エネルギー市場はどうなっている?(3)〜エネルギー産業をとりまく金貸しの支配構造【原子力資源(ウラン)編】
さて、「エネルギー市場はどうなっている?」シリーズでは、前回までエネルギー生産全般を概観してきましたが、今回から数回の章にわたっては、エネルギー生産の種別毎に、それぞれをとりまく金貸しの支配構造を明らかにしていきたいと思います。
まずは原子力から。今回は、原子力発電の資源「ウラン」市場を探っていきます。
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まずは、基本情報として、ウランの鉱山別・企業別の生産量ランキングを見てみましょう。
<鉱山別ウラン生産量ランキング 2007年>
鉱山(所在) 生産量(t) 主要生産企業 1 McArthur River:マッカーサー・リバー(カナダ) 7199 − カメコ/アレヴァ 2 Ranger:レンジャー(オーストラリア) 4,589 − ERA(リオ・ティント) 3 Olympic Dam:オリンピック・ダム(オーストラリア) 3,388 − BHBビリトン 4 Krasnokamensk:クラスノカメンスク(ロシア) 3,037 − ARMZ 5 Rossing:ロッシング(ナミビア) 2,583 − ロッシング・ウラニウム (リオ・ティント) 6 Arlit:アーリット(ニジェール) 1,750 − ニジェール政府/アレヴァ 7 Rabbit Lake:ラビット・レイク(カナダ) 1,544 − カメコ 8 Akouta:アクータ(ニジェール) 1,403 − ニジェール政府/アレヴァ 9 Akdala(カザフスタン) 1000 − ウラニウム・ワン/ カザトンプロム 10 Zafarabad:ザファラバード(ウズベキスタン) 900 − ナヴォイ |
<ウラン企業別生産量ランキング 2008年>
企業 生産量(t) 1 Rio Tintoリオ・ティント(英・豪) 7,975 2 Cameco カメコ(加) 6,659 3 Areva アレヴァ(仏) 6,318 4 Kazatomprom カザトンプロム(カザフ) 5,328 5 ARMZ アトムレドメトゾロト(露) 3,688 6 BHP Billiton BHBビリトン(英・豪) 3,344 7 Navoi ナヴォイ(ウズベキ) 2,338 8 Uranium One ウラニウム・ワン(加) 1,107 9 Paladin Energy パラディン・エナジー(豪) 917 10 Heathgate ヒースゲート(豪) 636 |
参照※資源ランキング
①Rio Tinto リオ・ティント (英・オーストラリア)
資源三大メジャーのひとつ。原子力産業に関して傘下企業を2社もち、オーストラリアのERA(エナジー・リソーシズ・オブ・オーストラリア)と、ナミビアのRU(ロッシング・ウラニウム)。リオ・ティントは、ドイツの多国籍複合企業シーメンスの大株主である。
②CAMECO カメコ (カナダ)
自国カナダで一番生産量の高いマッカーサー・リバー鉱山を、仏アレヴァと共に所有している。カザフスタンの企業カザトムプロムや、オーストラリアのパラディン・エナジーとも共同し、それぞれカザフ・オーストラリアの鉱床のウラン採掘にも着手。2011年にカメコの社長兼CEOに就任したティム・ギゼル(下の写真)は、元アレヴァの執行副社長と、アレヴァとの繋がりは深い。
③Areva アレヴァ (フランス)
原子力産業においては資源だけでなくの技術面でも名高い。生産量首位のカナダのマッカーサー・リバー鉱山を、カメコと共に所有している。(他にもカナダのシガーレイク鉱山を同様に2社で所有。)カザフスタンやニジェールの国営企業とも手を結び、それぞれの国からも資源を採掘。アレヴァについては、ドイツのシーメンスが株の34%を保有している。
④Kazatomprom カザトンプロム (カザフスタン)
カザフスタンの国営企業。ウラニウム・ワンやアレヴァ、カメコなどと共同し、自国カザフの鉱床を採掘している。
⑤ARMZ(Atomredmetzoloto) アトムレドメトゾロト (ロシア)
ロシアの原子力産業全般を司る国営企業ROSATOM(ロスアトム)の、資源を担当する子会社。自国のクラスノカメンスクが最主要鉱山。
⑥BHB Billiton BHB ビリトン (英・オーストラリア)
資源三大メジャーのひとつ。2008年にリオ・ティントを敵対買収する計画があったが、失敗に終わっている。主要鉱山は、オーストラリアの中でも生産力の高いオリンピック・ダム。
⑦Navoi ナヴォイ (ウズベキスタン)
自国ウズベキスタンのザファラバードが主要な鉱山。日本の伊藤忠とも契約を結んでいる。
⑧Uranium・One ウラニウム・ワン (カナダ)
カナダの会社ながら、ロシアの原子力国営企業ロスアトムが実権を握っている。(2010年12月にロスアトムの子会社が、ウラニウム・ワンの過半数の株式を保有。)カザフスタンのAkadala鉱山を、カザフの国営企業カザトムプロムと共に所有している。
⑨Paladin Energy パラディン・エナジー (オーストラリア)
オーストラリア第2の規模を誇るウラン鉱山会社。リオ・ティントの子会社であるERAの傘下、つまりリオ・ティントの孫会社にあたる。主要な鉱山は自国オーストラリアとアフリカに持ち、アフリカでは2つのウラン鉱床、ナミビアのLanger Heinrich鉱山とマラウイのKayelekera鉱山を管理している。
⑩Heathgate ヒースゲート (オーストラリア)
アメリカのGA(ジェネラル・アトミックス)子会社。オーストラリアで3番目と言われているビバリーの鉱山を採掘。GAに関しては、1984年以降、石油会社シェブロンが所有権を握っている。
以上、上位10社各企業の特徴を述べましたが、ウランの生産市場はランキング上位の6社、リオ・ティント、カメコ、アレヴァ、カザトンプロム、ARMZ、BHBビリトンの覇権がやはり目立ちます。それら含めた10社の企業は、それぞれ互いに関係を持ちながら、自国や他国に採掘権を拡大しています。複雑ですね。どのような構造になっているのか、図解で押さえてみましょう。
どうでしょうか?
リオ・ティントは、ロスチャイルドの出資を受けており、ロスチャイルド系企業です。またBHBビリトンも同様で、ロスチャイルド家の支配のもとにあります。そしてて、リオ・ティント、アレヴァ、カメコは一連してつながっており、カザフやロシアもそことつながっている状況を押さえると、ウラン資源採掘市場はほぼロスチャイルド系の独占という勢力図が浮かび上がってきます。唯一、異色なのが、オーストラリアにある米企業、ヒースゲート。こちらは親会社がGA(ジェネラル・アトミックス:シェブロンの子会社)なので、ロックフェラーに属している可能性があります。
どちらにしろ、原子力資源ウラン市場はロスチャイルドの支配が圧倒的と言えそうです。
(ロスチャイルド支配がほぼ確実と思われるリオ・ティント、カメコ、アレヴァ、BHBビリトン、パラディンエナジー5社だけでも、世界のウラン生産の6割近くを占めています。※2008年の世界のウラン生産量総計は43,853トン)
フランスのアレヴァやロシアARMZの親会社ロスアトムなどは、ウラン生産量だけでなく、その原子力技術においても名を馳せています。次回はその原子力技術における勢力構造を見ていきましょう。
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コメント4件
シャネル | 2013.03.23 11:00
怖いのはお前のふてぶてしいさのほうだよ。
マイケルコース 新作 | 2013.10.24 18:42
マイケルコース バック
wholesale bags | 2014.02.10 13:59
金貸しは、国家を相手に金を貸す | 『世界経済の現状分析』【14】ロシア経済の現状〜プーチンの焦り
ブルガリ 時計 コピー | 2013.03.14 12:01
大島は「素人」のくせに一流の「歌手」「女優」みたいな態度だし