2022-06-19

破綻か回避か?金利政策の分かれ道。・・・米国債は暴落の入口へ

ウクライナ戦争は、ロシアの勝利でほぼ決着がついた。次のメインステージは金融。
FRBは0.75%の利上げを行い、米株の下落が進み、米国債・債券の下落も始まっている。
日本も一時的に国債金利が急上昇、日銀が必死に介入して戻している。

米・欧・日は、破綻に向けて、以下3段階の2段階目に突入。
① 金融緩和(通貨の過剰発行)→通貨価値の下落→急激なインフレ
② インフレ→通貨防衛 →金利上昇=国債・債券の下落 →金融危機
③ 財政・通貨破綻

●ドルは強いのか?
ドルは強いのか?ドルの一人勝ちなどと報道しているがおかしい。
実際は、通貨価値下落→急激なインフレ→金利を上げざるを得ないのでは?
ドルの金利の高さは弱さの裏返し。

にほんブログ村 経済ブログへ

●ドルと資源国通貨の闘い、ドルを必要しない世界へ

Bloomberg リンクより

ロシアのウクライナ侵攻開始後、ルーブル・人民元の月間取引量は1067%増え、ほぼ4兆ドル(約512兆円)相当に急増。ロシアと中国はドル依存を減らし、米国が実施あるいは今後発動し得る制裁を乗り越えるため2国間貿易を増やしている。

ウクライナ戦の始まった3月以降、ルーブル・人民元の取引は何と十倍に増えた。ドルの世界からルーブルが締め出されたのではなく、世界はドルを必要としなくなった。ロシアだけでなく、第三世界の国々(石油のアラブ、ブラジルなど南米、インドなど)が同様の状況にあるとしたらどうか?この状況がドルを必要なくさせ、金利を上げざるを得ない状況に拍車をかけている。

●アメリカのジレンマ
利上げしなければドルは暴落する。しかし、利上げをすると、株価・債券価格が下がり、含み損から金融危機へ向かう。まさに、前門の虎、後門の狼状態。しかし、もう金利で引き付けるしか、ドルを守る手段はない。
※ウクライナを巡る戦いは、基軸通貨を巡る戦いが主戦場だった。アメリカは基軸通貨を巡る戦いに負けた。これからドル暴落を通じて明らかにされるだろう。

●利上げ →国債と債券の下落から金融危機へ
金利が上がる→株価・国債・債券の価格が下落、金融機関に含み損が拡大していく。
現在の含み損の状況は、

ビジネス知識源 0619 日曜版より
株価下落は、注目されますが、同時に下がっている国債と債券価格の下落への注目は、少ない。

実際は、金利が上がることでの金融収縮では、
・国債(30兆ドル:4050兆円)、
・住宅証券(12兆ドル;1620兆円)、
・社債(10兆ドル:1350兆円)を含む債券相場が主戦場になります。

2022年の年初には、米ドル10年債の金利は、1.5%でした。現在3.5%付近です。6か月での、普通ではない急劇な金利上昇です。
(ロイター:米国債金利と株価)
https://graphics.reuters.com/USA-BONDS/LJA/gjnpwyblqpw/index.html

10年債の価格は、(1+1.5%×10年)÷(1+3.5%×10年)=1.15÷1.35≒0.85・・・すでに、15%も下げています。この下落幅は、住宅証券と社債でも同じです。

市場化されている債券の、推計総額52兆ドル(7020兆円)が85%に下がり、1053兆円の含み損が生じていると推計されます。

これらの債券と、25%下がった株価を時価評価すれば、すでに、金融危機に至るボリュームです。
(引用以上)

 

●日本はどうか?
日銀は、国債を低金利で購入することにより、頑なに金利上昇を抑えている。円安より財政破綻につながる金利が上昇しないことが最優先。
円安の真犯人、日銀

アメリカと対照的に、金利を抑えることで、金利負担の増→財政破綻、国債価格の下落→金融破綻を必死に防いでいる。
のらりくらりと金利を抑えるのが賢いのかもしれない。

by タロウ

List    投稿者 inoue-hi | 2022-06-19 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?, 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2022/06/9908.html/trackback


Comment



Comment