2009-02-20

鎖国の可能性を探る!-4 エネルギーは、自給できるか?


★エネルギーをどうする?
一番気になるのがこれじゃないでしょうか?
エネルギーといえば石油ですが、日本ではほとんど採掘できないようですね。
では、石油に代わるものはなにか?
といきなり石油に変わるエネルギーを国内でどうする?
と行く前に、先ずは国内のエネルギー需給関係について押さえ直しておきたいと思います。
1.日本のエネルギー供給は、どう言ったものがあってどのくらい使われているのか?
2.それは、今後輸出産業の衰退や過剰消費の削減を見据えた上で、国内ではどの位のエネルギー使用量が必要とされるのか?
3.上記、必要なエネルギーは、諸外国に頼ることなく自給できるのか?
そこから見直してみる必要があります。
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我が国は、エネルギー資源に乏しく、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。
利用用途の広い石油・LPガスは中東地域を中心に、天然ガスは東南アジア、豪州、中東等から、石炭は豪州等からほぼ全量を輸入しています。
■エネルギー総供給の構成比
2004年IEA(Energy Balances of OECD Countries 2003-2004)
の調べによると、
第1位は、石油でエネルギー総供給量の49.0%を占める。
第2位は、石炭で全体の22.0%を占める。
第3位:原子力(14.0%)続いて、天然ガス(13.0%)、地熱・新エネルギー(2.0%)、水力(1.0%)となっています。
一方、日本国内で産出される「国産エネルギー」は、水力、地熱、風力や若干の天然ガスのみで、我が国が必要とするエネルギーの約4%にすぎません。
原子力発電に必要なウランも海外から輸入されていますが、燃料のエネルギー密度が高く備蓄が容易であること、使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できること等から、資源依存度が低い「準国産エネルギー」と位置付けられています。
この原子力エネルギーを含めても、エネルギー自給率(エネルギー供給に占める国産エネルギーの割合)は、約18%にすぎません。

日本のエネルギー自給率4.0%の内訳(2004年)
水力    :35%
廃棄物   :27%
地熱・太陽光:16%
天然ガス  :12%
原油    :10%
石炭    :1.0%

ここまでは、エネルギー供給の内訳について調べて来ましたが、一方で国内のエネルギー使用量は、どうなっているのでしょう?
■国内のエネルギー使用(消費)量
経済産業省
国内の総エネルギー使用量は、2003年で1,600PJ(PJ:ペタ・ジュール)と言われています。
これは、国民に消費されるエネルギーだけでなく、輸出産業に使われる工場や製品流通に使われるエネルギーも含みます。
その時代別変化と構成比は、

       1973年         2003年
1.運輸部門:16.4%(1,800PJ)   24%(3,800PJ)
2.民生部門:18.1%(2,000PJ)   31%(4,900PJ)
3.産業部門:65.5%(7,200PJ)   45%(7,300PJ)
  総エネルギー:11,000PJ        16,000PJ

であり、今から30年前と比べて産業部門は、ほぼ横ばい。
明らかに運輸部門と民生部門が、倍近くのエネルギーを消費している事が分かります。
我が国の最終エネルギー消費は、80年代半ば以降一貫して増加して来ました。
産業:民生:運輸の割合は、4:1:1(石油危機)→2:1:1(2003年)と変化しており、企業部門の伸びに比べ、国民一人一人が原因者となる家計部門(家庭生活の際に消費するエネルギーと自家用乗用車の使用に伴うもの)の需要の伸びが高くなっています。
そこで、世界金融破綻以降の国内エネルギー消費動向について試算してみることにします。
国内の景気低迷を受けエネルギー消費量は、確実に縮小過程に入ることは明らかだろう。
・先ず、都市部における自家用自動車の利用は削減される。(ただし、地方では必需品か?)
・快適消費の削減(冷暖房の節約、照明の節約)によるエネルギー消費の半減
これまでの利便性や快適性にブレーキが掛かり、民生部門のエネルギー消費は、約半減する。
又、運輸部門であるところの、
・航空機や船舶の利用が縮小される。
・工業製品や建設資材の搬送運送が半減する。
これまでの海外旅行やレジャー産業は、一定ブレーキが掛かり縮小過程に入る。
かつ、物的需要の冷え込みから建設事業や大型輸送費も縮小過程に入る。
運輸部門及び民生部門は、「無駄なモノは、控える」と言った国民的共認も働いて、現在の約半分のエネルギー消費になるものと思われます。
次に産業部門のエネルギー消費:7,300PJは、どうかと言うと
産業部門の内、製造業:80%(5,800PJ)、非製造業:20%(1,500PJ)の構成であるが、今後低迷する輸出に直結するのが製造業で、製造に掛かるエネルギー消費は縮小される。
2006年のデーター「品目別輸出額の推移」によると
1.製造業における生産高:350兆円は、輸出向けの生産高:56兆円と国内向けの生産高:294兆円に区分することが出来る。
この輸出向けの生産高には、海外からの輸入資材や中間製品を含むので、同年データーの輸入額70兆円のうち、30%が生産活動の中間投入に使われるので、生産(供給)活動に投入される輸入財は、21兆円(70兆円×30%)と言うことになる。(原油なども、生産活動のエネルギーや輸送に使われる部分は、生産(供給)活動に投入される輸入財と考える)
生産(供給)活動に投入される輸入財(21兆円)の内の約25%が、輸出財の生産に使われているとするならば、輸入金額の内の5兆円(21兆円×25%)分は“再輸出”されていることになる。
ここで、製造業における生産高は、350兆円−5兆円=345兆円となり、輸出で形成された付加価値は、56兆円−5兆円=51兆円と言うことになり、国内生産高に対する輸出向け生産高の割合は、51兆円/345兆円×100=約15%となる。
※この輸入額の内の生産活動の中間投入による比率や輸入財の内の生産に使われる比率は、想定数字である為、今後詳細なデーター分析が必要です。
製造に掛かるエネルギー消費の内の約15%は、輸出に関わるエネルギー消費となるので削減される。
従って、産業部門のエネルギー消費量は、5,800PJ×0.85+1,500PJ=6,500PJとなる。
又、国内生産高も今後は、再利用やリサイクル化の流れから新規購入は、縮小される思われます。
※ここは、もっと突っ込みが必要なところではあります。
仮に約30%の削減が、実現可能とすれば、生産部門の総エネルギー消費は、6,500PJ×0.7=4,500PJまで削減されことになります。
■今後のエネルギー消費量は、
1.運輸部門:22%(2,000PJ)→2003年ベースの約50%を削減
2.民生部門:28%(2,500PJ)→2003年ベースの約50%を削減
3.産業部門:50%(4,500PJ)→2003年ベースの約62%を削減
  総エネルギー:9,000PJ
これは、ほぼ全国的にも「勿体無い」や「贅沢は、敵」と言う共認に移行している。
次世代の総エネルギー消費は、大雑把ではありますが国民生活や生産活動を維持する為に約9,000PJが消費されると考えられます。
確かな根拠は、見当たりませんが、今後のエネルギー消費の動向について調査して見たいと思います。30年前のエネルギー消費よりもかなり低い水準になるが、その使われ方や意識は大きく変わってくると思われます。
そして、諸外国に頼らずに必要とされるエネルギーを自国単独で確保できるか否かに掛かって来ます。
国民生活や生産活動と言ったあらゆる活動に影響のあるエネルギー問題(課題)
今後のエネルギー自給問題に引き付けて、その可能性について追求して行きたいと思います。
次回からは、石油や石炭に代わる自給エネルギー或いは新エネルギーについて紹介します。

List    投稿者 nakamura | 2009-02-20 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?6 Comments » 

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コメント6件

 バランス | 2009.08.10 23:21

>大量のマネー供給でバブル化が始まっているのは米国も全く同様で、
>実体経済の悪化を置き去りした最近のNYダウの異常な上昇がそれを物語っている。
異様なのは日本も同じですよね?
日本の今現在の実態からすると、平均株価
5000円でもおかしくないはずです。
まずは日本がつぶされる予定なんでしょうか?
しかし今の日本はいろんなことが起こりますね。
いたずらであろうオタマジャクシ事件から
はじまり、竜巻、皆既日食、政権交代の風、
長梅雨、裁判員裁判、あっと驚く芸能人逮捕
等々、正直最近の日本はおもしろいです。
締めは関東での巨大地震だといわれていますが、日本は本当に崩れ落ちてゆくんでしょうか・・・・・・。

 s.tanaka | 2009.08.11 0:31

バランスさま いつもコメントありがとうございます。
>異様なのは日本も同じですよね?
仰る通り!日本では公的年金なんかが大活躍してるようですね。
園田さんとこが書いてるようにB3ですかね。
日本が大変動期にあるのは間違いないと私も思います。
政治家も官僚もエリートも総崩れしたり暴走したり・・・。
地震で崩れ落ちちゃうのは困りますが、この混乱を乗り越えたら
何か新しい時代がやってくる?という期待感もあります。

 バランス | 2009.08.12 23:33

s.tanakaさん 
>バランスさま いつもコメントありがとうございます。
幼い時分には、親の給料や、税金のこと、
親類縁者との関係、世間の厳しさなど
わからなかった自分が今や家庭人となると、
いろんな世界がみえてきますが、まさに
こちらの情報は私にとっての想像すら
できない世界の話で、大変興味深いです。
ありがとうございます。
返事は結構です。

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