2011-01-22

経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ 第5回:新分野開拓による成長戦略は もはや妄想である

第3回「市場の本質は、徹頭徹尾”だまし”である」、では「市場」が、社会全体を取り込んだ”だまし共認”によって成り立っており、それこそが市場の本質であり支配力の源泉であることを突き詰め、第4回「架空の経済成長 金融デリバティブはネズミ講」では現在の市場経済システムがいかに歪んだものになっているのかを明らかにしました。
今回は「るいネット秀作集」の「政府の成長戦略は間違い。新製品の景気牽引力は弱まっている。新分野開拓による経済拡大はもはや妄想に近い!」(森永卓郎氏 厳しい時代に「生き残る」には)るいネットを基にして、統合階級の妄想を断罪します。
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傾斜生産方式で戦後復興を支えた石炭産業 毎日JPから引用
1. 新製品による成長は、10年毎に半減している。
2. 新製品・研究開発支援は間違っている。
3. 政府・経済産業省は過去の方式から脱却できていない。
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1.新製品による成長は、10年毎に半減している。

利用したのは、通商産業省(現経済産業省)発表の「鉱工業生産指数」という統計だ。
過去10年間に登場した「新製品」が同指数の付加価値ウェイトのなかで何パーセントを占めているのかを調べてみたのだ。
結果は衝撃的なものだった。
1960年の新製品比率は45.3%と、ほぼ半分を占めていたのに対して、70年は18.4%、80年は10.8%、90年は5.8%と、10年ごとに半減を繰り返していたのだ。
2000年は計算をしていないが、おそらく同様のトレンドでさらに下がっているだろう。
当時から「激動の時代」といわれていたが、実は「新製品」が経済を引き上げる力はどんどん弱くなっているのだ。
つまり、歴代政権が志向してきたように、何か「新しいもの」が経済をドーンと引き上げるという発想は、もはや現実離れをした妄想に近いものになっているのだ。るいネット

そういう事だったのですね! 
同様のトレンドで半減しているとすれば、90年が5.8%ですから現在ではわずか1.45%の
付加価値ウエイトしかないということなんですね。いや、驚きました。 
 
2.新製品・研究開発支援は間違っている。

そのような時代に、政府が経済成長の牽引役としての「新しいもの」を生み出すために企業などに研究開発支援などを行っていく、というのは間違っていると思う。
古臭い、時代遅れの感じもする。るいネット

森永氏の言わんとすることを代弁する記事があります。

技術が素晴らしくて良い物を安くできる技術があったとしよう。かつての日本商品が世界で活躍したのは、その技術が素晴らしいので「良い製品を安く作る」ことが出来たからだ。
たとえば「世界の平均的な技術では、この性能のテレビが10万円」という時に、日本の家電メーカーは「7万円」で作った。だからたとえ9万円で売っても 2万円だけ有利だった。
これが技術者の誇りだ。
そして、「安い」ということは「技術が良いので、無駄が少なく、省エネルギーで製品ができる」ということだから、技術としては鼻高々だ。
ところが技術が拙劣で12万円もかかるとすると、2万円の補助金を貰って10万円にしないと世間様と太刀打ちできない。
つまり、補助金とは「自分の技術はこんなに劣っています」ということを世間に公言することに他ならない。そんなことは技術者にとって耐えられないことだ。
太陽電池の補助金は大規模研究補助の時代もいれて40年を越える。
ある時に私は太陽電池の大メーカーの技術担当重役に「なんで補助金など貰っているのですが。こんなに長い期間にわたって貰うのは技術者としてどうですか?」とお聞きしたら、「本当は貰いたくないけれど、国が貰えというので」と言われた。
今、補助金を貰っている家電メーカーや自動車会社は、まもなく廃れるだろう。それは「補助金こそが技術の痲薬」だからだ。
「補助金は技術者の恥」 武田邦彦氏(中部大学)より引用

社会の期待、ニーズを受け止め「安くて優れた製品」を作り出していた企業、技術者が補助金によって堕落していったのです。

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  Googleより画像引用

 
 
3.政府・経済産業省は過去の方式から脱却できていない。

どうも、政府内にはいまだに、過去の「傾斜生産方式」、あるいは「新産業ビジョン」といった考え方から脱却できない人たちがいるようだ。
いわゆる、「高度経済成長よ、もう一度」である。
政府が本来やらなければならないのは「マクロ」の経済政策である。
安易な企業支援のように、「ミクロ」をいじくりまわすことではない。るいネット

森永氏の言う「傾斜生産方式」「新産業ビジョン」は何なのかを簡単に確認してみます。

第二次世界大戦後 GHQによる占領下にあった日本における経済復興のために実行された経済政策である。当時の基幹産業である鉄鋼、石炭に資材・資金を超重点的に投入し、両部門相互の循環的拡大を促し、それを契機に産業全体の拡大を図るというものであった。工業復興のための基礎的素材である石炭と鉄鋼の増産に向かって、全ての経済政策を集中的に「傾斜」するという意味から名付けられたという。                          
「傾斜生産方式」ウィキペディア引用

終戦直後の経済官僚は、限られたお金(外貨)と物資を石炭生産と鉄鋼生産に集中させるという決断をしたのです。
次に「新産業ビジョン」です。
S55年版科学技術白書「80年代の通産政策ビジョン」を見てみます。

産業構造審議会は1980年(昭和55年)通商産業大臣に「80年代の通商産業政策のあり方に関する答申」を行った。「資源小国」の制約の克服という重要課題に対して,頭脳資源を活用して創造的な自主技術開発を進め,バーゲニングパワーを高めていくとともに,イノベータとしての役割をもって世界に貢献していくためには,技術立国こそ我が国の目指すものであるとし,技術に対する経済社会の諸要請を踏まえた上で,80年代の技術開発課題として,次の4項目を挙げている。
1) エネルギー制約の打開
2) 生活の質的向上及び地域社会の充実
3) 産業の創造的知識集約化の推進
4) 次世代技術革新への挑戦
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S55年版科学技術白書

80年代の経済官僚は技術立国を目標に定め、具体的な課題を明確にして進むべき道を提示したのです。企業側も政策に導かれ具体的な新製品や技術開発を容易に設定することが可能な時代でありました。
ところで、民主党の打ち出した「産業構造ビジョン2010」リンク
は、誰が見ても各省庁の既存施策の寄せ集めであり、的確な状況把握に基づき打ち出されたものとは感じられません。かつて戦後日本の経済復興のために、国民に窮乏を求めた当時官僚の気迫など微塵も感じられません。
政府・経済産業省が過去の方式(傾斜生産方式、新産業ビジョン)から脱却できないのは何故なのでしょうか?

「(官僚の無能さの)まず第一は、『固定観念の罪』です。平成官僚は古い昭和の固定観念から抜け出せないのです。…すなわち、①人口は必ず増える。②土地は不足している。③経済は成長する。④物価と賃金は上昇し続ける。 そして、⑤日本は孤立した島国である。…ところが現状は、この五つの現象が五つとも変わりました。…それなのに、官僚は固定観念を変えようとしていない。」
「いま、日本に必要なのは、官僚に国家主導の地位からご退場願うことです。それには、全国民が…官僚たちの行った失敗と怠慢を正しく認識し、その無能さを知ることです。」
「平成官僚は無能すぎる」堺屋太一氏より引用リンク

無能な平成官僚、状況認識無しの成長戦略、過去から脱却できない産業政策には、もはや、期待できません。我々は無能な平成官僚の打ち出す方針には依拠せずに、独自に新しい産業、本当に社会に役立つ事業を考えていく必要があります。

List    投稿者 unkei | 2011-01-22 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?1 Comment » 

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コメント1件

 wholesale bags | 2014.02.10 23:08

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 「ユーロ統合」どうなる? 第4回〜ユーロ共同債・財政統合は可能か〜

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