2009-02-21

「鎖国」の可能性を探る!ー5 『エネルギー』 マグネシウムの可能性を探る

今回はエネルギー源として Mg マグネシウムを扱います。
マグネシウムと聞くと、年配の方は写真のフラッシュが思い浮かぶのではないでしょうか。
閃光を放ちボッと燃える、あれです。
若者にとっては、ノートパソコンや携帯のボディが思い浮かぶのでしょうか。車の部品にも軽量化のために使われています。
あと、食品で言えば、豆腐のにがりですね。さらに、人間にとってMgは微量ですが必要で、摂取しないと病気になるそうです。
この割と身近なマグネシウムがエネルギーになるという面白い話が、
実は2年前ほどから話題に上がっています。
images.jpg
ふぉとカフェ   マグネシウム合金製のカメラのボディ
さて、どうなのでしょうか? 調べてみました。
その前に

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Mgのクラーク数は8(地球上で8番目に多い金属。ちなみに鉄は4)
海水中に1800兆トン含まれ、事実上無尽蔵といえる金属。比重は1.74で利用金属の中では最軽量。
現状のMgの生産は、
熱還元法(ピジョン法)・・ドロマイトを酸化物として、Fe—Siを用いて、高温真空で還元
電解法・・・MgCl2溶融塩を電解して還元 
があリます。
主要産地である中国は、石炭を大量に使い熱還元法、他国は電解法が多い。どちらにしても相当なエネルギーを使って還元している。当然日本では生産していない。
こうして、苦労して取り出したMgをエネルギー源にする?
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日経エコノミー
東京工業大学の矢部孝教授によると
一般家庭で1ヶ月に消費する電力は約300キロワット時で、35センチ角の
マグネシウム(73キログラム)でまかなえる。現在、工業用に海水から精錬される
マグネシウム1キロあたり100円ほど。燃焼後に残るのは酸化マグネシウムと水だけで
二酸化炭素は発生しない。

この段階だけだと、Mgを石炭の変わりに軽くて使いやすい固形燃料として使うという事。1Kgのマグネシウムから25メガジュールの熱が出る。これは石炭の半分ぐらい。同時に発生する水素も燃えるので、70パーセントぐらいになるそうです。
しかし、これでは確かに軽くて使いや安いかもしれないが、いまどきだるまストーブは無いし、どうやって使うのか???
前提は、どうも、次代のエネルギーは水素であるという事のようです。水素を燃やして発電する燃料電池に供給する水素をどうする?現状の水素の生産方法については 連山」にくわしく 紹介されています。参照してください。ちなみに「連山」ではバイオマスからの水素製造に期待が寄せられていますが、それ以外に無いのでしょうか?
これがまず大きな課題。さらに、
水素社会の実現に向けての課題の1つに、大量の水素の貯留をどうするか?があります。
これを解決しようとするのが以下のシステムです。
Mgを水和反応(Mg+H2O=MgO+H2)させると水素が発生します。
つまり大量のストックや移動時はMgの形で行い、使いたい時に、取り出すシステムを作ろうという事のようです。
さらに、残ったMgOを還元(MgO+2e-=Mg+(1/2)O2)してリサイクルしようというものです。
しかし、このシステムが実用化しても、もし日本が鎖国した場合、Mgの輸入が途絶えればおしまいですね。とすると鎖国後の日本はMgをエネルギー源にすることが出来ない?
ところが、そうでもないようです。
さらに、システムが複雑になりますが、システム図のように出来れば、自給が可能になります。
1: 海水から純水を造り出す。この純水は食料自給に(ちなみに必要な量は水880億tと言われています。これを河川からとると、湖などが干上がってしまいます)、工場用水の為に利用する。その際に含まれるMgを回収する。ただし塩化マグネシウムであれば、還元する為に、電解法が必要=エネルギーが必要。直接Mgイオンを取り出せれば不要ですが?これもめっきの要領で回収するんでしょうからやはり電気が必要。
2: 取り出したMgから水素を取り出し、水素社会をまかなう
3: その際に発生するMgOをリサイクル還元する。この還元に太陽光励起レーザーを使うのがキモ。
つまり、1と3で造られたMgが発生するエネルギーと得られるエネルギーがどっちが多いか?が重要。
マイナスになるんであれば問題外ですね。
それと最終的に得られるエネルギーの量が、今後求めるエネルギー量を満たす事が出来るのか?
このカギをになっているのが「太陽光励起レーザー」の技術開発。太陽光を利用する事で省エネ。
これがうまくいけば、石油に代わるエネルギーとして水素を使う為にMgが使えます。
そうすれば、大きな声で『鎖国しても大丈夫』と言えるかもしれません??
さて、この研究は可能性が高いのか、それとも研究費稼ぎの研究に終わるのか?と言う批判の声もある中、
矢部教授は3年で実用化を訴えましたが、その3年目って今年。
良いニュースが飛び込むのでしょうか?

List    投稿者 genkin | 2009-02-21 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?4 Comments » 

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コメント4件

 日本を守るのに右も左もない | 2009.08.07 23:58

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