2013-09-23
2020年・日本の危機と突破口
9月7日のIOC(国際オリンピック委員会)総会で、2020年夏季五輪の東京開催が決まった。高度経済成長真っ只中の64年東京五輪から56年ぶりの大イベントにマスコミや政治家、スポーツ関係者は大はしゃぎだが、当時と今回では状況も意味合いも全く異なる。とても手放しで喜んでいられる状況ではない。
今回から数回、五輪というトピックを軸に、2020年までの日本を展望してみる。
前回の東京五輪があった1964年は、戦後の日本で初めて国債(建設)が発行された年でもある。
オリンピックと国債発行
もちろん、当時の日本の財政規模を超えて五輪投資の原資を調達するためだ。当時、建設国債は社会的資本の先行投資であり、中長期的な経済発展で解消されるという理屈が語られた。
しかし、この国債は、五輪から50余年を経て、GDPの2倍以上になる1000兆円まで膨れ上がってしまった。海外勢の保有率も増えて、「国内で消化しているから破綻はない」という理屈も次第に怪しくなってきた。
何よりも、311福島原発事故は全く収束の見通しが立っておらず、放射能汚染は確実に悪化してゆく。東電は半ば死に体で、廃炉や除染のコストは確実に国に覆いかぶさってくるだろう。
しかも、IOCのプレゼンテーションで安倍首相が「福島の状況はコントロールされている」「健康問題は、過去も、現在も今後も全く問題ない」と、大嘘をついてしまった。今後2〜3年で福島の汚染水は米西海岸に達し、兆を優に超える賠償請求が来るとの予測もあるにも関わらず、だ。
しかし、IOC総会での各国のプレゼンテーションなど茶番で、開催地は事前に決まっていたに違いないし、福島原発の事実と安倍首相の詭弁など、選考委員も含めて誰もが重々承知していた筈だ(福島の危機報道は海外の方が多い)。
それでもなお、今回東京が選ばれたのはなぜなのか。
現在、五輪開催地はどのように決まり、金貸しにとって何を意味しているのか。
2020年までに、世界は、日本はどのように動いていくのか。
日本は、どのように2020年を迎えれば良いのか。
これから、以下の視点で追求を進めていく。
1.商業化された五輪の経済効果とは?
2.開催地は誰が、どのように決定するのか?
3.なぜ東京なのか。金貸しのねらいは?
4.2020年までに世界情勢はどう動く?
5.それまでに、私たちは何をすべきか?
まず次回は、統合階級たちが浮かれている理由の一つである五輪開催の経済効果というものは、そもそもどのぐらいなのか?を見てみる。
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