2009-02-19

2008年第4四半期のGDP、前期比年率12.7%の大幅減

16日に発表された、第4四半期(10−12月)のGDP(国内総生産)は、年率換算で12.7%という大幅な落ち込みになり、戦後最悪の景気後退局面となった。 
 
たまたま、関西の製造業の調査に入っているが、そこの現場で聞かれる声も、「オイルショック時以上の落ち込みで、今まで経験したことが無い」である。 
 
例えば、機械工業(工作機械や建設機械)関係の仕事は、9割減、仕事量が1/10になった、自動車関係は、6割減という状況である。 
 
以下、毎日新聞の記事引用 
GDP:年率12.7%減、落ち込み深刻 10〜12月期(毎日新聞、2月16日)

内閣府が16日発表した08年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は、前期(7〜9月期)比3.3%減、これが1年間続いた場合(年率換算)で12.7%減と3四半期連続で減少した。2けたマイナスは、第1次石油危機時の74年1〜3月期(3.4%減、年率13.1%減)以来、戦後2度目。深刻な金融危機と世界景気悪化で輸出が戦後最大の落ち込みとなり、個人消費も減少。内外需の総崩れが鮮明となった。09年1〜3月期も大幅なマイナス成長の見通しで、日本経済は戦後最悪の不況に陥ろうとしている。
  GDP02.jpg 
 
10〜12月期は、輸出が前期比13.9%減と2四半期ぶりに減少に転じ、減少幅は75年1〜3月期(9.7%減)を上回った。自動車、電子部品、建設機械などを中心に米国、欧州連合(EU)、アジア向けがすべて大幅に減少した。外需依存で輸出との連動性が高まっている設備投資は5.3%減と4四半期連続の減少で、マイナス幅は加速度的に拡大している。 
 
昨年夏にかけ、急激な物価高で打撃を受けた個人消費は、物価上昇が一服した昨秋以降も、実質賃金の減少や雇用不安の追い打ちで0.4%減とマイナスに転じた。自動車、家電、航空旅客輸送、衣服などの落ち込みが大きかった。輸出から輸入を差し引いた外需寄与度は、輸出の記録的減少によりマイナス3.0%と過去最悪に、内需寄与度もマイナス0.3%だった。

上記記事に、外需寄与度、内需寄与度という言葉が出てきます。寄与度ってなんでしょう? 
 
また、銀行危機・GM倒産危機にある米国の第4四半期GDPは、年率換算でマイナス3.8%。
なんで、日本の方がこんなに落ち込みが大きいのか疑問がでてきますね。 
 
そこで、GDP(国内総生産)って、どのような項目で、どう計算されているのか、簡単に押さえて見ます。 *結構、複雑ですよ! 
 
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GDP成長率の寄与度って? 
 
GDPの項目と算出(図中の数字は、2008年第4四半期・年率換算) 
GDP.bmp
まず、国内総支出があります(図の中段)。
国内総支出は、図の上段にあるように、「民間消費支出」(家計や企業の消費)、「民間住宅支出」、「民間設備投資」、「民間在庫」、「政府支出(消費及び公的投資)」で構成されます。 
 
支出は、家計調査や企業の設備投資調査などで、何兆円という数字を把握します。
でも、生産ではないですね。 
 
総生産にするには、どうしたらよいのでしょうか? 
 
総支出の中で、輸入されたものは、国内生産ではありませんね。
一方、輸出は、国内で生産されているが、国内支出には含まれないですね。
 
この、輸入、輸出を加減することで、国内総生産が決まります。具体的には、以下の様になります。 
 
 国内総支出−輸入+輸出=国内総生産 
 
 国内総支出+(輸出−輸入)=国内総生産 
 
国内総支出のことを、内需といいます。それに対して、(輸出−輸入)の事を外需といいます。 
 
GDP(国内総生産)が、プラスになる構造は、大きく以下の構造になります。 
 
一つは、内需拡大ですね。
民間消費支出や企業設備投資が拡大し、「国内総支出」が拡大する。それに対応して、国内生産が拡大する。 
但し書きがつきます。
国内総支出が増えても、その殆どを輸入に頼っていると、実は、総生産は拡大しませんね。 
 
もう一つは、外需拡大です。
国内総支出は増えないが、輸出(厳密には、輸出−輸入=純輸出)が拡大すると、それに対応した総生産が拡大する。 
 
日本のここ数年のGDP拡大は、実は、外需依存が高まっていました。 
四半期毎の純輸出(輸出−輸入)の推移を年率換算で見ると、図のようになっています。 
 
純輸出の推移(年率換算、単位:兆円) 
 
GDP03.bmp 
 
2008年の第1四半期〜第3四半期までは、純輸出は30兆円を超えています。
それが、第4四半期では、16兆円に急落しました。減少幅は、14.5兆円にもなります。 
 
GDP全体は、第3四半期の559兆円から第4四半期の540兆円へ、19兆円の減少です。
GDPは、前期比3.3%減少(年率換算で12.7%減少)となります。 
 
この3.3%減のうち、純輸出=外需が3.0%減(GDP全体の3.0%減)となり、内需が0.3%減です。 
 
GDP全体が3.3%減の時、GDP計算する各項目がどれだけ影響したかを現すのが、「寄与度」という言葉(=概念)です。 
 
外需寄与度は、マイナス3.0%、内需寄与度はマイナス0.3%となります。 
 
 
米国のGDPマイナスが、小さいのはなんで? 
  
米国の国内消費支出の減少幅は、日本の内需減少よりも格段に大きい。
しかし、消費しているものが「輸入品」であるので、需要が減少すると、それに伴って、輸入が大きく減少する。
図で分かるように、支出減が輸入減に直結すると、生産はそれ程減少しないことになります。
輸入依存度の高い国では、内需の減少幅に対して、総生産の減少幅は小さくなるのです。
総支出(消費)でみるのか、総生産でみるのかの違いですね。 
 
 
最後に、今後の動向はどうなるのか、気になりますね。 
 
製造業の現場では、2009年に入って、3割減、ひどい場合は1/10に仕事が減ったと言っています。
2009年1−3月のGDPは、大幅減少が続くことは確かでしょう。
 
そして、「大恐慌の事態になるかどうかは、5月位にはっきりする」と身構えている経営者もいます。 
 
目が離せないですね。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2009-02-19 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?1 Comment » 

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コメント1件

 wholesale bags | 2014.02.09 13:29

金貸しは、国家を相手に金を貸す | バチカンって何?

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