【特集:デフォルト研究】(1)デフォルトの歴史
とりあえず10/17の米国デフォルト危機は回避されましたが、危機が去ったわけではありません。当面来年2月に先延ばしにされただけで、いずれデフォルトは必至です。
<米国議会>
果たして、米国債デフォルトはどうなるのでしょうか?緊急特集として、危機に備えて、あらためてデフォルトの事例、借金を帳消しにするスキムにはどのようなものがあるかを研究しておきたいと思います。
【特集:デフォルト研究】と題して、以下のような観点で追求したいと思います。
(1)デフォルトの歴史
(2)デフォルト事例(日本の終戦直後)
(3)デフォルト事例(ロシア)
(4)デフォルト事例(アルゼンチン)
(5)デフォルト(借金帳消し)スキムの整理
(6)バランスシートの起源
(7)中央銀行のバランスシートはどうなっている?
(8)帳簿上の処理で借金帳消しは可能か?
(9)米国債デフォルトはどうなる?
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先ずは、デフォルトの歴史を見てみます。
実は、歴史的にはデフォルトは決して特別なことではありません。武力支配の時代には、時の国家権力は武力を背景に、強制的に借金を踏み倒していました。
デフォルトは古い歴史の話だけではなく、現在に至るまで世界中のあちこちで起こっています。
●日本における徳政令の歴史
<8代将軍 徳川吉宗>
>江戸時代も徳政令がよく出ています。有名なのは8代将軍吉宗が享保4年(1719年)に出した「相対済まし令(あいたいすましれい)」です。これは、借金とか売掛金とか、金銭に関する争いに幕府は口を出さないというもので、その裁きをしないと宣言したものです。つまり当のお上自身が「踏み倒し」を認めてしまったのです。
>江戸時代は、藩も徳政令を出しています。江戸時代も末期になると、藩財政が逼迫し、困った藩では永久国債のようなものを出しました。商人から藩が借りたお金、これを「大名貸し」と言うのですが、これが返済不能になると100年債にして払うというような取り決めが強制的に決められたのです。その時点で金利の支払いは打ち止めにされ、元本の支払いだけを残しました。
>しかし、その支払いは、たとえば10万両なら100年還付で払うというものでした。これで、不良債権は事実上なくなりますが、どう見ても踏み倒しです。ところが歴史の本にはこれが「藩財政の建て直し」と書かれています。
<リンクより引用>
●歴史上、デフォルトは頻繁に行なわれてきた
>有名なのは、16世紀の強国スペイン・フェリペ二世の場合。
>他国の銀行から借りていた多額の戦費を自らの都合で4回も踏み倒しています。
>その後、スペインは1900年までに13回の踏み倒しというデフォルト回数の世界記録を保ち続けています。
>デフォルトは何も古い歴史の話だけではありません。
>1800年以降から現在にいたるまで、世界のどこかでデフォルトが起きています。
>4割以上の国がデフォルト状態になっているピークが4回も繰り返しています。
>最近では、1998年にロシア。2001年にはアルゼンチン。その他にもアフリカ、アジア、中南米で数多くのデフォルトが起こっています。
<リンクより引用>
●歴史にみる、国家のデフォルト
1800−1815:ナポレオン戦争時
オーストリア、フランス、ロシア、ドイツの州
軍費が嵩みデフォルト
1826:ギリシャのデフォルト5回のうちの1回目
オットー王が財政を安定化させようと、
無駄にお金を使ったのが原因
1932:ドイツ
ハイパーインフレと
戦争と賠償金と景気後退などで、
アメリカの投資家の債務ヘのデフォルト
1973−1989:ラテンアメリカの16カ国
このせいでCitibankが潰れかけた。
1994:メキシコ
突然のペソの切り下げ
この切り下げにより危機が起こり、
米財務省が介入
1997−1998:アジア通貨危機
タイ、インドネシア、韓国が自国の通貨危機のため
ドル建の借金が返せなくなった。
IMFが救済。
2001−2002:アルゼンチン
公的債務の支払いを一時的に停止。
ドルへのペッグ制の廃止。
<リンクより引用>
●世界のデフォルト経験国家一覧表(第二次大戦以降)
<リンクより引用>
リンク先の一覧表を見ると、途上国では頻繁にデフォルトが起きています。
先進国でも、戦後は日本、ドイツ、ロシア等がデフォルトを経験しています。
(終戦直後の日本、ロシア、アルゼンチンの事例は、次回以降、詳しく取り上げて行きます。)
しかし、なぜデフォルトはかくも頻繁に起こるのでしょうか?市場社会が抱える必然的な構造があるのではないでしょうか?
■考察:国家がデフォルトに追い込まれる必然構造?
>要するに、市場はどこまでも私権闘争の抜け道でしかなく、従ってそれ自体では決して自立して存在できず、国家に寄生するしかない。だから、市場は、云わば国家というモチに生えたカビである。
>市場が国家の養分を吸い尽くせば、市場も国家も共倒れになるだけである。国債の暴落をはじめ、その可能性は充分にあると見るべきだろう。
<超国家・超市場論11 市場は社会を統合する機能を持たない>より引用
<モチに生えたカビ:イメージ>
市場拡大の原資として、国家は借金をしてモチを大きくするが、国家に寄生する市場というカビが繁殖し、モチの養分を吸い尽くせば、借金だけが残り、国家はデフォルトに追い込まれる。
デフォルトとは、金貸しが市場を拡大させるために、国家に金を貸し、国家の支払い能力(税収等の基礎的収入)を超える浪費をさせる結果、必然的に起こるものと考えられる。
★ちなみに、<世界のデフォルト経験国家一覧表(第二次大戦以降)>の記事には、デフォルト回避策として気になることが書いてあります。
>国内債務のデフォルトは紙幣増発で簡単に処理できるが・・・
果たして、紙幣増発でデフォルトは回避できるのでしょうか?気になりますね。
この点は、この特集シリーズで取り上げる予定です。
続きをお楽しみに!
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