経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ:第7回 日本の政治を動かしているのは政治家ではなく官僚だ!
今回の「経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ」シリーズでは
一.世界の経済(政治)に何が起こっているか
二.近代市場社会、市場原理はダマシだ
を、るいネットの秀作投稿等を参照しながら、扱ってきました。
今回は、三.欺瞞観念では答えが出せない、官僚・マスコミ特権階級 を3回にわけて扱いたいと思います。
シリーズ通算第7回になります。タイトルは、『日本の政治を動かしているのは政治家ではなく官僚だ!』です。
るいネット秀作投稿よりリンク
(引用元は中村敦夫氏/著の『この国の八百長を見つけたり』となっています。)
1.官僚がのさばる国で苦しむのは国民だ
2.国会議員は八千人の官僚たちに囲まれた人質だ
3.日本のすべてを決定するのは各省庁の事務次官たちだ
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1.官僚がのさばる国で苦しむのは国民だ
……3年前のことですが、私が脚本・演出を担当したオペレッタ劇『RATS……ラッツ・霞ヶ関のドブネズミ・大蔵省』を東京各地区で公演しました。主役の大蔵官僚が5匹のネズミになって登場し、バブル経済についていろいろと質問する国民に向かって「オ東京大学のオ法学部を出ていない奴等は平民である」と、徹底的にバカにする。そういう喜劇なのです。日本という社会の窮屈さの原因は、官僚がのさばる政治システムにあるのではないか、というのがテーマになっています。
なぜ、RATS、ネズミなのかというと、あの度し難い陰気さが漂っている霞が関の建物のなかでは、眼鏡をかけた官僚たちがグレーと紺のクラーい背広を着て、廊下をトコトコトコ走り回ったり、部屋の片隅で何やらヒソヒソやっている。それを見て、「連中はネズミみたいだな」と感じたのです。
霞ヶ関へはよく行くのですが、あそこには血の通った人間がいないのです。一つの制度が化け物のように権力を持って動いているだけの話です。それを国民が「凄いものだ」と受け取って、ほとんど抵抗しないし、一時的に怒ったり騒いだりしてもすぐに忘れて従順になってしまう。こんなことをやっていては永遠に官権構造を変えられない。
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2.国会議員は八千人の官僚たちに囲まれた人質だ
官僚たちが思いのままに政治を主導しているなら、それではいったい、国会議員、政治家とは何なのか。ネズミの集団に包囲されたネコかもしれません。
たとえば、法務委員会の理事懇談会は9人ぐらいでやりますが、その横に官僚たちがずらりと並び、どんな私語も聞き漏らさないように、全員が聞き耳を立てて監視しています。われわれはまるで人質みたいな存在なのです。これが国会の縮図です。
国会議員は衆議院500人、参議院252人、約750人しかいない。そして政策や法案をつくるという本来政治家がやるべき仕事を代行している霞ヶ関の高級官僚が約8000人いる。750人に対して十倍強もいるわけです。屡するに、8000人の官僚たちに囲まれた750人の人質が国会議員なのです。そして、8000人の総意でもって決められたプログラムを、民主主義の儀式として、いちおう国会が決定するような、そういう段取りに追い込まれている。これが「この国のかたち」です。
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750人対8000人、この勢力関係は、永田町(国会)と霞が関(官庁)の縄張り面積に端的に表れています。
政治は何によって権力を示すかというと、立法によって権力を示す。法律をつくることによって世の中を動かすわけです。これが法治国家の基本です。国家の立法機関、本来ならば政党や政治家たちが立法しなくてはいけない。ところが、そんなことは例外的にしか行なわれたことがないのです。ほとんどその権利を放棄しているというのがこの国のかたちです。立法府が立法をしていない。
法案には議員提案もないことはないが、内閣提案と言われている法案がほとんどです。しかしこれは内閣にいる大臣がつくったわけではなく、実際は官僚作成のものばかりなのです。法案が内閣決定される時には、政策でもそうですが、総理大臣には権限がなく、閣議決定ということになります。ここが大統領制と違う議院内閣制の特徴で、総理大臣には大統領のように最終決定権はありません。閣議で全員が賛成しないとダメだというシステムになっている。その閣議のメンバーたるや、これもまた、その分野の専門家でもないのに、派閥の順番でたまたま大臣になった人々です。ですから、法案などわかるわけがない。総理大臣も各大臣も誰でもいいわけです。
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3.日本のすべてを決定するのは各省庁の事務次官たちだ
閣議では何かが最初から検討されるわけではなく、決めるテーマなり材料なりが上がってくる。どこから上がってくるかというと、各省庁の事務次官会議で調整されて上がってくる。閣議では、ただハンコを押すだけが仕事です。ということは、日本のすべての方針は、事務次官会議で決定されるということになります。
つまり、各省庁の事務次官は、各分野の日本の代表なのです。国民の選挙で選ばれていない官僚が、実質的には代表になっているという摩訶不思議な官僚国家が日本というわけです。ですから、はっきり言って国会の運営というのは、もはやかたちだけのもので、儀式と して行なわれているということです。
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事務次官等会議についてウイキペディアから
事務次官等会議は会議の翌日に開かれる閣議に備えて、各省庁から提出が予定されている案件を事前に調整していた会議である。構成員は内閣官房長官(主宰)、内閣官房副長官(事務担当)、内閣法制次長、各府省の事務次官、及び警察庁長官、金融庁長官、消費者庁長官である。
内閣官房長官が主宰する会議であるが内閣発足直後など特別の場合を除き、通例内閣官房長官は出席しない。内閣官房副長官(事務担当)が会議を取り仕切る。
特に設置根拠法のない会議であるものの事務次官等会議で調整がつかなかった案件(反対のあった案件)は翌日の閣議に上程されないことになっているなど、政府の政策決定過程において重要な位置を占めていた。
では、与党政治家などが何をしているのかというと、各委員会で始めから終わりまで坐っているだけです。自分たちでつくった法案ではないから、あまり関心もない。質問者だけが少しわかっていても、その他の議員には坊さんの読経のように聞こえる。質疑が4時間も5時間も続くのですから眠たくもなるでしょう。
それも委員会に出てくる人はまだしも、全員が出ているのは初日だけで、あとはまばらになる。あんまりガラガラなのもカッコ悪いとあって、代わりばんこに来ては、座るなり寝てしまう。だから粛々と議事は進行し、まことにスムーズであるとお褒めをいただくわけです。
官僚機構という大海に浮かぶボートに乗った政治家は、潮の流れに逆らいさえしなければ、安全で平穏な毎日を保証してもらえるという構図ができているのです。しかしそのボートがどこに向かっているのか、どこへ行こうとしているのかはわからない。わからないのは政治家だけでなく、じつは官僚にも本当はわかっていない。なぜなら役人のつくる波は、目先の省益だけを目指しているからです。私たちはいま、凪のように見えて、じつは恐怖の海を漂流しているのです。
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上記の内容は自民党時代の話だったのですが、民主党がH21年8月の総選挙において政権を奪取し、事務次官会議を廃止し、鳩山内閣では政務三役会議にも事務次官は出席させないことになったのです。
しかしながら菅政権になりこの事務次官会議がもう復活の兆しが見えています。
厚労省、政務三役会議に官僚出席
厚生労働省は11日、政治家のみが出席していた政務三役会議について、事務次官ら官僚の省幹部にも出席を認めることを決定した。仙谷由人官房長官が昨年末に政務三役会議への官僚同席を求めたことを受けた措置で、同日の政務三役会議から事務方が出席した。
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各省庁事務次官等に対する訓示
平成23年1月21日、菅総理は総理大臣官邸に各府省事務次官等を招集し、訓示を行いました。
菅総理は、「一つは、省庁間の調整であります。従来は事務次官会議というものがあることによって、各省庁の調整が進められてきたという風に理解しておりますけれども、省庁間の調整は各大臣の間、あるいは副大臣の間で調整をするといういわゆる政治家のルートと並行して各省庁の事務次官なり、局長なり、それぞれのレベルでの調整が必要だということは当然のことだと思います。それぞれの役割の中で、役目を果たしていただきたいということであります。
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自民党政権時代には、官僚が数多く法案を立案し、事前に事務次官会議で調整されて内閣府から国会に提出されていました。議員が作成した法案の数に対し圧倒的な比率の高さで官僚が作成した法案が成立していました。民主党政権になり「立法は国会議員が担うべし」との考えから、123年も続いた事務次官会議を廃止したのは画期的な出来事でした。
H21年12月には当時の仙石戦略担当相が、事務次官の廃止や局長、部長、審議官などの幹部職の人事を官邸の意思で移動させることを可能にした「国家公務員法等改正案」を提起しました。しかしながら「次官廃止」は原口総務相以外、鳩山首相以下殆どの閣僚が消極的な姿勢を示し、案に盛り込まれませんでした。実質の人事権を握れず、彼らの身分を温存させてしまったのが腰砕けになった原因だと思われます。
事務次官という身分を梃子にして、官僚達(特に東大出身の幹部官僚達)は力関係を再度逆転させるべく復活を虎視眈々と狙っていた事でしょう。
今回、さすがに事務次官会議を直接的には復活させることはせず、「幹部会議」と名づけた政務官との会議に出席させ円滑な調整を図るという意図のようですが、訓示では、事務次官たちには「仕事をしっかりやってください」とお願いする迎合的な姿勢しか感じられず、いずれは官僚のいいなりに戻ってしまう予感がします。
事務次官会議をめぐる経緯は詳しくは「日々坦々」さんの資料ブログを参照して下さい
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