2011-03-31

経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ 第12回 強い独立意識を持った沖縄 基地の現実を直視して独自路線に踏み出す

このシリーズ「経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ」では、以下の論点を扱ってきました。 
 
 一.世界の経済(政治)に何が起こっているのか 
 ニ.近代市場社会、市場原理はダマシだ 
 三.欺瞞観念では答えが出せない、官僚・マスコミ特権階級 
 四.民主党政権は何故変質して、行き詰ったのか 
 
前回「実現の論理を持たなかった民主党の転向と敗北」では、現実否定意識に基づく近代思想から脱却できず、否定の論理しか持ち得ないことが、民主党が敗北し転向した根本原因であって、現実を対象化し方針を打ち出すには、 
 
 ・現象事実の発掘
 ・その現象事実の背後にある人々の意識状況の固定
 ・意識状況から来る課題の設定
 ・人々の意識状況に根ざした方針が必要 であると位置づけました。 
 
今回の12回以降は、新たな可能性の芽生え、実現に向かう基盤について考えて行きます。 
 
東京から遠く離れ、厳しい現実に晒された所に、新しい萌芽が見え始めています。
もっとも厳しい現実に置かれた沖縄を見てみます。 
 
1.脱基地依存経済 台湾—沖縄連携論 
 
2.日本政府(東京)・米国と対峙し、独自路線に踏み出した沖縄 
 
 jika_01.jpg 
 琉球舞踏よりお借りしました 
 
いつも応援ありがとうございます。 
 
 
 

にほんブログ村 経済ブログへ


1.脱基地依存経済 台湾—沖縄連携論 
 
オルタナティブ通信さんは、沖縄が基地依存経済から脱する提案をされています。

沖縄に無税の経済特区を作り、アジア最大の金持ちである台湾の華僑に沖縄の経済開発を「担当してもらう」制度を整備すると、経済成長著しい中国への中継港として沖縄は発展する事になる。中国には、巨大タンカーが入港できる港湾が香港以外に無い。 
 
その事を一番、良く知っているのは、「中国への最大の投資家」である台湾の企業経営者達である。4方面を海に囲まれ、位置的に太平洋と中国の中継地点にある沖縄に港湾整備と無税の経済特区を形成する事によって、沖縄は太平洋の物流基地として大発展する。米軍基地への経済的依存は不要になる。 沖縄から米軍基地を撤去する経済的・現実的な基盤を作る事が出来る。 
 
こうして台湾経済と沖縄経済を一体化させ、相互に密度の高い貿易協定を締結する。この貿易協定に、東南アジアから台湾・中国間の海峡を経由する日本のシーレーン・航路の安全保障も組み込む。台湾そのものへの太平洋方面からの物資供給(軍需物資を含む)も、沖縄を経由するルートを開拓し、パイプを太くして行く。貿易協定に加え、沖縄と台湾との文化姉妹都市、さらには政治・軍事協定まで視野に入れる。 
 
中国が、米軍との軍事衝突を避けようと考えれば(それが常識である)、沖縄にも、台湾にも「手が出せない」構造を「作り出す」。これが日本にとっても、台湾にとっても最大の安全保障になる。この安全保障を維持するためには、世界最大の金持ち=台湾華僑にとって沖縄は「生命線」となる。華僑は「死にもの狂い」で沖縄の経済開発を行うであろう。 
 
地図を眺めて見ると、沖縄以外に、中国への巨大物流センターに成り得る海上の孤島は「無い」。従って「大国・中国を生かすも殺すも」沖縄=日本次第、という経済構造を作る事は、「歴史的必然」である。大国の横暴を抑えるためには、小国が大国の「支配権」を握る必要がある。小国が主導権を握る時、世界に平和が訪れる。 
 
沖縄・米軍基地問題の解決策

この提案は世界情勢を把握し深い分析の上で、沖縄(日本)が米軍基地を撤去し、日本からも縁を切ってでも自立できる道があることを示してくれます。 
 
 
2.日本政府(東京)・米国と対峙し、独自路線に踏み出した沖縄 
 
▽もともと沖縄は独立国であった

沖縄が米軍基地へ依存する経済構造は完全に克服される。沖縄が、中国、台湾、東南アジア、さらには南下して、ポリネシア、ミクロネシアとの交易で生きて来た、古来からの琉球文化圏・経済圏の復活である。 
 
沖縄は現在、日本の「植民地支配」の下にある。
沖縄は、この琉球文化圏を経済的に堅固なものとした後、日本から独立する。 
 
沖縄・米軍基地問題の解決策

かつての琉球王国は。

勢力圏は小さな離島の集合で、総人口17万に満たない小さな王国ではあったが、隣接する大国明・清の海禁や日本の鎖国政策の間にあって、東シナ海の地の利を生かした中継貿易で大きな役割を果たした。その交易範囲は東南アジアまで広がり、特にマラッカ王国との深い結びつきが知られる。 
 
ウィキペディア

4方を海に囲まれ、位置的に太平洋と中国の中継地点にある沖縄に港湾整備と無税の経済特区を形成する事によって、沖縄は太平洋の物流基地として自立できる可能性を秘めている事を改めて知ることが出来ます。 
 
▽ウチナーンチュ魂が爆発した10万人集会 
 
沖縄は、日本有数の移民県で、戦前戦後を通じ多くの県民が海外へ雄飛し、現在、北米・南米をはじめ世界各地に36万人を超える県系人が在住し活躍しています。今では5年に一度、「世界のウチナーンチュ大会」を開催し、独自の言葉を持つウチナーンチュ(沖縄人)の絆(民族意識)を深めています。 
 
  18-8-2.jpg 
  世界のウチナーンチュ大会より 
 
2009年9月に発足した民主党鳩山内閣の脱米政策(対等な日米関係の構築とアジア重視の外交政策)は、沖縄の人たちの意識を大きく変える契機となりました。普天間米軍基地返還を巡って、鳩山首相の少なくとも「県外移設」、できれば「国外」への発言で、それまで県内移設を甘んじて許容しなければ沖縄は成り立たないという諦めの意識を目覚めさせたのです。 
 
県民の心を一つにした2010年4月25日の沖縄県民大会は、ウチナーンチュ魂を国内外に知らしめました。地元新聞は号外まで出して県民大会の成功を報じています。
  img4bd3dce8bca7c.jpg

沖縄現地へは、できるだけ来ないでください。ヤマトからの「動員」で、10万人集会ができても意義は「半減」します。あくまでも、ウチナーンチュ(沖縄人)が主体となって頑張り抜きましょう。 
 
本土の助けを借りずに、沖縄県民だけで10万人を集めようというわけです。見事な決意と覚悟ではありませんか。でも、本土からの応援があっても良いでしょう。沖縄に行く人がいて、東京などでも集会を開いて、沖縄県民のみならず日本国民がおしなべて普天間基地の撤去を求めているのだということを示せば良いのですから……。 
 
五十嵐仁さんの転成仁語より

沖縄の人たちの強い意気込みを感じます。

政権交代と鳩山首相の対応がなければ、このような状況は生まれなかったからです。 
 
沖縄県民の基地撤去に向けての要求が爆発したことことです。これまであきらめていた沖縄の人々が、政府や政治家まかせにせず、自らの問題として解決に向けて立ち上がりました。 
 
五十嵐仁さんの転成仁語より

『もう政治家や官僚にまかしておく訳にはいかない。自分たちのことは自分で解決するしか道は残されていない』という沖縄の人たちの決意表明です。 
 
▽直接、米国政府と対峙するまでになった沖縄 
 
一度火がついたウチナーンチュ魂は、米国政府とも真っ向から対峙し始めました。 
 
3月6日にメア部長の沖縄侮辱発言が報道で表面化し、8日には、県議会をはじめ、那覇市など3市町議会が全会一致で抗議決議を可決し、10日までに県内41市町村のほぼ半数にあたる23市町村議会が抗議決議を行ないました。 
 
沖縄住民の強い抗議の前に、当初はキャンベル国務次官補が訪日して「個人的に陳謝する」と発言していましたが、10日には次官補が「米国政府を代表して心から謝罪し、深く遺憾の意を表する」と謝罪しました。同日メア部長の「更迭」を発表しました。 
 
ルース駐日大使が仲井真沖縄県知事に「沖縄に深い心痛を与えた最近報道された発言に心から謝罪と遺憾の意をお伝えしたい」と発言したところ、知事はこれに対し、「米国と沖縄の関係回復には時間がかかる」と指摘。「早い時期に信頼関係が回復されるよう、今は祈るしかない。今日はこれくらいにしましょう」と短く答え、会談を約13分間で打ち切ってしまいました。 
 
東京の日本政府、官僚は、莫大な赤字を出して予算配分をおこなっているだけです。しかし、もはや、お金では沖縄の人々の心を縛ることができなくなっています。 
 
沖縄の事は、自分たちウチナーンチュで決めていくという沖縄の独自路線が、ここに来て顕在化しました。我々は、この沖縄の独自路線に、新しい社会に向けた一つの可能性を見る事ができます。 
 
次回は、独自路線を歩み出した「どえらいおもしろいまちナゴヤ」を扱います。 
 

List    投稿者 unkei | 2011-03-31 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?6 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2011/03/1550.html/trackback


コメント6件

 通りがかり | 2012.02.29 21:58

とてもためになりました。
野田さんはそろそろ退陣していただきたいところですね。
ところで、今の経団連の会長は御手洗さんではないと思います。念のため。

 フォルテ | 2012.03.03 23:09

輸出戻しについてですが、もし下請け企業に部品代100万しか払わず、下請け企業は残り5万を自腹で払ったとしたとしても、大企業であればあるほど上場している可能性があり内部統制上の問題が出てくると思います。
大企業も国に納めるものは納めているから違法ではないかもしれませんが、帳簿上問題ありませんか?
100万の取引のものは、95万としてつけているということなのでしょうか?
いつもブログ参考にさせていただいております。

 ルイヴィトン バッグ | 2013.07.04 14:51

突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました!

 ルイヴィトン アウトレット | 2013.07.06 0:03

匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。

 keywords3 hermes handbags | 2014.02.02 2:03

hermes bag 50k 金貸しは、国家を相手に金を貸す | これからの税制どうする? 第1回〜消費税増税するのなんで?

 hermes wallet | 2014.03.13 7:13

hermes handbags wholesale 金貸しは、国家を相手に金を貸す | これからの税制どうする? 第1回〜消費税増税するのなんで?

Comment



Comment