2006-11-19

地価動向の推移〜2006年基準地価から

1:昨今の地価動向
「三大都市圏 16年ぶり上昇 脱・土地デフレ色濃く」、先日発表の2006年基準地価を伝える新聞の見出しである。特に東京23区では全て上昇、大阪も上昇に転じており、名古屋の商業地の値上がりも注目すべき内容である。一方、地方圏では下落幅が縮小しているものの未だ水面下にあり、こうした傾向の要因を大きくまとると下記のようになる。
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<大都市圏の上昇原因>
(1)景気の回復・拡大、企業の好調な業績によるオフィス・店舗需要の高まり
(2)雇用環境の好転(所得の増加・失業率の低下)による住宅に対する需要が堅調であり、更に増加の兆も見えること
(3)再開発によるインフラ整備・利便性の向上(社会的集積性)で大型・高層オフィスビル・マンション等に対する需要が非常に高いこと
(4)不動産投信(REIT)等、数兆円に及ぶ投資マネージャーの流入
<地方圏で下落が止まらない原因>
(1)人口減少にもかかわらず、スーパーマーケット等の進出で市の中心地が郊外へと軸足を移していること
(2)中心市街地の大型店舗の撤退などで空洞化が進んでいること
(3)かつては大都市の地価上昇に伴い地方も上昇したが、今は商業地を中心に収益性が地価に大きく反映し、下落に歯止めがかからないこと

2:売却益から収益価格へ
大都市圏の公示地価上昇の牽引役は、実物資産である不動産を小口化し、内外の投資家から資金を集めたREITやファンドを通じ、投資するという仕組みである。不動産の価格を形成する要因として一般的に「住宅地:生活の利便性・居住の快適性」「商業地:収益性」「工業地:生産性」といえるが、これは、バブル時の売却益を狙った投資とは異なり、テナントからの賃料による「利回り収入」を狙う投資として再構築された、株式でいう「配当」を期待した投資行動に近いものといえる。2005年にはREIT等を通じて年間約1兆4000億円もの資金が大都市圏の不動産マーケットに投下されたため局地的に過熱した取引も見られ、これが大都市圏にバブル懸念さえ引き起こしている。また、前回のバブル期には主に売却益を目的として売買され、収益性は軽んじられる傾向があったが、現在商業地やマンション適地等では有効活用することによる収益性が重視されている。つまり不動産は収益価値が重視され、その結果、収益性に相応して二極化をもたらしている。
3.今後の動き
かつて外資の不動産ファンドが不良債権化した不動産をバルクで購入した。それらがこれまでに数回にわたって転売されている。売却のたびにキャピタルが上乗せされるので、転売物件はもはや限界に近いところまで価格が上昇している。不動産ファンドとてうかつに手を出せない状況で、実際、昨年後半あたりから、ファンドマネーが急激に地方に分散し始めた。その5割強は関西圏に落とされたのではないかといわれている。一挙に投下資金が集中したことで、関西都心部の、特に商業地の地価が急激に上昇している。北区、中央区等の大阪6区と京都市、神戸市が特に上昇。今後も、収益性のみこめる地方都市にはこの傾向がみられていくのではないかと考えられる。また、「まちづくり三法」(延べ床面積が1万平方メートルを超える大型集客施設の郊外立地を原則禁止し、市街地中心部の商業地域などに限定することが柱)の改正によっても、地方都市の動向が注目されていくことになろう。
BY シロハナミズキ

List    投稿者 orisay | 2006-11-19 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?3 Comments » 

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コメント3件

 ゴクウ | 2006.11.30 22:36

なんかインパクトある画像ですねぇ・・。
ところでいくつか出された事例ですが、これはオリメンさんの指摘する【私権】が活力のあった時代の様式でしょう?
そのときと【チームワーク】重視となった今とで、どう取り組みが違うんでしょうか?
う〜ん、気になる。

 TOYA | 2006.12.01 3:00

『個人成果』に活力を見出していた時代は終わった。今後は、『共同成果』に活力を見出す時代になった。だから、コミュニケーションが重視されるようになった。ということですかね。
(野村総合研究所の調査による)
> 今回の調査では、現在勤めている会社の経営理念やミッションを、「知っているが自分にはピンとこない」人が57.1%、「知らない、忘れた」「そもそも関心がない」人が計14.3%でした。
という状況が一番やばいですね。これでは、『仕事で一体感を得る』なんで皆無でしょう。そうであれば、何であれコミュニケーションの機会を増やせばよいというわけではなく、中でも、『仕事=課題を互いに理解しあうなかで培われるコミュニケーション』がもっとも効果がありそうですね。
 

 wholesale bags | 2014.02.09 19:36

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 活力のない企業

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