13.2%÷1200兆円国債残=1.1%」です。

交通・通信費では-10.9%です。22年4月も、2020年の、携帯電話の
菅首相の声かけによる値下げが効いています(「世界に比べ2倍は高
い;スマホ型携帯は1人8000円から1万円」)。

22年5月、6月は、これが0%から3%の上昇になっていくでしょう。全
体の物価では0.3ポイントくらい上げる要素になります。

引用以上

List    投稿者 inoue-hi | 2022-06-12 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?No Comments » 

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